発売日 2003年5月2日
メーカー Foster 
見よう見まね
花の記憶や、ここは楽園荘といった、4コマ漫画みたいなエロゲを作り続けてきたFosterさんが、突然長編純愛AVGに挑戦するとの無謀を聞き、一体何を血迷いになられたのかと心配する次第でしたが、そんな不安を余所に、このSTAGEは意外や意外、上手くまとめられた良作でございました。


野球で挫折を経験し、日々を怠惰に無気力に生きる主人公。彼の素行を心配するクラスメイト立花千尋が、更生のきっかけにと誘ったのは演劇部。初めは頑なに固辞していた主人公も、生まれ変わる決意を新たに入部を受け入れた。

演劇を通して今までの怠惰な自分と決別し、一心不乱に劇の練習に励み始める彼には、軽い感動を覚えましたね。演劇部のみんなと一丸になって、1つの目標に邁進していく青春ドラマは嫌いじゃありません(好きってこと)。

STAGEは決して特別なお話なんかではなく、ただ普通に、劇の稽古に励む学生たちの日常が描かれているだけのシンプルなストーリーですので、昨今の装飾過多気味の物語に慣れていると、イベントも大人しく、大きな盛り上がりもありませんから、正直物足りなさも感じてしまうでしょう。しかし、さりげない日常の中、演劇部の女の娘と会話して、悩んで、迷って、恋をして、そんなフツーのやり取りがこのSTAGEでは楽しいのですよ。もともと、部活動に励む学生生活とは、それだけで魅力がいっぱいあるものですからね。敢えて余計な装飾をせずとも、充分楽しめてしまう。

一方、主人公たちが学園祭に向けて演じる劇、つまりSTAGEの劇中劇も秀逸でした。都落ちのお嬢様ルチアナと朴念仁マルコとの恋模様を描いたこの劇中劇は、STAGEの物語と同時に先が気になってくる程でして、この存在がSTAGEという作品そのものにも大きなメリットをもたらしています。

JellyfishさんのGREENは、主人公が自主制作映画を作るというストーリーで、今回のSTAGEと似ている部分も多かったですけど、GREENの劇中劇は常識では考えにくいほどつまらなかった。だから、こちらも映画制作のシーンが楽しくなかったんですが、STAGEの場合はこの逆。面白い劇だから、その劇を稽古しているシーンも面白い


後は、これでもう少し演出が上手だったら、見違えるほど良い作品になりえたと思うのですが~。STAGEで惜しむらくは、この演出の下手さ。脚本はいいのに、演出にあまり気が回っていないから、イベントも淡々としすぎていて、メリハリがなくなっていた。BGMの使い方も変で、場面場面にそぐわなかったり、盛り上げるべきところでやけに大人しい音楽だったりと、モヤモヤした違和感が残ってしまう。もっと音楽を効果的に使えば、感動を促進できたはずなのにと、もどかしい気持ち。

それと、キャラクターの立ち絵のバリエーションが乏しさも気になりましたよ。劇の練習中、多くの場合立ち絵だけで話は進行していくのですから、それだけでも豊富なアクションが要求されるはずなのに、表情が微妙に違う立ち絵が数枚しか用意していないのは頂けない。立ち絵に限らず、一枚絵、背景等、CGは圧倒的に不足しており、物語にどことなく安っぽさが漂ってました…。

ま、でもこの辺の詰めの甘さは愛嬌かな。どうせ失敗するだろうと、高を括って始めた作品が、意外にも面白かったんですから、少々気になる箇所があっても怒りを感じたりはしませんよ。純愛ゲームのノウハウを持たないFosterさんがこれだけやれるのはすごいです。私も期待していないエロゲには優しい。

言うまでもなく、Fosterさんが今まで歩んできた分野は「エロ」であり、エロこそがFosterさんの原点。今もスーパーエロティックアドベンチャーを自負するその気概を、今回のSTAGEでも爆発させてもらいたかったのですけど……。どうやら、純愛ゲームに倣いに従って、牙は引っ込めていたようですね。

エロは超ソフト。1人にちょうど1つずつ割り当てられた義務としてのエッチでした。エロへの期待はしないに越した事はありません。誰も本気で、Fosterさんが純愛ゲームへ走ってほしいとは思っていないんですから、純愛ゲームでありながらも、今まで培ってきた変わらぬエロを発揮させるべきだったのにねぇ。それが本当に純愛ゲームで勝負してるんだもん。わかってないなぁ。

世話焼きクラスメイト、立花千尋。彼女とのイベントの一番のヤマは、序盤、部室で彼女に謝罪するシーンだと思います。
2003年5月4日