うみねこのなく頃に Episode3
メーカー〔07th Expansion〕 発売日2008年8月16日


デレデレ詐欺
※作品の性質上、一部ネタバレを含んだレビューとなっております。ご注意ください。

今回は密度濃かった~。最初から最後まで驚きと謎に満ち溢れており、興奮して語りたいことが山のようにありますよ! とてもレビュー(感想)ではまとめきれないぐらい。

Episode3は、前回以上にメタ視点における魔女との論戦シーンが多く割かれており、両者の対決の構図が色濃くなっていました。チェスに準えながら、アンチミステリーとアンチファンタジーの立場でお互いが持論を指し合い、相手をリザインへと追い詰めていく。もはや、うみねこの最大の見所は、ミステリでもサスペンスでもホラーでもなく、ベアトリーチェとのディベートにあると思いますので、この丁々発止の舌戦はひたすら熱くて面白い!

ベアトリーチェさんの清々しいドSっぷりも健在。自分が優位に立ったときの増長は凄まじく、勝ち誇ったニヤケ面と小馬鹿にした嘲笑で容赦なく煽り立ててくれます。

「こうして目の前でブォンブォンカキンカキンやられちゃあ、台無しだよなぁああぁ?」
「これはファンタジーなんだッて! 目を閉じるなよ、しっかり見ろよ、ほらほらほらほらァ!!」
「お~~いぃ。戦人ぁ、どーこだぁあぁ? もうイジメねぇから出て来いよぉ」


ああっ、なんてムカツク!! でも、そんなムカつくベアトリーチェが愛らしくて愛らしくて堪らないっ! どれだけ激しく啀み合って対立していても、私の目にはもう、2人がイチャついているようにしか見えませんしね~! 山岡士郎と海原雄山のように、反発し合うことで感じさせる高次な愛情ですよ!

しかし、ベアトリーチェのドSっぷりを堪能するということは、アンチファンタジーの立場として苦境に立たされているということ。Episode2でも、手からビームのような剣を出したり、山羊頭の執事がぞろぞろ現れたり、トリックでは到底説明できない正真正銘のファンタジーを見せつけられましたが、今作では更に、地表が割れ巨大な2基の塔が突然聳(そび)え立つわ、呼びかけ1つで7体の巨人兵が馳せ参じてくるわで、何でもアリのとんでもない状況に…。

言い逃れする余地を一片も残さない壮絶なファンタジーを前に、戦人は返す言葉もなく、逆ギレ気味に思考を放棄するのみ。確かにここまでくるとどこから否定すればいいのか、それすら見当が付かない状態ですからねぇ。泣き出したくなる気持ちもよくわかる…。考え得る可能性としては、夢オチ、薬物による幻覚、SF的オーバーテクノロジー、もしくは雛見沢症候群ぐらいしか…。

ですが、今回はそれらアンフェアな手段は用いず、ちゃんと「納得の行く理屈」を提示してくれました。それはシュレディンガーの猫を例に、目の前で行われた魔法バトルを“不確定の現象”として“なかったこと”にするというもの。結果として死は残されていても、魔法という過程が証拠として存在しない以上、魔法バトルが現実に行われたものかどうかは不確定。ゆえに、明々白々に魔法を見せられたとしても、演出上の表現として“なかったこと”にしてしまえるわけです。六軒島はそれ自体が大きな密室なので、島内で行われた犯行方法は如何様にも解釈できてしまうと言う理屈ですね。

反則ギリギリというか、許せる範囲ギリギリの反則技って感じなんですけど、一応理にはかなっていますし、牽強付会というほどでもなく、雛見沢症候群の100倍は納得出来る理由。素直に感心する部分が大きかったので、これなら私は文句はないです!


ともあれ、突破口を見出し、最大のピンチを乗り切った戦人は見事復活。ファンタジーに対して受け身になるのではなく、敢えて攻勢に出ることで形勢を逆転。「復唱要求!」で相手を徹底追求しておきながら、逆に自らに説明責任が及ぶと「説明拒否!」で鮮やかに切り捨てる戦人はカッコイイ~。まるで野党議員のような横暴さですけど、これこそが魔女との舌戦においては最も効果的な戦法。Episode2では終始イジメられっぱなしだっただけに、反撃の狼煙を上げて責め立てる戦人の姿には胸がスカッとしましたよ! さぁ、面白さが一気に加速してきたぞ~!


