発売日 2012年4月27日
メーカー PeasSoft 
なでしこやまとにステマはございません
ずっとつくしてあげるの!(以下、ずっつく)は、当サイトで長年トップ絵を描いてくださっているユキ(しばゆき)さんが原画を務めている作品です。

ユキさんの原画家デビュー作であるPrimary Stepは複雑な事情ゆえにレビューをお蔵入りせざるを得なくなりましたが、今回のPeasSoftはまともなメーカーさんっぽいので、今度こそレビュー公開の運びとなりました。

まぁしかし、これほどレビューを書くのに苦しむ作品もないですね! 好意でプレゼントしていただいたあれとか、作り手本人にレビューしてくださいとお願いされたあれとかあれとか、今までにもレビュー(というか批判)するのには心苦しかった作品は幾つかありましたが、今回はそれらの比ではない。死ぬほどお世話になりまくっているユキさんの作品を正面切って批判することなんてできるでしょうか!? しかも、明日オフ会で顔合わせるのに! 無理!!

ここはとにかくベタ褒めして事を穏便に収めようとも考えたんですけど、世間がステルスマーケティングに対して大変厳しい目を向けている昨今、無理に持ち上げると金銭の授受があると疑われかねませんので、ここは贔屓目なしでレビューするしかないなと。よくよく考えれば、ユキさんは絵を描いただけで内容にはノータッチですし、多少批判的な意見があったとしても寛大な気持ちで受け止めてくれるはず! はず!


7人もの幼馴染が主人公の健太郎君に想いを寄せ、彼を巡って繰り広げられる仁義なき争奪戦。簡単に言えば、Fateみたいなストーリーですかね。目的が聖杯か健太郎かの違いです。その第1次健太郎戦争の勝利条件は“如何にたくさん尽くすか”らしく、尽くした分だけカードにスタンプを押してもらい、最終的にスタンプを最も多く集めたものが健太郎の恋人になれるとのルール

もはや完全にオリエンテーリング感覚。尽くした「回数」だけを競い合い、それで誰が恋人になるか決まるなんて正気ですか…? 昔プレイしたプリンセスブライドを彷彿とさせる不快感。あちらはエッチをするたびに1枚カードを引き取ってもらい、一抜けした人が伴侶に選ばれるというルールで、このときも私はレビューでボロカスに叩きました。人の好き嫌いを、遊び半分のゲームで勝手に左右されるのが大嫌いなんで~。

当の健太郎君本人はこの状況をどのように考えているのかというと、何も考えていないんですよねぇ。「競争って……俺は一体どうしたらいいんだ!?」と間抜けなセリフを吐きながら漫然と成り行きに従うだけ。どうせ状況に流されるだけの受け身主人公なら、「マジかよ! 幼馴染7人が俺に尽くしてくれるなんて! ああ、俺はなんて幸運な男なんだ~!」と喜びを前面に出してくれりゃいいのに、この主人公はとにかく感情表現が希薄

何に対しても反応薄くてつまんないし、寝覚めに半裸の少女が覆い被さっている状況でも、至って平常心の主人公は性欲までも薄い。あの手この手で尽くしてくれるヒロインに対して、「な、何してるんだ!」「や、やめろ!」みたいな白々しい拒否を必ず入れてくるのは何なの? まったく、尽くしがいのない男ですよ。

だからというわけではないでしょうが、ヒロインが「あの手この手で尽くしてくれる」のはエッチシーンに限った話で、日常においてはそんなに尽くしてくれなかったりします。私は健太郎争奪戦の火蓋が切って落とされたら、当然7人の幼馴染たちが我先にと押しかけてくる(それがスタンプ目当てとはいえ)ものだと想像していましたが、実際はそうじゃなかったんでー。

尽くされるどころか声すらかけてもらえず、昼休みはいつも1人ぼっち。仕方ないので、こちらから女の娘を探して尋ねてみると、そこで初めて手作り弁当をもらったり、尽くされる実感を得ることができました。……でも、もし自分から会いに行っていなければ、この手作り弁当はもらえなかったということ。物乞いのようにこちらから出向いて恵んでもらうなんて、尽くされているというよりはむしろ“施されている”のでは?

最初は澪を攻略しようと思い、選択肢で全部「澪」を選んだ結果、尽くしてくれたのはほとんど澪だけ。おいおい、お前ら競争じゃなかったのかよ。全然俺に尽くす気ねぇじゃねーかよ。あんなにやる気に燃えていたのは嘘だったのかよ。……ねぇ、スタンプいらないの?(泣)

ちなみに、週末は7人の幼馴染の中からお気に入りの娘を電話で指名すると、自宅まで尽くしに来てもらえるシステムとなっております。それってデリ……まぁいいや。


さてと、どうでもいい前置きはこのぐらいにしておいて、そろそろ本題であるユキさんの原画の話題に入りましょうか。

今回ユキさんがデザインされたヒロインは璃子、真央、澪の3人。皆さん、それぞれに魅力があったんですが、中でも私は澪に相当入れ込んでいましてね~。黒髪ロングでスタイル抜群な上に、20代OLを思わせる大人びた風貌は、理想的すぎるデザイン! これでピンクのフリフリセーラー服なんて、性風俗的な匂いしか感じないよ!(誉め言葉) ユキさんが今まで描いてきた数々のオリジナルキャラの中でも、間違いなく私はこれが一番好き!

