半沢直樹雑感

最初は「華麗なる一族」のようなドラマを期待して見始めたのがきっかけでした。銀行を題材にしたシリアスな経済ドラマで、大阪が舞台である上に、万俵頭取(笑)が引き続き登場していることなど、様々な共通点が散見されましたので。

華麗なる一族も日本ドラマ史に残る傑作であったと思っていますが、半沢直樹は似ているようでかなり性質の異なるドラマ。従来の経済ドラマにつきまとう暗くて小難しいという負のイメージを払拭し、誰にでもわかりやすい痛快なドラマに仕上げていたことによって、驚異的な視聴率を叩き出すまでに至ったのでしょう。

型破りな主人公が様々な困難を乗り切りながら、裏で悪事を企むお代官様を成敗する流れは、さながら勧善懲悪の時代劇。父親の仇討ちが出発点でありますし、「倍返しだ!」というお約束の決め台詞までありますからね~。

裁量臨店・金融庁検査・取締役会議などで、敵対する相手を討論で徹底的に言い負かせる過程は本当に手に汗握る興奮がありました。危うい立場から、必死に逆転の糸口を手繰り寄せ、不正の事実を追い続けては、相手の弱味を握って最後に大逆転。そのカタルシスにすっかりやみつきになってしまいまして。

数々のピンチを切り抜けてきた半沢は極めて有能な銀行員でありますが、一方で保身を考えない向こう見ずな一面がある。面白いのは、上司に刃向かうタイミングが通常より1歩も2歩も早いところ。普通、上司に反旗を翻すにしても、充分な証拠を揃えて万全を期してから敵対するもの。それまではひたすら従順を装うのが定石なのですが、半沢はまだろくに証拠も掴めていない状態から、見切り発車で反攻するからすごくハラハラするんです(笑)

半沢は聡明であっても、決して利に聡くないのがポイントでしょうか。早い時点で敵意を剥き出しにすれば、当然向こうは半沢の足を引っ張ったり、露骨に潰しにかかって来る。それは利口なやり方とはいえませんが、そんな妨害工作をものともせず、黒幕が送り込む刺客たちをばっさばっさと薙ぎ倒していくからこそ爽快感が生まれるんですよね~。

しかし、半沢を正義のヒーローと呼ぶには柄が悪すぎる(笑) すぐ怒鳴るわ、上司タメ口だわ、呼び捨てだわ、土下座強要だわ、見ようによってはチンピラ同然。これが強面の俳優が演じていたらそのままのイメージで定着していたでしょうが、そこを韓流スターの如くニコニコ微笑みを絶やさない堺雅人さんが演じるというところが絶妙な匙加減。柔和で人の良さそうな堺雅人さんが、チンピラ同然に啖呵を切るというギャップがたまらないのです!

堺雅人さんは、「新選組!」の山南敬助役で当時その演技に脱帽したのですが、今回の半沢直樹役も本当に素晴らしい演技力を見せ、類い希な存在感を発揮していました。

あと、声もすごくいい~。たまに神谷浩史さんっぽく聞こえるときないですか? このドラマがヒットした要因の3分の1は堺雅人さんのおかげだと思いますよ。

無論、脇役もみんないい味出していたことを忘れていません。小木曽役の緋田康人さんの人をムカつかせる演技は一級品。利根川(大和田)もメチャクチャいい演技していましたねぇ。最後はちゃんと焼き土下座してくれましたし(笑)

最後に賛否両論の半沢の妻(花)ですが、銀行員の妻というイメージを覆す子供っぽさとフランクさで、明るく癒してくれる彼女が私は大好きです。いつもしかめ面の半沢が、家庭では全然キャラが違ったように明るく変貌できるのは、間違いなく妻のおかげ。アジアへの出向が決まりかけたときでも、文句1つ言わないで笑顔で受け止めてくれたときには、涙出そうになりました。

■好きな名言■

「私は必ず5億を回収する! 二度と邪魔しないでいただきたい!」

やっぱり第1話で見せた啖呵が衝撃的でした。このドラマが面白くならないわけがないと確信した一場面でもありますね。

「小木曽ぉ!!」

ムカつく上司を呼び捨てにするというのが、こんなにも痛快だなんて(笑) このドラマの影響で、今頃あちこちの会社で上司が呼び捨てにされているに違いない。

「机上の……いや、タブレット上の空論だ!」

このあとの「こっちを見ろぉ!!」も良かったです。私もついついiPadを弄りながら人と話す癖があるので、こんなにも相手に不快感を与えていたのかと自覚して反省。

オレたち花のバブル組 (文春文庫)

