発売日 2000年7月28日
メーカーTESRA 
Portrait
知名度こそ高くないものの、私の記憶に深く刻まれた……否、私の心に深く傷を残してくれたのが、このPortrait。1人の攻略ヒロインごとにハッピーとワーストの2つのルートが用意されているのが特徴で、ハッピールートは普通に良くできた純愛シナリオ。反面、ワーストルートの方では、名前通り悲惨で報われないシナリオとなっており、特に二ノ宮杏子のシナリオに至ってはもう…。

簡単に言えば、親友の塙東一と2人で彼女を取り合う話なんです。塙は、主人公の恋路を手助けしてくれたりするとても気のいい男友達なのですが、このシナリオでは本性を表し、完全に敵意剥き出しになって対立してくる

恋のライバルなんて甘っちょろいものじゃありません。杏子の性格につけ込み、同情を誘って自分に気を惹こうとするなど、手段を選ばぬ卑劣漢。それでも、塙との友情も大事にしたいと考える主人公は、大人の対応に徹していました。塙もいずれ自分の過ちに気付くだろう、杏子もそんな男には靡かないだろうと。

しかし、思い通りには運ばない現実。いくら「正しいのは自分だ」と理屈を振りかざたところで、その想いは杏子に届きません。現実として、杏子は塙のものになりつつある。焦りを憶える主人公にもはや泰然と構えている余裕はなく、敵愾心を燃やして塙と徹底的に争うことを決意。彼もまた、同じように形振り構わない下策に出ながら、杏子を奪い返そうと躍起になります。

お互い感情的になり、憎み合い、恨み合い、罵り合う泥沼の三角関係。それは何も物語の中だけではなくて、プレイしている私も同様に、顔が紅潮し血が逆流しそうなほど怒りに震えていました。それぐらい塙という男は苛立たしいんです! 杏子と付き合いたいというより、この男にだけは負けたくないという感情の方が上回ってしまいますんで!

そんな心の底より憎む男に、最後は彼女を寝取られてしまうわけですから……死にたい。対抗心を燃やして懸命に競い合った挙げ句、無残に破れ去ってしまう無力感。負け犬として、2人のセックスをまざまざと見せつけられる屈辱感。こんなキッツイ寝取られを見せつけられたら、寝取られの快感に目醒めるか、トラウマを抱えるかの2つに1つですよ! え、私? 目醒めるかぁ!!

1秒でも早く記憶から消し去りたいほど不快感極まる作品でしたが、これだけ思いっきり感情移入させられ、物語に引き込んでくれた作品は稀少であるのも事実。当時は認めることのできなかったPortraitも、今振り返ってみれば、やっぱり想い出深い名作だったんだなと(目醒めたわけじゃないよ!)。いつも余裕ぶって上から目線の恋愛をしているエロゲ主人公がこれほど必死になる姿は、チョット他では見られませんしね。

二ノ宮杏子。元々塙の彼女なんで、厳密には寝取られではないんですが。ヒロインが非処女なだけでビッチ呼ばわりされる今の世の中で、彼女はどのような受け入れられ方をするのでしょう。
2010年5月11日