発売日 2011年3月31日
メーカー きゃんでぃそふと 
いざとなったらつよきす4学期
つよきす2学期は、まるで外国人が日本の習字に挑戦したような作品でした。書き順もメチャクチャの歪な字体で、本人は文字の意味すらまったくわかっていない。ただ手本を見ながらそれっぽいカタチを臨画しただけ。何故そんな外国人につよきすの続編を託したのか未だに疑問ですけど、とりあえず3学期ではその反省が活かされたのか、“つよきす”という文字を読める人がシナリオを務めています

新たにシナリオに据えられたさかき傘さんという方は、つよきすのノベライズで好評を得ていた方らしいのですが、確かに3学期はその評判も頷ける出来。つよきすメンバーの個性を正確に掴み、正しく動かせていますので、つよきす特有のキレのある掛け合いが再現され、あの愉快な日常が再び(三度ではない)繰り広げられています。フカヒレを殴ったり蹴ったりすれば笑いに繋がると履き違えていた三文ライターとは大違い。当然ながら、オリジナルのネタを丸々盗用するような恥ずかしい真似はしておりませんし、その2学期の瀬麗武・あかり・幾蔵・権田瓦といった不良債権をも有効活用。ターンアラウンドマネージャーとして優れた手腕を発揮されています。

「つよきすをプレイしている」という懐かしい感覚を再び(三度ではない)呼び覚ませてくれたことが、私にとって何よりの喜びですよ。それは原作の趣意をキチンと理解して、つよきすに対する愛情や敬意に溢れていたからこそ。つよきすの世界観の再構築という意味では、パーフェクトな仕事ぶりだったと評価したいです。

ただし、私がつよきすの続編に求めているものは「再生」ではなく「新生」。いくらオリジナルに近いものが作られたとしても、それだけで満足するわけにいかないんですよね~。タカヒロさんのエピゴーネンである必要はなく、世界観を踏襲しつつ新たなつよきすを描いてもらうことが本当の理想。つよきすの面白さを再現することに長けていた3学期でも、そこに新たな魅力があったのかというと実は微妙だったり。


でもね、これはしょうがない部分もあると思います。だって、同じスタート地点から三度目のシナリオとなれば、新たな魅力を要求するのは酷ですよ。3学期ということで、一応1学期からある程度の月日が流れてはいますが、実際のところ、キャラクターの関係性や距離感等は一切変わり映えしておりません。相変わらずなごみんは親の再婚に反発して夜間放浪しているぐらいですし(まだふて腐れているのかよ)、最初のつよきすから事態は何も進展していなくて…。

いっそレオたちを3年に進級させて、周りの環境を大胆に変えてしまえば「新たな」つよきすになり得たんですけどね。大学に進学した乙女さん、本格的にキリヤカンパニーの仕事に着手し始めた姫、料理人を志すことを決めたなごみん、多少女らしく成長した蟹沢といったように、同じヒロイン相手でも、自身の成長や環境の変革によって、また別の側面が見えてくるもの。

どんなに頑張っても三番煎じのシナリオが避けられない状況下で、むしろこの三学期はよく頑張っていた方です。つよきすはツンデレをテーマに、恋をすることでのヒロインの変化を楽しむ作品でしたが、3学期ではそのツンデレへのこだわりをなくし、直面した困難をヒロインと共に乗り越えることが主題となっています。それによって、1学期との一定の差別化を図ることに成功したものの、後半になってもヒロインの心境の変化に乏しく、イチャイチャデレデレっぷりが希薄になってしまったのは大きなデメリット。ラブコメを主食とする私にとって、ラブコメ成分がごっそり削ぎ落とされてしまったのは、やはり痛かった。

結果として、なごみんのデレっぷりや、よっぴーの黒さといった強烈な個性も薄まっていますし、主人公対馬レオも、スイッチの切り替えで熱血モードに入るのではなく、自然な高まりで徐々に熱を帯びていくようになってしまったため、物語としての盛り上がり方もイマイチ。全体的にインパクトが小さくなり、小粒な印象になってしまったことは否めません。


しつこいようですが、同じスタート地点による三度目のシナリオじゃ、これが限界だと思います。シナリオライターに責任はなし。オリジナルには及ばなくても及第点。対馬レオも1学期よりは見劣りするとはいえ、それでも対馬レオらしさは充分見せてくれましたから。意中のヒロインのために自分からしっかり男らしく告白し、いざというときは勇気を奮って困難に立ち向かえる。私の好きだった対馬レオが帰ってきました。

最後にもう1つだけ、3学期は告白→即エッチの流れでなかったところを評価したいです。エロゲは、告白とキスとセックスを一緒くたに済ませてしまうことがひじょ~~に多いのですが、告白が実った直後の甘い雰囲気に便乗して、ついでにセックスも済ませておこうとする卑怯な考えが私は好きでありません。告白もキスもセックスも1つ1つ特別な行事。ちゃんと段階を踏んで別々の日に分けて行いましょう。その方が楽しみも増えます。

祈ルート・豆花ルート・真名ルートのシナリオが強烈につまらない。理由は明快。このオマケシナリオは、2学期のライターさんが手掛けていたんですね。ああ、良かった。ホッとしました。せっかくさかき傘さんのことをベタ褒めしたのに、最後の最後で見損なうところでした。

つよきすのキャラクターはみんな好き! 全員が個性的で魅力的で。特に蟹沢のようなキャラクターは、今後代わりは出てこないだろうなとさえ思います。奇跡的なキャラクターメイキングですよ。

シナリオとしてお気に入りだったのは、近衛素奈緒。彼女は今回、随分素直な感じで可愛かったですね。ラブコメ要素が他のシナリオより幾分高く、くっついてからの急展開にもワクワクしました。オチが弱くて尻窄みしましたけど。
2011年4月13日