著者/訳者:池井戸 潤

出版社:文藝春秋( 2010-12-10 )

定価:

Amazon価格:¥ 433

文庫 ( 368 ページ )

ISBN-10 : 4167728044

ISBN-13 : 9784167728045


ABOUT

なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. いや~、面白かったです、半沢直樹!
    久しぶりに本気で手に汗握るドラマを見させて貰いました。
    堺雅人さんファンにはまたより楽しめた!

    でも個人的に堺雅人さんに柔和なイメージって全然無いですね~。
    ちょっと尖ったキャラの方がはまり役なので
    最早、素直な笑顔の演技でもなんか裏がありそうに見えてしまって・・・(^^;

    早速、ドラマの続きの原作小説を買ってきたのですが、
    評判は3巻が一番良いみたいで。
    1,2巻で、父親の敵討ちというでっかいテーマが片付いたので
    少し失速するのかなと思いきや、これからの方が面白いのか~。
    ドラマでも次のシリーズが作られると嬉しいのですが!

    ちなみに10月からの堺雅人さん主演のリーガルハイもとてもお奨めですよ~。
    主人公のキャラの濃さは全く負けてないですし、
    ギャグでかなり外道ですが(^^;こちらも痛快なドラマです。
    半沢直樹は文句なく面白かったけど、
    主人公の古美門が好きなので個人的に好きなのはこっちなんですよねw

  2. 遅まきながら僕も半沢見てました
    ええ世間が騒ぎはじめたから気になって見はじめた情弱ですよw
    最終回まで面白かったと思いますがラストが結局出向で飛ばされたんで腑に落ちなかったです
    タブレット野郎との戦いが一番面白かったかな

  3. 半沢の出稿は原作通りらしいのですが自分もあそこはきれいに終わらせとけって思いましたねえ
    半沢人気の理由は意外性あるストーリでなく、時代劇的予定調和にあるんで最後ですっきり浄化しないのはよくない
    金勘定して続編に繋げたい気持ちはわかりますがあそこはきれいに終わって良かったんじゃないでしょうか?
    少しTBSの欲が出てしまったかなと・・・
    まあ批判してますが楽しかったのは事実ですし続編も期待です

  4.  ユキさん
    ユキさんも半沢直樹ご覧になっていたんですか! コミケ打ち上げでユキさんが先に帰ったあと、居酒屋でみんなと飲んでいるときに丁度半沢直樹が放送されている時間帯だったので、私からみんなに半沢直樹の話を振ってみたんですが、まったく反応なかったので寂しく思っていたんですよ~。ユキさんが半沢直樹見ていたならそのとき話せば良かった!! めっちゃ語りたかったのに(笑)

    堺雅人さんは「新選組!」で山南敬助を演じているときも、その穏やかな笑顔と語り口調とは裏腹に、新選組副長としての強かさが潜んでいるところが格好良かったので、元々腹に一物を抱いている雰囲気(を出せる演者)は昔から感じていました。つまり、性格的に柔和な印象ということではなく、あくまで見た目が柔和で物腰柔らかそうな人という意味ですね。

    裏がありそう……という話だと、ミッチー(渡真利)と東京編での上司(内藤部長)は絶対途中で裏切ると思っていたのになぁ~。内藤部長は仕事的には部下に丸投げでほとんど役立たずでしたけど、最後まで半沢の味方であり続けたのが意外すぎるっ。半沢直樹見ていると、上司は全員悪人に見えてくるので(笑)

    >ドラマの続きの原作小説を買ってきたのですが、評判は3巻が一番良いみたい
    ラストで出向を言い渡された半沢の今後が気になりまくるので、私も原作小説に手を出してしまいそう。ただ、必ずやるであろうドラマ半沢直樹の続編を、まっさらな気持ちで見てみたい気持ちもあるしな~。

    >10月からの堺雅人さん主演のリーガルハイもとてもお奨め
    半沢直樹の流れでリーガルハイというドラマの存在を知りました。こちらも評判良さそうなので見てみるつもりですけど、1期見ていなくても大丈夫かな?