ところが、ここでせっかくの良い流れを遮るアクシデント。なんと、残虐な殺害の手口にはしゃいでいるベアトリーチェに戦人が嫌悪感を示して、一方的に対戦をボイコットしてしまうんですよ。「何故今更?」という感じがしないでもないですが、これを機にベアトリーチェの強気の姿勢が崩れてしまい、嘘のようにしおらしくなって、あろうことか、これまでの悪辣非道な行いを改悛し始めるのです。

正直、ここでベアトリーチェが日和ってしまうのは大きなショックでした。いくらお似合いのカップルだとはいっても、立場上はあくまで敵対しているライバルなわけですし、相手に嫌われたぐらいで簡単に落ち込んでしまうなんてあり得ない…。こんな安易なデレを見せられてもちっとも嬉しくないです。

白熱した舌戦が繰り広げられたのは、全力でぶつかり合える好敵手だったからこそなのに、相手が弱気になってしまえばそれも台無し。いずれ戦人とベアトリーチェが和解する日が来るにしても、それはもっともっと先延ばしすべきことでしょう。まだ決着もついていないうちに、改心してしまうなんて興醒めですよ! 山岡士郎と海原雄山が第3話で和解したって、誰も喜ばないでしょうに!

強大な敵に立ち向かうため、かつてのライバル同士が手を組み戦うバトル漫画のお約束シチュエーションは確かに燃えるところがあったものの、ライバル喪失の痛手はそれを遥かに上回る。あれだけ楽しかったベアトリーチェとの舌戦が見られなくなるってだけで、今後のモチベーションが激減ですよ…。Episode4は何を楽しみにすればいいのやら。あ~あ。つまんないことしてくれたなー。

……とふて腐れていたら、最後の最後にとんでもないどんでん返しがあったんですけどね。いやはや、まさか最後の最後にあのようなオチを持ってくるとは~。私は太陽と北風作戦にすっかり引っ掛かっていたようです。ベアトリーチェの深謀遠慮を見抜けなかった私が間抜けなだけでした。一瞬でも「Episode3は駄作かも…」と疑ってしまった自分を、今はただ恥じ入るばかり…。本当にごめんなさい! でも、これでホッとしましたよ~。やっぱりベアトリーチェはこうでなくっちゃね!


予期せぬ展開に右往左往と翻弄され、熟慮の末に思いついた推理は次々と看破され、仕掛けられた落とし穴には片っ端から嵌ってしまう私は、作者の掌でまんまと踊らされていたことを改めて実感。私の浅はかな考えなんて、竜騎士07さんには1から10まで見通されているような気分。でも、だからこそ、うみねこのなく頃にを余すことなく楽しめているとも言えるのかも? 次のEpisode4でも、この身体、お好きなように弄んでくださいませ。

今回は一番の謎である南条の死について推理してみたいです。南条は自殺でもなければ事故死もでもない他殺。生存者は全員シロだと赤文字で断言され、外部犯の存在も否定。他殺なのに容疑者がいないという完全なる不可能犯罪で、打つ手なしの難問です。

しかし、ここまで赤文字で雁字搦めにされると、逆に考えも絞られてきます。生存者が全員シロだと決まっている以上、犯行は死亡した誰かだと考えるしかないですからね。つまり、時間差で殺害したのだと。トラップによる殺害も否定されたので、一見その可能性は封じられているように思えますが、不思議なことに毒殺に関しての言及は一切なかった。「凶器を構え、真正面から至近距離で殺した」との説明だと、ナイフのような武器を連想しますが、遅効性の毒を含んだ注射針でも意味は通じるはず。朱志香は犯行を目視していないため、“その場で何者かに殺された”事実は観測者不在によって無効。よって、死亡した誰かが、毒を盛って南条を殺した可能性はゼロじゃないんじゃないでしょうか。

じゃあ、その犯人は一体誰なのかって? 説明拒否ッ!

新キャラクターが続々登場したEpisode3。各人の印象を。

ロノウェ
最初はベアトリーチェとの論戦に水を差す邪魔者だと疎ましく感じていましたが、執事としての有能性を知り、重要な役割だと気付きました。熱くなりがちで品性を失いがちなベアトリーチェを、宥めたり諫めたりで上手くフォロー出来ていますから。執事好きな私としては、一気に好感度アップ。余談ですが、源治の名字は呂ノ上なんですよね~。この2人の関係(同一人物?)が気になるところです。

ワルギリア
こちらは戦人の参謀として活躍。ロノウェに劣らない有能さで、頼もしい仲間でした。でも、悪ギリア

シエスタ姉妹
ひぐらしと違い、うみねこは直接的な萌え要素を廃した作品だと思っていましたが、彼女らは思いっきり萌え狙いのキャラでしたね…。そのため、やや場違いな印象も。いや、別に悪口のつもりではないんですけど…。

右代宮縁寿(うしろみやえんじぇ)
正体は直感ですぐ気付きました。気怠げというか、やさぐれた感じが妙に萌え心を擽ります。次回のEpisode4では彼女の活躍が中心になってくるんでしょうか? 気になりますね~。これまでベアトリーチェ一筋で来た私を、惑わす存在になって欲しい。

Episode3では、ベアトリーチェという存在が複数出てきましたが、私にとってのベアトリーチェは常にただ1人。これからもベアトリーチェはベアトリーチェです。
2008年8月23日