メイド服姿も実にセクシーで官能的。メイド服姿で騎乗位に及ぶエッチシーンがあったのですが、このときの澪は持ち上げた主人公の片足を抱き締めながら挿入するという斬新な構図になっていたのが大変素晴らしい。通常、松葉崩しは男性が女性の脚を担いで行うものですが、それを敢えて逆にすることで澪のエッチに対する積極性、貪欲さが表れていて良かったなぁ。さすがエロス担当。

塗りはユキさん本人が手掛けておられないので、いつものCGと比べたら6~7割程度のクォリティだと思いますけど、それでもPrimary Stepのときと比べれば格段に美しくなっているので満足。PeasSoftのグラフィッカーさんもなかなか良い仕事してくれている。

ただ、手放しで何もかも大絶賛というわけにはいかず、どうしても看過できなかったのが立ち絵…。顔立ちや頭身のバランスに違和感を憶えるものが何点か混じっていたんですよ。特にずっつくは序盤から中盤までずっと立ち絵のみでストーリーが進行されますので、立ち絵に対する引っかかりは根深く印象に残ってしまう。

私はこれまでにユキさんがデザインされた立ち絵は幾つも見させてもらっていますが、そこではいつも超完璧な仕上がり。頭身高めの美しいスタイルに、私服のデザインまでオシャレな、とても洗練されている普段の立ち絵を知っているだけに、今回は「あれ!?」という戸惑いを隠せない。それはもう1人の原画家きくらげさんのすり寄るカタチで頭身を合わせたり、私服もグラフィッカーの手間を考えてダサイエロゲ服にすり替えたりと、様々な事情があったものと推察されますが…。

まぁ、立ち絵に関してはユキさん本人も反省材料だと何度も仰っていましたので、これ以上しつこく突っ込むのは控えさせていただきます。決して批難してるわけではなく、普段あれだけ素晴らしい立ち絵を描かれるのに何故なんだ~という純粋な疑問ですからね。


気付けば、結局いつもの言いたい放題のレビューに…。「多少批判的な意見があったとしても…」って、どう考えても多少じゃない。ああ、どうして私は思ったことを我慢できずにそのまま表に出しちゃうのか。致命的に大人の社交スキルが皆無です。

かくなる上は、明日のオフ会で全力でユキさんに謝罪して許しを請うしかない! 秋葉原で地面に額をこすりつけている人がいたら、それは私です。

成り行き任せで自分の意見をハッキリ言えない主人公でも、お相手を決める最後ぐらいはビシッと告白を決めてもらいたかったんですが、「……もしかして……みんな、気付いていたのか……?」まだ何も口にしないうちに周りが勝手に察してしまうからつまらない。というか、毎回このパターンですか? 告白シーンのような大事な場面をコピー&ペーストで済ませるのやめてください。

見た目的には尾張澪でも、性格的には南和奏(みなみわかな)。彼女が一番常識的な人というか、まともな会話をできる人でしたので。

酒を飲んで倒れてしまった主人公を介抱する際、口移しで水を飲ませてくれるんですが、「……ホントは……もっと、色々してあげたかったのよ? だって、せっかく二人っきりになれたんだもの」 「……けど、今の健太郎は、体調が悪いみたいだから……この程度で、我慢してあげるわ」 と体調を気遣ってそれ以上の行為は慎んでくれたり、相手に対する気遣いや思いやりは彼女が一番持っているように感じました。

彼女には、野球バカでシスコンの大和君という非常に親近感の持てる弟がいます。主人公の友人でもある大和君から最愛の姉を奪うのはシナリオ展開的に興味を掻き立てられましたが、「健にぃなら姉ちゃんを幸せに出来るに違いねえ!」とまさかの一発容認。ちなみに、主人公に最愛の妹(七海)を奪われるシスコン一樹も「健太郎なら七海を幸せに出来るに違いない!」と同様。そんな物わかりがいいならシスコンの設定いらなかったんじゃあ…?

一般的に「尽くす女性」というのは、仕事や目標に向かって努力する男性をサポートしてくれる人を指すんじゃないのかな。日常生活の煩わしさを極力肩代わりしてあげて、そのぶん仕事や目標に専念してもらう。

主人公にはせっかく消防士になるという立派な夢があったんですから、それを目指して頑張る主人公と支えるヒロインという構図にすれば良かったのに、作中の主人公は何もしない人だからヒロインもサポートの仕様がない。結局、セックスの奉仕しか能がない女(言い過ぎ)になっちゃうんですよね~。
2012年5月3日