イチローがピート・ローズを抜き、日米通算4,257安打の世界最多安打記録を達成

3点ビハインドの9回2アウト。ラストバッターになりかけた試合の最終盤で、ライト線へ鋭く抜けるクリーンヒット。この瞬間、ピート・ローズの通算4,256安打のMLB記録を抜き去り、イチローが世界最高の通算4,257安打を達成しました

昨年は極度の不振で、現役続行さえも危ぶまれていたイチローが成し遂げた快挙。今年はまったく衰えを感じさせない働きで、開幕からハイペースにヒットを量産して全盛期の輝きを再び取り戻すかのような大活躍。42歳を迎えても、いつまでもイメージのままのイチローでいてくれることに感動しかないですね。

新記録達成の4,257安打目が素晴らしかったのは当然ですが、ピート・ローズとタイに並んだ4,256安打もイチローの凄みを感じさせるものでした。当たり損ねのぼてぼてのキャッチャーゴロだったものの、快足を飛ばしてヒットに変えてしまうイチローの真骨頂。世の中、内野安打を否定する不思議な人たちもいますが、42歳の選手が捕安を打てるってどれだけファンタスティックなことか。

次はMLB通算3,000本安打も控えていますけど、イチローが見据える最終地点はまだまだ先にありそうですね。こうなったら本人が燃え尽きるまで、とことんまでやってほしいです。これほどのスーパースターのキャリアをリアルタイムに目撃することができて、本当に幸せ。快挙達成、おめでとうございます。

情けないのは、日米通算最多安打という偉業を「アメリカではどう受け止められているか」ばかり気にしている日本のマスコミとファン。「日米通算でピート・ローズの記録を越えたことはどう思いますか…?」とビクビクしながらアメリカ人の顔色を伺い、ちょっとでもネガティブな反応が返ってくると、「うわぁぁぁ!! やっぱり日米通算なんか大した記録じゃないんだぁぁ!! 騒いでいるのは日本人だけなんだぁぁ!!!」と日本人自身が否定し始める。この卑屈さ。

実際、こんなの日本人だけが騒げばいい記録なんですよ。日米通算安打というのは“日本の記録”であって、アメリカ人のお墨付きなぞ最初からいらんのです。日本のプロ野球、アメリカのMLBのキャリアを通して、イチローは世界で1番ヒットを打ったんだと、その偉大さを日本人が認識して評価していればいいだけの話。アメリカ人が価値を認めて祝福してくれないと、自分たちもイチローの記録の価値を認めて祝福できないという発想がさもしいです。

サッカーでも、今は多くの選手たちがヨーロッパで目覚ましい活躍を遂げていますが、未だに彼らを評価する手段は「現地新聞が高評価!」「現地ファンが活躍を絶賛!」という“海外の反応”ばかり。日本人のサッカー記者が実際に試合を見て、自分でその活躍度合いを評価して報道すればいいのに、海外メディアの報道をそのまま伝達することしかできない。そして、ファンもそういった海外の反応だけを気にして、日本人は欧米から認められているんだという喜びに浸りたがる。

“世界から賞賛される日本人”で気持ちよくなりたいのもわかりますけど、欧米人の評価というフィルターを通さなきゃまともに価値も計れないようでは、いつまで経っても日本のスポーツ観は成熟していかないと思います。「お父さんに認められたい」「お母さんに褒められたい」という幼児性からいい加減脱却して、普通に自分たちの目と頭で価値を見出せる自立した大人になりたいものですよ。

例えアメリカ人が異議を唱えようと、世界の大半の人間が野球に興味なかろうと、イチローの日米通算最多安打は日本人が誇るべき偉大な記録なのです。

Number(ナンバー)903号 MLB 2016 イチロー未踏の地へ。 (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィック ナンバー))

出版社:文藝春秋( 2016-06-02 )

定価:

Amazon価格:¥ 1,950

雑誌 ( 110 ページ )

ISBN-10 :

ISBN-13 : 4910268530668


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  1. ピート・ローズも日米通算に置き換えれば4256安打ですので、これはもうれっきとした世界記録ですよ。

    日本人の記録なのにイチイチ本場の人のお墨付きを欲しがるのってホントなんとかしたほうが良いと思います。日本の記者がウザがられる理由、よく分かる。
    ただ、浅生さんはファンも地元の目を気にしている一団に含めておられますが、マスコミと違ってファンはその辺結構わかってますよ。ちゃんと野球を観てるファンはそれほどアメリカ人の意見に左右されてないです。少なくとも私の周りでは。

    なんにせよ、もうしばらくは破られることのないとんでもない記録でしょうね。
    現役イチローを見続けられる時代に生まれたことに感謝です。

    • イチローの日米通算記録にケチを付けているピート・ローズが、器が小さいと批判されてしまうのもちょっと可哀想。自分の記録に誇りを持っているからこそ、簡単に譲れないのは当然。ピート・ローズや金田みたいな、若者に負けん気を見せて「俺が史上最高」と言い張るお爺ちゃんは個人的にも結構好きです。結論として、イチローとピート・ローズに無理に優劣はつけなくてもいいと思います。

      >ちゃんと野球を観てるファンはそれほどアメリカ人の意見に左右されてない
      ちゃんと野球を観てるファンは確かにアメリカ人の意見に左右されていないと思います。私がファンと指していたのは、それよりももっとライトなファン層のことですね~。海外から日本人が賞賛されることに喜びを見出しているような。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。