ティンクル☆くるせいだーす
メーカー〔Lillian〕 発売日2008年9月26日


リリアン先生のけだるい新作
「キャラクター、シナリオ、ゲーム性、エロ」の4つの要素総てが高いレベルで実現されていたプリっちは、打てて走れて守れてイケメンというスーパースターの素養を持つ素晴らしいエロゲでした。その血脈を相承するティンクル☆くるせいだーす(以下クルくる)にも、当然のことながら、期待感は高かったです。

作品のクォリティという観点では、充分その期待を満たしてくれていたと言えましょう。手間とお金が掛かっているな~という感じは存分に漂っていて、キラキラした画面演出とファニーな効果音で、楽しそうな雰囲気を全力で演出している。CGも1024×614と類を見ない高解像度。私にとっては初めてのワイド画面対応エロゲであり、画面いっぱいに広がる美麗なグラフィックは非常に気分が良いものでした。

バトルシーンの完成度も特筆すべきもので、複雑さを感じさせないながら奥深いシステム。ヴィジュアル面でもエフェクトを多用して迫力満点。ある程度のマシンパワーは要求されますが、それに見合うだけの価値はある美しさです。進化の乏しいエロゲ業界で、これだけ次世代感溢れるクォリティを見せてくれたことは素直に拍手。他のエロゲも、早くクルくるに続いてくれることを願ってやみません。


しかーし。いくらシステム面が優れていようとも、内容が散々じゃあまるで話になりませんけどねー。私が発売前に過剰な期待をかけた作品は、ガッカリな結果になってしまうことがもはや恒例行事となっていますが、クルくるもご多分に漏れず。エロゲの理想像とまで言わしめたプリっちと比べたら、その価値は目も当てられない大暴落でしたよ…。まさかアメリカ発の金融危機の余波が、こんなところにも影響しようとは。

一体このシナリオは何? 何が言いたいの? ていうか、こんなもの「シナリオ」と呼ぶことすらおこがましい話。言うならば、「ブログ」ですよ。芸能人が毎日更新しているブログと同じレベル。今日のお昼はこんなの食べたよ! 誰々と会ったよ! ギザカワユス! みたいな他愛ない日常生活の出来事を連綿と書き綴っているだけで、まったくといっていいほど中身がない。スッカスカのカラッカラです。

これが自分の好きな芸能人(私はしょこたん好きよ)なら、「だからどうした」で終わるような無駄話でも微笑ましく見ていられるでしょうが、好きでもなんでもない「誰?」っていうアイドルのブログで、どーーーでもいい話をムリヤリ読まされるのは苦痛以外の何物でもありません。皆さんも、気持ちはわかるでしょ?

しかも、ボリュームだけはやたらとあるから余計ウンザリ。中身ないくせに更新頻度だけは高いみたいな…(しつこいけど、私はしょこたん好きよ)。最初にクリアしたリア先輩のルートだけでも、費やした時間はおよそ20時間弱。気力でなんとか終わらせたものの、このあとにまだ他に4人も残っているのかと考えたら、ゾッとしましたね…。“命辛々でやっとバーサーカーを倒したら、まだ11個も命が残っていた”みたいな絶望感。そりゃ精も根も尽き果てますって。クリアすることにこれほどまで精神力を用いたのは、かのダンジョンクルセイダーズ以来…。ああっ、十字軍がトラウマになりそう!

それに20時間も費やして、ヒロインにまるで愛着が持てなかったっていうのも、ある意味すごい。クルくるは先にヒロインの魅力ありきで押し通してくるのが性に合わないんですよね~。ヒロインの魅力なんて後から付いて来るもんだと思うんですよ。なのに、クルくるは最初っから萌えさせようと必死。募金するつもりであっても、募金してくれ募金してくれと迫られたら募金したくなくなるのと一緒で、向こうから萌えてくれ萌えてくれと迫られると、萌えたくなくなります。萌えががめついんです。

プリっちの頃は委員長を始め、魅力的な人材がそれこそキラ星の如く集結していたのに…。今回はまさかのヒロイン全滅too late。だって、いくらなんでも精神年齢低すぎるんだもん。みんなきゃんきゃん声が甲高くて、見た目目以上に言動が幼い。つまらないことで大騒ぎしている彼女たちの姿を見ていると、「若いっていいなぁ」と急に老け込んだ視点で見てしまいます…。

でも、思えば、プリっちだってその辺は大して変わらなかったはず。方向性は同じはずなのに、何故プリっちが良くて、クルくるはダメなのか? 原因はいろいろあると思うんですけど、大きかったのは「エロ」の差ですかねー。NHK教育テレビでアニメ放送されてもおかしくない健全さでありつつ、そのイメージを台無しにするようなエロを盛り込んでくるところがプリっちの素敵なところでした。だから子供っぽいヒロインでも、それがギャップになって良かったんです。

