リーガルハイ(第2期)雑感

半沢直樹の流れで見始めたドラマですので、最初は古美門研介という非常識で傍若無人なキャラを、半沢直樹とのギャップで楽しんで見ていました。まったく正反対の役所をこれほど見事に演じきる堺雅人さんの快演ぶりには脱帽です(三度目)。

しかし、リーガルハイの面白さは、決してキャラありきではない脚本の面白さ。緊張と緩和のバランスが絶妙で、おふざけのようで実は真面目な、でもやっぱりおふざけでと視聴者の気持ちを右に左に翻弄させながら、先の読めない痛快なオチで最後は完璧な着地点を見せてくれる。

更に本来コメディで扱うべきではない非常にデリケートな話題に平然と切り込んでくるところがすごい。第3話での整形妻との離婚訴訟にしたって、視聴者側は整形肯定派と否定派に二分され、旦那に感情移入する側、妻に感情移入する側で対立していたはずなんです(私は整形肯定派)。この問題を白黒付けたところで必ず一方に後味の悪さが残ってしまうもの。

ところが、旦那は裁判には勝てたものの妻への未練を残し、妻は裁判に負けたものの顔も心もイケメンの男を手に入れ、未練なく再出発できたというオチ。白黒ハッキリ付けると顰蹙を買うから曖昧にして誤魔化すのではなく、白黒ハッキリ付けておきながら、それでも本当の勝者はどちらかわからないと感じさせる脚本がとにかく上手い!

時事ネタを多く取り入れ、社会批判的な側面を持つのもリーガルハイの魅力。その色味が大きく出ていたのは第9話だったと思います。昨今の日本を覆い尽くす「無秩序な民意」に対する批判は、よくぞ言ってくれたと胸の空くような気持ちよさが私の中にありましたね。

自分に都合の良い不確かな真実だけを鵜呑みにし、匿名と集団を隠れ蓑にしながら、他人を吊し上げて破滅へと追いやる民意という名の私刑。群集心理に衝き動かされ、平素は決して見せることない醜い残虐性を露わにしながら、吊し上げた人間を抹殺することに何の躊躇いもない。

どんなに悪逆非道なリンチを行っても一切の罪悪感を持たないのは、「悪いのは向こうだから」で自己を正当化するがゆえ。むしろ日本から社会悪を排除するという大義名分の下で、自分は社会に役立っているのだと正義に酔い痴れている恐ろしさ。

そんな無責任で無思慮で無慈悲で無秩序な民意が私は大嫌いだっただけに、付和雷同に容易く誤った方向へ流される「民意」は、必ずしも絶対的な正しさではないんだと示してくれた第9話に快哉を叫んでいました。そう主張したときの古美門(堺雅人)の縁起も抜群にいい!!

第1期では、震災直後の強張った空気の中で、「絆」という美辞麗句で現実逃避している輩を痛切に皮肉るエピソードがございましたが、今度はネット世論によって加熱する無秩序な民意を痛切に批判してきた。左右の思想関係なく、その時代における日本での支配的な論調に真っ向から立ち向かって、頂門の一針を刺せる勇気が素晴らしいです!

整形、ゆとり、民意と、意見の対立を生みやすい難しい議題に敢えてメスを入れ、ときには視聴者に耳の痛い批判をぶつけながらも、コメディとしての着地点を忘れないリーガルハイ。1期と比較するとつまらないという評価もわかるんですけど(私も後追いで1期全話視聴しました)、2期は2期で素晴らしい出来のドラマだったと思いますね。これから末永くシリーズ化してもらって、古畑任三郎のようなフジの看板ドラマになってくれれば。

ノベライズ リーガルハイ 2

著者/訳者:古沢 良太 (脚本) 百瀬 しのぶ (ノベライズ)

出版社:扶桑社( 2013-12-20 )

定価:

Amazon価格:¥ 1,404

単行本 ( 485 ページ )

ISBN-10 : 4594069762

ISBN-13 : 9784594069766


No Responses so far.