発売日 2010年7月30日
メーカー Chuable soft 
三度フラれたらもうノーチャンス
「いつも女の娘にモテすぎてつまんないなぁ」「可愛い女の娘に次々言い寄られるのも、そろそろ飽きてきたよ…」 Sugar+Spiceは、そんなエロゲユーザーの皆さんが持つ日頃の鬱憤を解消するのに打って付け!

なんとヒロインと付き合うためには、自分からわざわざ告白しなきゃならない上、なけなしの勇気を振り絞った告白が、「あなたって、本当に最低の屑だわ!」「あなたなんて大嫌い、死ねばいいのに」と無下に断られてしまう(セリフはイメージです)夢のようなフラれゲーなんですね! 散々思わせぶりな態度で気を持たせておきながら、いざ告白するとあっさり拒絶してくる理不尽な女心に、さぞかし皆さんも打ち拉がれたいことでしょう。


私もそんな快感を追い求めて早3作目。しかし、未だに満足できる境地には至らず…。告白システムのアイディアには二重丸を付けたいものの、システムにまつわる幾多の欠陥が手付かずのまま。3作目でもちっとも修正されていないなんて、もはや改善する意志はないってこと?

日常イベントの羅列で物語が進行するシュガスパは、男女の色っぽい話よりも、仲良しグループでの掛け合いが主軸。おかげで、ヒロインとの関係に進展がほとんど見られず、お目当ての彼女と2人きりになることすらままなりません距離感を縮まりを実感しにくいまま告白に挑まなくてはならないため、タイミングの見極めが非常に難しいんですよ。連絡先を聞いて、2人の会話を重ねて、デートに誘って……といった通常の恋愛プロセスを踏まえてから私は告白したいのに、現状は合コンやっている最中に告白しろと言われているようなもの。そんな無茶苦茶な!


それでもまだ、「彼女が欲しい!」「○○のことが好きだ!」という熱いパッションが胸に込み上げているならば、タイミングなんか関係なく、想いの丈をぶちまけて告白しますよ。けれど、主人公自身にまったくその気がないので、こちらとしても全然気分が高まらないんですよねぇ。

シュガスパ2の主人公は、紳士気取りでやたらと女の娘に優しく、本人に向かって平気で可愛いだの綺麗だのと煽てたり、結構女たらしな一面があるんです。それ自体は悪いことではない、むしろ、積極的に粉をかける主人公の姿勢は歓迎できるのですが、たちが悪いのは当人に一切の下心がないという点。

夜道を出歩くクラスメイトをそのまま家まで送ろうとしたり、ホテル暮らしのクラスメイトを自分の家に住まわせようとしたり、特に親しい間柄でもない彼女のためにここまで優しく接するのは、当然彼女に対して気があるからですよね? ところが、彼はあくまで純然たる親切心だけで行動しているんです。クラスメイトの女子に同居を持ちかけながら、「まったく意識していません」なんてあり得ます? 「同居をきっかけに仲良くなれたらいいな」ぐらいの淡い期待を持ってお誘いするもんでしょうに、そんな微かな下心すらも持っていない主人公は気味悪くて仕方ない…。2人で一夜を共にしても、まったく興味なしと言わんばかりにすやすや安眠。10代で一番異性に興味があるであろうこの時期に、なんでこんな達観したオッサンみたいな精神性なんだか。

下心なき恋愛ゲームの主人公など、野心なき国盗りゲームの主人公と同義。そんな人のために、こっちが一生懸命努力するのはバカらしいです。主人公が彼女作りに熱心でなく、アマガミのように「彼女を作る」ことがゲームの目的になっているわけでもないので、冷静に考えたらヒロインに告白する理由が何もない。その事実に気付いてしまったら、あれだけワクワクしていた告白システムが一気に虚しいモノに感じちゃいました…。


告白システムの批判だけに文章割きすぎだろと思われるかもしれませんが、ぶっちゃけ私のこの作品に対する興味は告白システムが9割を占めているので、仕方ないです。どうせシナリオは下の中。最初から期待などしていません。

銀河のシナリオなんて、ピアニストの夢のために海外に渡ることになり、ピアノを選ぶから主人公と別れるとかなんとか。完全に90年代ドラマのノリ。「いやいや、遠距離恋愛頑張ろうよ」とフツーの感覚だとそう思うはずなのですが、何故か2人は夢と恋が二者択一であるかのように懊悩し、チープな悲恋ごっこを始める。その後、ピアノで勝負とか訳わかんない展開になって、結局、ピアノも続けて恋人も続けるという超フツーの答えで終わる茶番(あ、ごめんネタバレ)。大阪から京都に行くために、わざわざ伊丹空港から羽田まで飛行機で移動して、京浜急行で東神奈川を経由しながら新横浜で新幹線に乗り換え、苦労したけどなんとか京都に到着しました的な話ですよ。新大阪からJR京都線使え! 30分で着くわ! こんな何事でもない結論のために、あれこれ紆余曲折させる必要あったの? ちっちゃな話を無理に遠回りしてドラマティック装わないでください。

銀河ルート以外でも、何かと最後に愁嘆場を持ってきたがるシナリオライターの悪癖が目立ってしょうがない。毎回、恋人関係を危機を煽っては感動路線にしたがりますんで…。全部のシナリオでヒロインがメソメソ泣いていたんだもんなぁ。もうウンザリ。せっかく告白が実っても、すぐこんな暗~い話になるんじゃちっとも楽しめないや。


今までは、次回作への期待感から、敢えて短所に目を瞑り長所をフィーチャーした優しい(?)レビューを書いてきましたが、三度目でまったく成長見られずとあっては、さすがに擁護する気なし。Chuable作品は今回が最後になりそうですし、言いたいことを全部言わせていただきました。ミャンマーのような印象的なヒロインがいなかった分、単純に前作より価値の下がる作品でしたしね。

一度クリアしたデータは引き継ぎ可能。次回プレイ時に好感度持ち越しで始められるので、その気になれば序盤でいきなり告白して速攻交際できます。

しかし、彼女ができても共通イベントは平行して起こりますので、いろんな弊害が出てしまっています。既に風花という彼女と同じ屋根の下で暮らしていながら、途中でクラスメイトの薫子を自分の家に住まわせたり。自分の彼氏が、他の女とも一緒に同居すると言い出したら、喧嘩どころじゃ済まないと思うんですが、風花は不気味なほど反応なし。Chuableさんは、もう告白システムやらなくていいと思う…。

遠野薫子は最初素っ気なく、唯一「距離感のあるヒロイン」だったのに、同棲という超余計なイベントのせいで台無し。それからは、普通に仲良しグループの一員となって、特別感がなくなってしまいました。
2010年8月10日