一方、クルくるはイメージ通りの健全な内容。エロゲらしさを排除して、毒にも薬にもならぬ日常描写をダラダラ垂れ流しているから、印象を大いに損ねている。エッチシーンは最後の最後に申し訳程度にあるだけで、実質42.195kmの長い道のりを給水所なしで走破しなくてはなりません。節目節目でエロを設けて、「もうこんなの嫌だー!」と投げ出したくなるところを思い止まらせてくれたダンジョンクルセイダーズの方が、まだ親切でしたよ!

最後まで勿体ぶった割に、エロさはちっともですし…。半脱ぎ特化、純愛ゲーNo.1射精量、精液は拭わないと魅惑の謳い文句でエロに対する半端じゃないこだわりを感じさせながら、そのポテンシャルは活かされず。1回のエッチシーンの中で、2度3度続けてフィニッシュするところは確かにすごいです。偉いです。素晴らしいです。ファンタスティックです。……けど、エッチの内容自体は中の下。ヒロインも主人公も性格的に大人しいので、私には圧倒的に物足りなかった。

プリっちとクルくるの最大の相違は、この主人公の質かも…。今でも理想的な主人公の1人に数えられる(私の中で)プリっちの御堂真樹と、クルくるの咲良シンでは雲泥の差。出だしこそ、おバカな妄想を全開にして微笑ましい一面を見せたり、魔王の末裔として主人公らしい存在感があったりしたシン君ですが、その後、ヒロイン・脇役が台頭してくるとたちまち影が薄くなり、周りの意見に同調するだけの空気と化していく。もしクルくるの主人公が真樹君だったら、もっとヒロインの魅力を引き出せていたと思いますし、作品の印象も随分変わっていたはず。主人公が錆び付いたことで、周りのいろんな歯車が噛み合わなくなっているんです。


シナリオライターが変更されたわけでもなく、前作と同じくしげたさんが手掛けているのに、なんでここまで劣化しちゃうんですかね…。「キャラクター、シナリオ、ゲーム性、エロ」の4要素で支えられていた未曾有の傑作は、今や見る影もなくなり、かろうじてゲーム性に名残を見せるのみ。今回は更に丸谷秀人さんの名前も加わっているんですよ。ならもっとエッチシーンの強化が図られて然りでしょ? なんで逆にパワーダウンしているの? わからないなぁ。ホント不思議。

きっとこれは、メディアミックスに色気を見せた天罰ですね。コンシューマー移植を意識したり、アニメ化を睨んで作られたエロゲなんて、本当にろくな結果にならない。エロゲの神様が怒っているんですよ。

もう少し詳しくバトルパートの紹介をしておきましょう。ゲームのシステムは、時間制で行動順が回ってくるFFシリーズのATB(CTB)を模したタイプ。最初は単純で面白味ないな~と思っていましたが、キャンセル、ユニゾン、ランブル、アシスト、エクストラアタック等の様々な要素が絡んでくることで、戦略性に深みが増してきました。後半は一気に手応えも上昇し、私も思わずハマってしまいましたよ(やり込むほどじゃないですが)。

ちなみに、難易度はEASY・NORMAL・HARDの3種類から選べます。私は勿論HARDで始めたんですが、最初の敵との対戦でいきなり即死。しかも、こちらのターンが回ってくる前に全滅。「あれ~?」と思いつつ、再度チャレンジしてみるものの、結果は同じ。3度4度繰り返しても同じ。「どうしろって言うんだ!」と涙目になりながら、仕方なくNORMALに戻して再プレイしたのでした(屈辱)。

HARDは戦略性・テクニックも重要ですけど、ほとんど運の領域なんですね。そういうのは私は嫌いです。

お気に入りは、可愛いおねーさんタイプの九浄リア先輩……のお姉さんのヘレナ。リア先輩含めて、メインはみんな子供過ぎる。

ヘレナは攻略対象ではありませんが、トロフィーを集めることで「ヘレナとスペシャルなエッチ」を堪能することが出来ます。無論、私は頑張りました。攻略ルートを無視してでも、ヘレナとスペシャルなエッチのために黙々とトロフィーを集め回りました。そして、遂に念願の……! と思ったら、足コキ止まりでした。

ここで「足コキだけじゃなくて、他のちゃんとしたエッチシーンも作れよ!」と要求すると、まんまとファンディスク商法に乗せられてしまいそうなので、絶対に口にしません。足コキ上等
2008年10月30日