うみねこのなく頃に Episode4
メーカー〔07th Expansion〕 発売日2008年12月29日


現実逃避の果てにベアトリーチェが視える
※作品の性質上、一部ネタバレを含んだレビューとなっております。ご注意ください。

まだ完結していないから…と慎重になっていた部分がありましたが、このEpisode4で出題編の一区切りとなるので、もう言わせてください。

うみねこ面白すぎるぅぅぅーー!!

死ぬほど面白いです。誇張ではなく、過去のありとあらゆる作品と比較しても一番面白いです。世間的にはひぐらしには一歩劣るみたいな評価をされがちですが、私はそれが不思議でしょうがない。ひぐらしも素晴らしい作品であったことに異論はございませんが、うみねことは比較にならないと思っていますよ! Ep1からEp4までおしなべて面白い。あまりに盲目的すぎて逆に嘘っぽい印象を与えそうですが、本当に面白いんだから仕方ありません。

人間に犯行が可能かどうかの問いかけを、アンチミステリーVSアンチファンタジーというわかりやすい対決の構図に仕立て上げ、観念的なものに留めるのではなく、互いの立場をキャラクターに置き換えて、劇中で丁々発止の討論をさせる。この確固たるうみねこのスタイル、アイディアは何より素晴らしいですし、ベアトリーチェという愛すべき最高の好敵手の存在が、私の評価を揺るぎないものにしてくれます。

元々、私はライバル関係というものに激しく萌える性分でして、諸葛亮と司馬懿、夜神月とL、海原雄山と山岡士郎、司馬江太郎と石川玄等々、立場を違えた相容れない敵同士が、お互い切磋琢磨しながら火花を散らしているとハァハァしてしまう。心根では認め合っていたりすると尚いい! 男女関係も、適度に軽口を叩き合えるぐらいが好きなんで、ベアトリーチェと右代宮戦人の2人は本当に理想的な関係。彼らのいざこざ(≒イチャイチャ)を見ているだけで、私はこの上ない幸せに浸れますよ~。ご飯三合はいける!

なのに……。EP4では、そのベアトリーチェと戦人の啀み合い(≒じゃれ合い)がなかなか見られなかった。最後の最後に一応ありましたけど、ベアトリーチェが著しく戦意喪失状態であったせいで、これまでのような熱い議論をぶつけ合う展開にはなりませんでしたからねぇ。

ベアトリーチェが本調子でなかったのが、EP4の唯一にして最大の不服! 前回、しおらしくなったベアトリーチェは実はブラフで、戦人を陥れるための演技だった……というオチは最高に良かったですが、今回のベアトリーチェもEp3の尾を引くようにしおらしい。普段の強気で蓮っ葉な口調も時折混ぜて来るものの、それもなにやら空元気のようで、悲壮感を漂わせた弱々しさ。挙げ句、戦いをやめると駄々をこねては、涙ながらに弱音を吐き、自らの敗北を懇願する始末。これもまたブラフだという考え方もできなくはないですが、二度続けてこんな展開ではさすがに興醒め。

今回、メタ視点におけるディベートパートでは、ベアトリーチェの絶対真実である“赤文字”に対して、戦人が真相究明に用いる“青文字”という新たな要素が加わわりました。魔法犯行説を明確に否定しなくてはならない縛りはあれど、これまでの復唱要求に強制力を伴わせた強力な武器。青き真実で相手の急所を貫くか、それとも赤き真実であべこべに切り伏せられるか、一層の議論の白熱が予想されましたが、肝心のバトルが始まらないんだからどうしようもない。ようやく始まったと思ったら、今度は全然ベアトリーチェやる気ないし~。戦う意志のない相手を無理にリングに立たせて一方的に殴りつけても、ちっとも気持ちよくないですよ。苦境に立たされる戦人が形勢逆転して、憎たらしい(良い意味で)ベアトリーチェを追い詰めるのは、作中で最も盛り上がる瞬間であるはずなのに、今回は罪悪感しか残らなかった。お互いが全力でぶつかり合うからこそ、戦いは成り立つのになぁ…。


ベアトリーチェが元気ないわ、ディベートは盛り上がらないわ、おまけにミステリ色も薄いわで、単純な面白さという点では今回のEp4がやや見劣りしてしまったのは事実。でも、Ep4にはEp4ならではの見所がちゃんとあるんです。これまで六軒島の事件だけにフォーカスが当てられていたのが、Ep4では平行して戦人の妹縁寿(えんじぇ)の視点で12年後の世界も描かれており、同時に過去の真里亞の悲しい境遇も明らかに。これによって、うみねこの物語の外郭がおぼろげに見えてきました

