SUPER BOWL2014 シアトル・シーホークスが優勝

AFCとNFCのシーズン1位が順当に勝ち抜いた頂上決戦! しかし、お互いのチームカラーはまったくの逆。ポケットパサー(固定砲台)の最高峰であるP・マニングと、新世代モバイルQB(移動砲台)の旗手R・ウィルソンという、まったくタイプの違うQB対決がチームを象徴しているように、パスのDEN・ランのSEA、ベテランのDEN・若手のSEA、オフェンスのDEN・ディフェンスのSEAと、総てにおいて対照的な両者でした。

戦前の予想では、ブロンコス有利。ブロンコスは今シーズン記録ずくめで、特にP・マニングがシーズン55TDパスというとんでもない怪物記録を樹立。私の愛するT・ブレイディが2007年に成し遂げた前人未踏の50TDの記録を軽々と塗り替えられてしまったので、スーパーボウルでは迷うことなくシーホークスを応援することに決めました(笑)

しかし、そんな私でもブロンコスの勝利は揺るがないと思っていました。セカンダリー(後衛守備)にプロボウル(オールスター)選出者をずらり並べたシーホークス守備陣は鉄壁といえど、パス全盛のNFLでは最強の矛と最強の盾がぶつかり合った場合は、前者が制するケースが多い。如何に優秀なディフェンスでもハイパーオフェンスは完全に抑えきれないだろうなと。

ところが試合は、序盤からまったく予想外な方向へ。開始直後のセーフティ(自殺点)、スリー&アウト(三者凡退)、そしてインターセプト(パス横取り)と、歴代最強と謳われる自慢のオフェンスの歯車がまったく噛み合わない。百戦錬磨の大ベテランであるP・マニングが、まるでルーキーのような慌てよう。これがスーパーボウル(決勝戦)の怖さか。

立ち上がりでモメンタム(勢い)を失ったブロンコスは、再びインターセプトTDを食らうと、シーズン成功率89%を誇る4thダウンギャンブル(一か八かで攻撃)を失敗し、後半開始早々にキックオフリターンTD(キックオフ直後そのまま得点)、ようやくロングパスが決まったかと思えばファンブルロスト(ボールを落として奪われる)と、とことんツキに見放されていました

無論、ただのハードラックではなく、根底にはシーホークスのディフェンスの上手さがあってこそ。シーホークスはディフェンスの集まりが鬼のように早く、ランアフターキャッチ(キャッチしてから走ること)をほぼ許さない。SSチャンセラーがディープ(後方)をしっかりケアしながら、猛スピードで前線のボールキャリアー(ボール持っている人)を潰してくるから怖い。RBへのスクリーンパス(ブロッカーで守られた選手へのパス)も封殺し、“パスは通るけど進ませてくれない”という実に理想的な守備ができていましたね~。

フットボールは、野球のように好守がハッキリわかれたスポーツですが、守備側がボールを奪い取ることで、そのまま得点を奪えることもあります。ゆえに、フットボールでの最強の盾は、ときに鈍器として武器にもなる。4つのターンオーバー(攻撃権移譲)を記録した此度のスーパーボウルは、まさに最強の盾で最強の矛をボッコボコに殴り倒した試合展開でした。

42-8という完全なるワンサイドゲームで、スコア的には近年稀に見る凡試合で終わってしまったとはいえ、最強ブロンコスを完膚なきまでに叩きのめしたのは痛快でしたし、何よりシーホークスの美しすぎる守備を存分に堪能させてもらいましたので、見応えは充分あったと思います。パーフェクトシーズンを成し遂げた2007年ペイトリオッツもスーパーボウルは逃してしまったように(トラウマ)、圧倒的な力を持つチームは往々にして最後で躓いてしまうものですかね…。

今シーズンのペイトリオッツ

ニューイングランド・ペイトリオッツのファンである私が、今シーズンのペイトリオッツを総括。

開幕前に主力選手が移籍・怪我・逮捕でごっそりいなくなり、今年は完全にダメだと諦めていたペイトリオッツ。更にシーズン序盤からDTウィルフォークやLBメイヨといった残り少ない主力も相次ぐ大怪我で消え、弱り目に祟り目とはまさにこのこと。まともな選手が残っておらず、三国志でいえば、五虎大将軍が全員死亡したあとの蜀状態でした。

唯一まともなTEグロンコウスキー(魏延)がようやく戦線復帰してくれたと思ったら、すぐにまた怪我して今期絶望。もはやパスターゲットはド新人しかいないという悲惨な状況の中、WRエデルマンの台頭が目立ちましたけど、彼の能力はせいぜい張翼レベル。その程度の武将が主力を張っている時点で、蜀の……もとい、ペイトリオッツの深刻な人材難が浮き彫りとなってくるというもの。

しかし、そんな崩壊寸前のチームを、諸葛亮ブレイディが1人で懸命に支える! 決して一流ではない選手たちを我慢強く活用しながら、彼らに実力以上の力を発揮させていました。その用兵の妙味と、ブレイディ自身が持つ勝負強さで、ミラクルな大逆転劇を次々演出。プレイオフ進出すら危ぶまれていたチームを、なんとリーグ2位にまで引き上げる目覚ましい活躍を見せてくれました!

崩壊寸前のチームであっても、ブレイディさえ健在ならば、2位にはなれるということ。改めて、ブレイディの偉大さが証明されたのと同時に、御年36のブレイディにいつまでも頼り切りなチーム編成に今後への不安が残ります。

諸葛亮亡き後の蜀がどのような運命を辿ったかを考えれば、ペイトリオッツもブレイディ存命中になんとかもう一度スーパーボウル制覇をして欲しい…! 来シーズンは、まともな補強してくださいよ~。

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  1. やらかしペイトンが最後の最後にやってくれたシーズンでしたね。
    スーパーボール最速得点記録から始まる素晴らしいボケボケブリ。うんやっぱりペイトンはこうでなくては。
    個人的にはブロンコスをシーズン序盤から応援していたのですが、このオチを含めてやっぱりね。という感じでした(笑
    とは言えシーホークスの鉄壁守備陣は素晴らしかった。
    ペイトリオッツはチャンピオンシップでいいところでオフェンスラインの方かいが響きましたね。
    2度のサックがともに非常に痛い場面で出てしまわなければスーパーボール進出も可能なパフォーマンスでしたね。

    •  ペーターさん
      スーパーボウル制覇を経験して、P・マニングの大一番での勝負弱さは払拭されたかと思いきや、このタイミングでまた発揮されるかという感じでした。2年目の若手R・ウィルソンが堂々たるクォーターバッキングを見せていただけに、本人も忸怩たるものはあるでしょうねー。ていうか、ウィルソンがすごすぎ。サードダウンコンバージョンであの落ち着きようはベテランの風格。

      2012年ドラフトのQBは、ラックにRG3にタネヒルにウィルソンにフォールズにキーナムに…と当たりが多すぎやしませんか。

      >ペイトリオッツはチャンピオンシップでいいところでオフェンスラインの方かい
      実はこの試合、先に結果を知ってしまって、まともに見ていなかったんですよね~。すごい楽しみにしていたカードだったのに、負け試合と知ったら一気に見る気が失せました…。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。