ゆのはな
 
メーカー〔PULLTOP〕 発売日2005年3月25日

無財の財施
丸谷秀人さんとJ・さいろーさんという、私の大好きなシナリオライター2人が手掛けていたことで購入致しました、ゆのはな。

まず賽銭おねだりADVという謎のジャンルが気になるところですが、要するにこれは、冒頭でいきなり祠にバイクで突っ込んで事故死してしまった主人公拓也が、この土地に住まう神様ゆのはの力で蘇生させてもらい、そのお礼&壊した祠の修繕費として20万を強引に請求されることを意味しています。お賽銭という名の借金ですね。

この20万弁済のため、拓也君はゆのはな町でアルバイトをして稼ぐことに。雪国にある長閑な田舎町には、とにかく個性の強い住人ばかりで、わかば、椿、穂波のヒロイン3人組は勿論のこと、偽ハーレーを乗り回す不良老人、いつも危険な妄想に走っている暴力少女、重度のイタリア戦艦マニアと、脇役ですら強烈な自己主張。それぞれ登場一発目から、忘れられなくなる程のインパクトを放っていましたよ。

しかし、そんな濃ゆいキャラクターたちに周りを囲まれても、ゆのはの存在が霞んでしまうことはありません。神様としての自尊心が強く、常に尊大な態度を振舞う彼女も、精神年齢は見た目同様お子様。小生意気で、食い意地が張って、お金にがめつい守銭奴ですが、そういうところが実に愛らしくて~。

賽銭をせしめるため善意の人間を平気で誑かしたり、借金に追われる不憫な兄妹を演じては、でっち上げの不幸話で周りの同情を引こうとしたり、神様とは思えぬ悪行の数々を繰り返していても、ゆのはであれば全然許せてしまう。ていうか、そんな破天荒な面がゆのはの魅力を引き立てている

明るく前向きでおバカな主人公、拓也との相性も抜群。嘘泣きだとわかっていながら、何度もゆのはの芝居に感化され、一緒に貰い泣きし始めてしまう心優しい(?)拓也君には、その都度笑わせてもらいましたね。


主人公にヒロインに脇役まで個性と魅力の溢れる登場人物が揃い、作品としてはキャラ重視という趣が強い。事件・ハプニング等のイベント性を重視してストーリーを引っ張っている作品が多い中、こういう作品は少し新鮮な感じ。

物語のほとんどは日々のバイト通いで占めていたので、正直単調といっても差し支えないストーリーでしたけど、それでもまったく退屈はしなかったのがゆのはなの優れたところ。単調と退屈は必ずしもイコールでないってことね。会話がこれだけ練られていれば、派手なイベントはなくとも毎日が充実しているんです。キャラクターの個性と会話でしっかり物語を作れてしまうのは、シナリオライターさんの才能。後半のコメディからシリアスへの転調も白けてしまうことなく見事で、ラストはまとまりは綺麗でした。ストレートな感動があり、私的な満足度は高かったです。

ただし、メインであるはずのゆのはのストーリーがやや期待ハズレ。わかば、椿、穂波の3人を攻略した後に現れる「ゆのはなルート」は、思ったより味気ないものでしてねぇ。トントン拍子で話が進んでいっては、「え? もう終わり?」って感じであっけなく終了してしまったので、何だか消化不良なんですよ。

ゆのはの性格を考えると、拓也と恋仲になるのにはもっと紆余曲折がありそうなのに、こうも簡単にくっついちゃうと拍子抜け。恋人としてのラブラブな展開もそこそこに、あっさりラストへ一直線だったのは解せない。オマケシナリオ扱いとも取れるこの尺の短さは納得出来ません~。ゆのはシナリオが作品最大の目玉であり、評価に直結してくるのは当然なのですから、もっと気合を入れたシナリオに仕上げて欲しかったな。

不満ついでに、選択肢が全然なかったことにも言及しておきたい。ゆのはなは、1日の始まりに「今日は何処でバイトをするか?」を選べるだけで、後はひたすら個別のストーリーが一本道。世の中、「選択肢が煩わしい」と考える人もいらっしゃるようですが、私はゲームである以上、最低限「プレイしている感覚(錯覚でもいい)」が必要だと思っているので、これは大いに不満です。単なるデジタルコミックになると大幅に興味は薄れてしまうし、文字を読むためだけにカチカチクリックをしているのは苦痛。穂波のシナリオには一応、選択肢がありましたが、後の展開に影響しない選択肢だったので実質ないに等しかった。これじゃあねぇ。


全体的には充分良く出来ており、欠点と呼べる箇所も少ない優良作でしたが、その少ない中での欠点が私にとって結構致命傷になってしまっているので、若干評価は辛目。選択肢の有無はともかく、肝心要のゆのはシナリオが首を捻る内容であっては、胸を張ってオススメするのには厳しいです。

ただ、プレイしてつまらないと感じるようなことはまずないと思うので、やって損はしない作品であるはず。想い出に残るような傑作ではありませんが、プレイの最中は確実に楽しいと感じられるでしょう。

この作品にエッチシーンの質なんて全然求めていませんでしたが、なかなかどうして頑張っていました。特にほなにーこと桂沢穂波のエッチシーンは1人浮いてるほどエロい。「お、おま○こ、気持ちよかったです……」と淫語を口にしては、正常位でエッチの後、フィニッシュに自ら顔射を要求するという、ほんわかハートフルコメディにあるまじきエッチシーンでした(褒めているんです)。

これを手がけたのはきっとJ・さいろーさんの方だろうな思っていたら、やはり案の定。作風を無視してでもエッチシーンを手抜きしない姿勢は、賞賛されるべきことだと思います。多分。

そりゃあ、ゆのはですよ~。久々に私もロリに転んでしまいました。

ゆのはの魅力には「声」も大きく貢献しています。CVは七原ことみさんという聞き慣れぬ方でしたけど、これが初仕事なのかな? それとも誰かの別名? 詳しいことはわからないものの、彼女の声がすごくキャラクターに合致していて、お上手であったことは間違いない。「神の名において奉納!」「神の名において浄財!」の掛け声はすごく可愛かったね。きぃぃぃぃぃと癇癪を起こす時の演技も最高でした。

次にお気に入りだったのは、酒屋の娘高尾椿。今度は本来の私の守備範囲であるおねーさんです。「年上キャラは須らく巨乳である」と相場が決まっている中、椿さんはあんまり胸が大きくないってところが逆にそそられましたよ。年下の由真に対して、胸の大きさでジェラシーを感じていたりしたのには萌えます。
05年4月15日