縁寿の幸薄い人生も大概ひどかったですが、真里亞の不憫さには惻隠の情を抱かずにいられませんでしたね…。読んでいるだけで、胸がぎゅうっと締め付けられる。彼女の口癖、うーうーの意味を知ったときは思わずポロポロ。 ああもう……こういうのメチャクチャ弱いんですよ。「うぐぅ」とか「はわわ」とか「てまー」とかその手の萌え語は大っっ嫌いなんですが、それぞれに深い意味があるのかと思うと今後叩けなくなってしまいますね…。

六軒島での殺人事件はこれまでより随分簡素であったものの、まさかの譲治大活躍で大興奮。イマイチ存在感が希薄だった譲治が、実は武闘派で、あんなカッコイイ一面を隠し持っていたとは! 不敵な表情に痺れるぅぅ! 紗音のために総てを捨てられると豪語する譲治の真摯な愛にも心打たれましたよ!

締めは、やさぐれベアトリーチェとのディベートタイム。Ep1からEp4までの各Episodeの疑問・推理をまとめてベアトリーチェにぶつけることで、謎を解くヒントが見え隠れしてきました。“金蔵はゲーム開始時点で既に死亡していた”という、推理の前提をひっくり返す重要な新証言も明らかになりましたし、これは解答編を前にもう1度最初からプレイしなおさねばなりませんね。今までは物語を楽しみつつ、与えられたヒントを頼りに推理する受け身のプレイでしたが、2週目は自分から真相を暴き出してやる意気込みで。シュレディンガーの猫箱の詭弁が成立するなら、もはや伝聞や三人称の描写は全部疑って掛からないとダメでしょう。“戦人が直接目視した出来事以外は全部虚構”という前提でやってみたい。


未来(縁寿)・過去(真里亞)・現在(六軒島)・幻想(魔女)の4つの視点で物語が同時進行するだけあって、Ep4のボリュームは尋常じゃなかったです。これを冗長と捉えるかどうかは人それぞれですが、どっぷり物語に没頭していた私は、いただきますからご馳走様まで幸せな時間を過ごさせていただきました。エンターテインメント性に乏しかったEp4でも、謎解きの意欲を大いに促進させてくれる見事な仕上がり。出題編ラストを飾るに相応しいEpisodeだったと思います。それこそチェスにサクリファイスのように、最終局面で必ず活きてくるEpisodeでしょうね。

それにしても、夏コミから冬コミまでの短期間でよくもまぁこんなものを…。ゼロから創り上げたものではないにせよ、僅か4ヶ月あまりでこれだけの大作をリリースしてくるなんて俄に信じられません。論理が破綻しないよう推敲するだけでも大変そうなのに。某ミステリートの「続きは5年後!」に比べたら、数ヶ月後に毎回キッチリ続編を出してくれる竜騎士07さんはまるでオヤシロ様のように崇高な存在ですよ。あぅあぅあぅ。

EP4の最後の謎に挑戦してみたいと思います。惨劇のあと戦人がただ一人残され、他の人間は全滅。そして、「今から私が、あなたを殺します」と宣告された上で、最後に戦人も息絶える。さて、「私は、だぁれ…?」という問題。

「私はあなたではない」と宣言されているので、最も可能性が高そうな自殺は消えました。加えて、島外からの関与は一切ないとのことなので、他殺の線も極めて低いです。しかし、前回の南条殺しの推理と同様、何者かが戦人の体内に遅効性の毒を注入し、その後犯人が先に息絶え、続いて戦人が死んだ可能性はあります。これなら戦人が最後に死んでも他殺は充分成り立つので。

もう1つありそうなのが、病死という線。つまり、戦人を殺す私とは「病」ではないかと。戦人は何らかの病に冒されていて、他者への感染が大量殺人という惨劇を生んだ。伝染病であれば、アリバイも密室もまったく関係ないはず。「そなたの罪により、この島の人間が、大勢死ぬ」という“戦人が犯した6年前の罪”にも繋がり、辻褄が合いそう(本当に6年前の戦人と別人なら合わないですが)。

……問題なのは、ひぐらしと思いっきりオチが被っている点。六軒島症候群だけは勘弁してー!