     神楽坂さん
    私は出向のラストはそれほど意外に感じることもなく、冷静に受け止められましたね。島耕作だって、とんとん描写に出世街道を驀進したのではなく、いろんな子会社へ出向して人生経験を蓄えた上で本社に戻り、重役のポストに就きました。立身栄達のドラマでは、避けては通れない展開と考えます。

    半沢の出向は決して片道切符ではないでしょうし、半沢も東京セントラル証券で実績を作ることで、再び銀行へ舞い戻って来ることになるはず。近藤がタミヤ電機で尽力していたような活躍を期待したいです。

     ブランドンさん
    うーん、あの終わり方に難色示す方って意外と多いのね。海外ドラマではお馴染みのクリフハンガーと呼ばれる手法で、人気の24-Twenty four-でも事件は一件落着したかと見せかけて、最後の数分で「実はまだ危機は去っていなかった!」と次回へ引っ張ることが多々あります。

    これで半沢直樹が本当に終了ならストレスありますが、次回作への期待感を煽る終わり方としては最善だと思いますよー。

  5. >ユキさんが半沢直樹見ていたならそのとき話せば良かった!! めっちゃ語りたかったのに(笑)
    いえ~、それが最初の方、乗り遅れて数話見てなかったので
    最終回直前の総集編で補完した感じでして・・・(^^;
    それでも十分楽しめたんですけど、また再放送されたらしっかり見てみたいと思います。

    >必ずやるであろうドラマ半沢直樹の続編を、まっさらな気持ちで見てみたい気持ちもあるし
    自分も、親も読みたがってたのでとりあえず買ってきたんですけど、
    読むかどうかちょっと迷ってるんですよね!
    もう「次回シリーズやります!」って公言してくれれば、読まないで踏ん切りつくんだけど。

    ちなみに終わり方については、自分も特に気になりませんでしたかね~。
    ひとまずの決着はちゃんとついたので、全然問題なし。
    それより、大和田が案外あっさり倒しちゃった感じというか
    奥さんの金遣いに困ってたとか、意外と可哀相で隙のある人だったんだなって(^^;
    もっと、強大なラスボスっぽくても良かったな~。

    >1期見ていなくても大丈夫かな?
    2期見てみないと分かりませんけども、
    基本的にメインストーリーみたいなものはなくて、
    その話ごとに裁判やる1話完結型なので、多分大丈夫じゃないでしょうか。
    キャラクターの関係性とか若干分からない部分も出てくるかも知れませんけど。
    とりあえず古美門先生の活躍を見るだけで楽しいと思います(笑)。

  6.  ユキさん
    あ、なるほど~。途中参戦で総集編補完はうちの母親と同じパターンですね(笑) 3話が衝撃的な面白さだったので口コミで話題になり、その辺から見始めた人も多いですが、やっぱり1話と3話を見逃していたのはもったいない。半沢直樹の魅力が最も詰まった部分だと思いますから。

    >(原作小説)読むかどうかちょっと迷ってる
    原作とドラマはかなり内容違っているみたいですし、先に小説読んでもドラマの面白さが損なわれることはないかも? いや、逆に原作との違いが気になりまくって、素直にドラマを楽しめることができなくなるのか…。びっくりしたのは、原作では半沢のお父さん死んでいないんですね。そういう根幹部分を捻じ曲げるのはどうかと思う。

    >大和田が案外あっさり倒しちゃった感じ
    金の流れを追って追い詰めるのは間違いなく半沢の功績なのでそこは気にならなかったんですが、岸川の娘と黒崎が婚約している極秘情報を妻から教えてもらって、岸川部長を籠絡した展開はチョットご都合主義が過ぎたので引っかかりましたね。

    >その話ごとに裁判やる1話完結型なので、多分大丈夫じゃないでしょうか
    それなら途中参戦しやすそう! フジテレビは思わぬチャンスが転がり込んできたんですから、半沢直樹ファンを取り込むべく、しっかりこのドラマ売り込まないと。そのためには放送前にリーガルハイ1期の総集編やるなり再放送やるなりして欲しい。