ドラマ「きょうは会社休みます。」雑感

原作から大幅に手が加わったオリジナル展開。本来、原作好きとしては内容を勝手に弄られることは好ましくなく、「ぬ~べ~」もそんな“原作無視”で大いに叩かれていましたが(あれはそれ以前の問題か)、「きょうは会社休みます。」に関してはこのオリジナル脚本の出来が想像以上に良かった! 70点ほどの原作を見事に100点満点のドラマに生まれ変わらせてくれましたよ。これほど面白かった恋愛ドラマは久方ぶり。

三十路まで恋愛経験ゼロだった干物女を、美人な綾瀬はるかが演じるのはキャスティングに無理ありすぎだろうと最初は感じていましたけど、彼女なりにちゃんと“こじらせ女”感を出せていたのは素晴らしい。地味で垢抜けない風貌、おどおどした卑屈な態度、うつむき加減の根暗な雰囲気と、徹底したなりきりできちんと“モテない”説得力を持たせている。

それでいて、内面的な魅力もしっかり表現。不慣れな恋愛において見せる小学生のようなピュアな一面は、男心を擽るに充分な可愛らしさ。「これは男にモテなさそう!」と思える部分と、「これはイケメンに言い寄られてもおかしくない!」と思える部分、相反する2つの説得力を同時に両立させていた綾瀬はるかは、見事だとしか言いようがございません。まぁ、肌が異様に綺麗すぎるのは違和感ありましたけど(笑) 綾瀬はるかの肌は異次元だ!

頭の中の妄想ばかりが膨らんで、自分1人で勝手に結論を出したがる自己完結脳も、モテない奴特有の思考回路として激しく共感。ただ、花笑(はなえ)さんの場合、その妄想が毎回極端で突拍子もないものばかりだから面白いんです!

毎週コント仕立てに描かれた妄想パートは、女流棋士に扮して、自分が持つ女の武器を差し合う“女の魅力将棋”や、阿吽の呼吸が行き過ぎたあまり、一切言葉を発せずジェスチャーのみで意思疎通を済ませるようになった“サイン式同棲生活”やら、どれもクォリティの高いものばかり。「愛してる」のサインが何故かバントのジェスチャーだったのは、声を出して笑わせてもらいました(笑) 実写ドラマがコメディに走ると大抵悲惨なことになりますが、このドラマでは下手なコント番組より、何倍も面白い寸劇を提供してくれていましたよ。

原作とドラマで最も印象の変わったキャラは、サルーテこと朝尾侑(あさおゆう)。原作では三角関係を形成する1人として、田之倉君と花笑の関係を邪魔する嫌な男の立ち位置だったんですけど、ドラマでは打って変わってサポート役に徹する良き相談相手に。花笑に好意は持っているものの、あくまで友人というスタンスで花笑にアドバイスを送る。田之倉君と花笑の付き合いがこじれれば、関係修復に一役を買ってくれたり、とってもいい人になっていたんです。

何より、朝尾侑を演じる玉木宏さんが尋常じゃないレベルのイケメン。大人の余裕。貫禄。品格。知性。色気。洒脱。包容力。おおよそ大人の男に求められるであろう要素を総て満たしていて、スマートとしか言いようがない華麗な立ち振る舞い

3次元でこんなにも壁ドンが似合う人間いないでしょ(笑) あと、いちいち声がエロすぎるっ!

でも、ここまで存在感ある役者が、単なる「(都合の)いい人」で終始してしまうことには少なからず不満がありました。原作では“三角関係いらない”と言っていたのに、ドラマでは逆に三角関係を欲してしまって…。すると、そんな気持ちに呼応するかのように、ラスト間際で突然花笑にプロポーズをかまして、一気に恋の対抗馬として躍り出た朝尾さん!

「そのままの君でいいんだ。何も変える必要はない。言いたいことを言って。好きなことをして。傍で笑ってくれればいい。だから、俺と結婚しよう」

すっかり油断しきっていただけに、「ここでか!」というタイミングのプロポーズに度肝抜かれましたね~。こちらが警戒していた間はまったく動く気配を見せず、ふと警戒を緩めた瞬間に一気呵成で攻めあがってくるなんて、まさに策士! 隠居したと見せかけて、実は天下人の野心を捨てていなかった黒田官兵衛の如しですよ!!

物語としては、原作通り田之倉君の方を選んじゃうわけですけど、ドラマの朝尾さんはあまりに完璧イケメンすぎただけに、ちょっとこの選択には釈然としないものがありました(笑) 田之倉君役の福士蒼汰も抜群のイケメンですが、何もかもハイレベルだった玉木宏の前ではさすがに霞んでしまう。この2人を比較した場合、女性視聴者のほとんどは玉木宏の方を選ぶんじゃないでしょうか? ライバル役を格好良くキャスティングしすぎちゃうのも考え物だな~(笑)

最終話で朝尾さんのプロポーズに対して返答する大事なシーン、花笑さんが神妙な面持ちで「朝尾さん、私……」と言いかけてCMに入ったのですが、その直後のCMが「すき家」だったため、「朝尾さん、私……すき家!」になってムードぶち壊し(笑) このタイミングは神懸っていました。

きょうは会社休みます。 1 (マーガレットコミックス)

著者/訳者:藤村 真理

出版社:集英社( 2012-04-25 )

定価:

Amazon価格:¥ 453

コミック ( 141 ページ )

ISBN-10 : 4088467698

ISBN-13 : 9784088467696


No Responses so far.