出題編が終わったので、現時点での好きな登場人物ベスト10と新キャラの雑感を書き綴りましょう。

■好きなキャラクターベスト10■
 1位 ベアトリーチェ
お淑やかで上品で大人の女性という見た目のイメージに反して、実は粗野で下品で子供っぽい。けど、それがいい!! 粗野な振る舞いは感情表現の豊かさの表れですし、下品な言葉遣いは悪役としての効果的な演出。そして、子供っぽい一面がベアトリーチェの愛らしさを最高に引き出しています! ああ、もう私はベアトリーチェにメロメロ。彼女の顔芸……もとい、笑顔を見ているだけで幸せ。黒魔術に走った金蔵の奇行も今なら理解できる!

 2位 右代宮戦人
大胆なようで繊細。無能なようで聡明。激情家のようでクール。一面的では語れないところが戦人の魅力。ベアトリーチェに負けないぐらい喜怒哀楽の感情表現も豊かで、本当に2人は似た者同士ですよね。彼の思考や推理はプレイヤーである私といつも重なるので、非常にシンクロ率が高い。おかげで、私もうみねこの世界に没頭できています。

 3位 右代宮夏妃
見せ場はEP1ぐらいしかありませんでしたが、ベアト&戦人の2強を除けば未だに彼女が1番。夫に対する侮辱を自らの侮辱と受け取り、目上の相手でも本気で怒ることができるのが素敵。それでいて夫に対して卑屈になるのではなく、誰よりも気高いプライドを持っている素晴らしき良妻。上流階級でありながら躾のなっていない右代宮家において、夏妃は誰よりも気品に溢れていますよ!

 4位 右代宮縁寿
仏頂面で気怠げな感じがいいね~(彼女の境遇を考えれば詮無きことですが)。毒舌を超えた冷徹なツッコミが冴えていて、特にガァプに対するツッコミは笑えました。彼女は今回限りでお役御免? 一般人気を獲得しやすいヒロインなんですから、使い捨てちゃうのは勿体無い気がしますね…。エコしましょ。

 5位 右代宮真里亞
悲しみを内に抱えながら、それでも幸せを見出そうとする真里亞に涙。おかげで楼座株は投げ売り状態ですが。でも、真里亞と楼座の関係は、観鈴と晴子の関係(AIR)と重なるんですよね。いつか楼座も母親らしさを取り戻してくれるんじゃないかと。

 6位 右代宮秀吉
気難しい絵羽をも鷹揚に受け止められる懐の広さ。殺伐とした空気を宥められる人柄に良さ。裏表が激しい登場人物の中で、秀吉だけが唯一まともな人間です。だからこそ怪しい!?

 7位 右代宮譲治
Ep4で区間新記録をマークしました。これまで最後尾辺りをうろうろしていたのに、一気に5,6人ごぼう抜きですよ! 穏和な人柄の中に、秘めた野望と冷酷な一面を隠し持つ。さすが秀吉と絵羽の息子。

 8位 右代宮霧江
理知的なカッコイイ女性。Ep4で戦人が明日夢の子ではないことが判明しましたが、となるとやっぱり母親は霧江さん? 霧江は戦人が生まれる同時期に流産したという記述がありましたし、何らかの関連がありそうです。

 9位  右代宮留弗夫
言動の端々にプレイボーイだった頃の名残が見えてすごくカッコイイ。憧れの存在。いつも最初に死んじゃうのが残念。もっと長生きしてくれればもっともっと留弗夫の魅力が出てくると思うんだけどな~!

10位  右代宮絵羽
すっかり悪役が板について人気も低そうな絵羽。でも、彼女の家族に対する愛情にはすごく好感が持てるんです。秀吉が殺されたら、逃げることも忘れ彼に寄り添って悲しんでいるところにグッと来てしまいました。熟年夫婦の愛ってものすごく好き。

■新キャラクター■
 ガァプ
「チャック開いてるよ!」とツッコミを入れずにはいられない奇抜な衣装で、度肝を抜いてくれた彼女。一目見たら忘れられないインパクトです。コミックマーケットでガァプのコスプレしていたら注目の的でしょうね。ただし美人に限る!

 天草十三
重要なキャラクターっぽかったのに、意外に見せ場なかったね。Ep4は顔見せ程度? これからの活躍に期待!

 さくたろう
おい、元に戻せ…。

以下に掲げる三つの内、二つを得るために、一つを生け贄に捧げよ。
一.自分の命
二.ベアトリーチェの命
三.それ以外の全員の命

3!! ベアトリーチェと2人で優雅に六軒島で暮らします。

Ep4では元気がありませんでしたが、次回こそはいつもの調子を取り戻して欲しいですね。戦人との関係が険悪になりすぎているのも気掛かり。Ep3のようにデレてしまうのも嫌だけど、険悪になるのはもっと嫌。お互い罵りあって喧嘩している関係が一番心地好いです。
2009年1月19日