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っていうか〜、さすがにコンシューマーのゲームでしょう。これは。
エロゲ特有の安っぽさ、如何わしさ、アンダーグラウンドっぽい雰囲気は微塵も感じられず、良い意味でも悪い意味でもエロゲであることを感じさせてくれない。パッケージ、取説、設定画集のいずれにも「エロ」が全く記載されていなかったぐらいですしね。コンシューマー移植は前提……というか、元々コンシューマーのゲームに、ムリヤリエロを付け加えたって感じですよ。
と、難癖の一つ二つでもつけたくなってくるような健全さなのですが、「そのクォリティたるや無視できるレベルではない」というのもまた事実。紙芝居AVGが跋扈(ばっこ)して幅を利かせているエロゲ業界で、この「うたわれるもの」の完成度は脅威の一言。
背景の美しさ、3頭身チップキャラの豊富なアニメーションパターン、優れたゲームデザイン等「見た目のクォリティ」は元より、一見しては見逃してしまうような細かな点、その隅々までも手抜きが見られないことは本当に素晴らしい。例えば、私が驚かされたのは効果音の演出。どんな些細なものにもちゃんと効果音が用意されている。こういうものを欠かさないだけでも印象は大きく違ってきますね。蟲の鳴き声、合戦の怒号なんかはよくできているなぁと感じました。
逆に、ここまで本気になられると、「ちょっと大人気ないんじゃないの?」と思えてきたり。昼休憩に皆で、ゴムボールとプラスチックバットを使って野球して遊んでいる所に、ヘルメットかぶって金属バットを持ち込んでくるような。それほど一人気合入りすぎな感もあるのです。
ゲームは、アドベンチャーゲーム要素とシミュレーションRPG要素が程よく融合したもので、双方ともに良く出来ています。シミュレーションパートは、良くあるファイアーエムブレム、タクティクスオウガのような体裁。私はやった事がありませんけどサクラ大戦が一番雰囲気としては近いのかも。
ただ、シミュレーションパートの方は至って単純なものでして、戦略をほとんど必要としません。属性の相性や、ボタン目押しによる連続攻撃なんかが戦いに幅を持たせてありますが、基本的には近づいて敵を叩いていくだけで、大概勝利は得られる。
敵コンピューターのアルゴリズムも、かのファイアーエムブレムみたく、弱ってる味方を寄ってたかってタコ殴りして、リセットボタンへと追い込ませるような意地悪さがなく、近くにいるヤツを考えもなしに攻撃してくるだけですから、こちらとしては組し易い。翻して言えばそれだけ戦略的な妙味が薄く、苦戦する事もないので張りがない。後半の冗長な戦いになってくると、さすがに飽き飽きしてしまいます。しかも、途中で中断(記録)が出来ないですからね。結構キツイですよ。
では、次にストーリーを(大まかな話の流れを説明するので、ネタバレを嫌う方は読み飛ばしてください)。
序盤は良かったです。記憶を失い迷い込んだ主人公が、村(集落)の何気ない日常に身を置くだけの話ですけど、そこに住む人々とのやりとりが楽しい。和気藹々とした村人たちとの会話を交え、作物の育たない畑、森に棲む「主」、病に伏せる少女、といった小さいながらも秀逸のイベントが揃っていて、ホント、「序盤」は良かった。
雲行きが怪しくなってくる(物語が盛り上がってくる)のは、主人公と仲間達が叛軍となり、「國」を相手に合戦を仕掛ける辺りから。村人のオッサンや女子供を率いた手勢で、戦争をおっぱじめるってこと自体が既に無茶な話なのに、そんな烏合の衆にも満たないような戦力でありながらも、「國」の誇る精鋭部隊と互角以上の戦いを繰り広げてしまうのには閉口…。しかも、あっさりと勝利しちゃうんですから。もう何がなにやら。「僕と友達VS国」で完膚なき勝利を収めるのは納得ができません。
どうやらこの反乱を終えるまでが一区切り、いわゆる「序章」のようで、主人公が自らの国を手に入れた後が、「うたわれるもの」の物語の本番となります(あえてここからの話を「中盤」と呼びます)。
さて、この「中盤」は例えるなら「戦乱戦国モノ」となっています。主人公は君主(皇)となって、戦国の世を戦い抜けていくストーリー。これはこれで面白いんですけど、話の広がりにおける弊害で、エルルゥ&アルルゥ(ヒロイン姉妹)の影が薄くなっていくのが残念。彼女らは兵隊じゃないただの村娘に過ぎないので、政(まつりごと)の話が主になってくるとどうしても目立たなってきてしまう。戦争もいいけど、もう少し恋愛的要素を深く取り入れて欲しかった。
そして「中盤」を越えれば、お次はだんだんイヤ〜な展開へ向かう、大崩壊の「終盤」に。…この辺りはプレイするのが辛かったですね。ま〜、なんというか……話を広げすぎなんですよ。飛躍のしすぎというか。
「序盤」のほのぼのとした話から「中盤」にかけて、突然、戦国草子に変容してしまった事にだって強い違和感があったというのに、「終盤」はいつの間にやら、ワケワカンナイやつらの独壇場となった意味不明な世界になってしまいましたから。「我ヲ…呼ンダカ…?」みたいなヤツが出てきてしまっては、脱力感も最高潮と言うものです。
そして、ロボット(っぽい兵器)や、天使(っぽい種族)や、人造人間(っぽいキャラ)や、スライム(っぽい生物)が際限なく入り乱れてきて、とうとう人間様の手の及ぶ戦いじゃなくなってしまいます。
積み上げてきたバランスは、もうガタガタのバラバラでしっちゃかめっちゃか。時代設定なんかは完全に無視して、歴史モノの面影は跡形を残さず消え失せています。序盤と終盤の変わり方は「幽遊☆白書」なみ…。いや、例えとしては「ベルセルク」の方がわかりやすいかな? 人間の戦いに化け物がしゃしゃり出てきて、話をメチャクチャにしてくれる訳ですから(ベルセルクは面白かったんですけどね)。「クライマックス」として盛り上げようとしているんでしょうけれども、ここまで話が大きく方向転換して別物になってくると、「もう好きにして」って感じになってしまう。水戸黄門の最終回で怪物と戦ったって嬉しくないでしょ。
結果として、一番初めの頃ののほほんとした村の生活が一番楽しかった。あの頃はエルルゥもアルルゥも活き活きとしていたし、義賊オボロとのやり取りも楽しかった。加えてヌワンギもイイヤツ(面白い)だった。これは単に、私の好みの話ってだけの問題ではないと思いますけどね…。
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