てとてトライオン!
メーカー〔PULLTOP〕 発売日2008年8月29日


トライオンを仇で返す
今年もやるよ~♪ 大晦日の大掃除レビュー! 2008年に大掃除するのは、秋葉原オフ会で草薙静流さんに頂いた“てとてトライオン!”ですー!

って、冒頭からいきなり失礼すぎる…!! すいませんすいませんすいませんっっ!! ていうか、そもそも人から善意でもらったプレゼントにあれこれ批評しようとすること自体、失礼極まりない行為ですからねぇ…。どれだけ人間腐っているんだって話。身銭を切っていない私が偉そうに語るなど、メーカーのPULLTOPさんに対しても申し訳が立ちません。もう深く考えれば考えるほどレビューしづらくなる状況なんですが、静流さん直々にレビューを書いてくれとのお達しは受けておりますし、やっぱりここは無礼を承知でレビューさせてもらおうかなと…。レビューすることが、静流さんの厚意に報いる道だと信じて…。

な~に、変に批判さえしなければ問題はないはずですよね! 「最高の作品でした! ありがとう!」との賛辞で括れば、静流さんに対しても、PULLTOPさんに対しても失礼にはならないでしょ。幸い、てとてトライオン!はとても評判の良い作品ですし、わざわざ粗探しして悪口並べる必要もありません。うんうん、穏便なレビューで済ませれば平気。よし決まった! 今回のレビューはベタ褒め路線だ! 褒めて褒めて褒めまくるぞー!


ではでは、まず手始めに物語の簡単なあらすじから説明しておきましょうか。コンピューター制御された近未来型全寮制学園が、巨大台風ハリケーンブラックによってシステムダウンしてしまい大混乱。一時的に機能を取り戻すも、トラブル頻発で依然不安定な状況が続く。そこで生徒会会長を中心に選ばれた獅子ヶ崎トライオンの面々が、力を合わせて学内の施設を復旧させようとする! みたいな感じです。

「獅子ヶ崎祭までに全施設を復旧させる」という明確な目標があるおかげで、物語にはすんなり入り込みやすい……はずだったんですが、オープニングはまさしく台風を思わせる慌ただしさでした。個性の強い破天荒なキャラクターたちが次から次へと現れては、終始ハイテンションでどんちゃん騒ぎ。初対面からやたら馴れ馴れしいヒロインたちと、訳もわからぬままハプニングの渦中に放り込まれている展開は、まるで起承転結の「承」から始まった印象さえ受けます。すぐ作品のノリに打ち解けていける人なら最初から楽しめること間違いなしでしょうが、そうでない人は開始数分で早くも置いてけぼりを喰らうこと必定。も、勿論、私はそんなことなかったけどね!

共通の目的意識は、仲間同士の結束と、行動の動機付けにも一役買っています。何の目的もない平凡な学園生活を描いた萌えゲーの場合、どうしてもダラダラした感じになりがちですけど、てとてトライオン!は弛緩することなく、常に盛り上がりの状態を維持できているのが良い。作品全体で盛り上げようとする意志は見て取れますし、気合い入っている感はプレイヤーにも存分に伝わってきます。演出が過剰……もとい、丁寧な上に、時折入るデフォルメキャラのカットインがウザイ……もとい、萌え萌えなので、見ているだけで楽しくなってきますよ♪


あとは、お気に入りのヒロインがいるかどうか。てとてトライオン!は勢いとテンションだけで牽引しているようなストーリーですので、この盛り上がりの輪の中に入れなきゃ何も始まりません。通常、目当てのヒロインを通して輪の中に自分も入り込んで行くものですが、もし好きになれるヒロインが誰もいなかったら最悪。=入り口がないってことですから、当然輪の中に入れず、お外でひとりぼっちという疎外感を味わいます。メインである夏海、一乃、手鞠、鈴姫に魅力を感じなければ、その時点でゲームオーバーってこと。え、私ですか…? わ、私はその……えっと……う、うん、会長はすごく良かったよっ! 生徒会長の一乃先輩は良かった! どこがって言われると……か、可愛いところかな!

恋愛描写に関しても不満…じゃなかった、もう一声あれば嬉しかったところ。目標に向かって協力していく内に、仲間としての連帯感や友情が深まっていくのはわかるんですが、異性として意識する描写がほとんどないのに、いつの間にかお互い恋愛感情を抱いていたのはどうも…。唯一お互いを意識するのは、手と手を握ってTRY ON!する時だけ。手を握るという何気ない行為が、普段意識していなかった異性を少しだけ感じる瞬間だったのは私も共感できて良かったんですが、それだけで恋心に発展するのは少々説得力不足ですわね。

一方で、真一郎君の積極的な姿勢は、萌えゲー主人公として久しぶりに好感が持てるものでした! 彼は行動力こそあるものの、主体性には欠けていて周りの成り行きに身を委ねっぱなし。おかげで喧し…賑やかなヒロインたちと比べて存在感が希薄だったのですが、恋愛においてはキッチリ自分の意志を通せていたので、途中から好感度が急上昇。

会長が好いてくれるから、俺も好きになるのか? そうじゃない! 分かってるだろ、自分の気持ちくらい!

この独白にはキュンときましたよ。よくぞ言ってくれた(思ってくれた)という気分。「俺も」ではなく、「俺が」「俺は」と言えてこそ主人公の甲斐性。一度心に決めたら勇猛果敢にアタックできる心意気は素晴らしいです(向こうの気持ちを知ってからじゃなければ、もっと良かったけどね)。「鈍感装って相手の告白待ち」が基本戦略の弱腰主人公どもは是非見習って欲しい。


というわけで、最高の作品でした! ありがとう! ……む、無理があるかな? いやいや、でも作り手の愛情を感じる良い作品でしたよ。総てのキャラクター、特に攻略対象ではないサブキャラクターの描写にも力を入れていて、暖かで楽しげな空間が生まれています。皆さんが絶賛されたがる気持ちもよくわかる。私も何とかオール褒め言葉でレビューが書けました。これなら静流さんにもPULLTOPさんにも恨まれずに済むでしょう。ふー、肩の荷が下りた。

今まで「ヒロインは全員好きだけど、主人公がムカつく」ってパターンは数え切れないほどありましたが、「主人公は好きだけど、好きなヒロインが不在」というのは初めてのパターン。初めての経験で戸惑っております。ノリがいい娘は大好きでも、騒がしい娘になると苦手という微妙な私の線引きを察して欲しい…。

人気投票の結果を見てみると、一番人気は手鞠なのね。「てまー」とか「てままっ!?」とか訳のわからない奇声を発するので、「ああ、捨てキャラか…」とすぐさま私の視界から消えてしまいましたけど、後半ダーリンと呼ばれて甘々な展開になるところは確かに可愛いと思えたかも。あの「てまー」さえなければ。「てまーがいいんだろ!」と反論されるのは目に見えていますが…。

この作品をプレゼントしてくれた静流さん、改めてありがとうございました。そして、すいませんでした! なお、点数まで付けるのは本当に失礼すぎるのでNC(ノーコンテスト)とさせていただきます
そこまで私は肝が太くない。
2008年12月31日