発売日 2003年1月31日
メーカー Studio Mebius 
踊れ 雪よ やまないで今は
えっと、言いたい事はいろいろあるんですが、とりあえず義務として言っておかなくてはならない事が一つ。このSNOWは、Keyさんの作品を模倣しています。

ONEやらKanonやらAIRやらの設定を流用(というより盗用?)した、完全なるKey作品。オリジナリティはかなり低いといっていい。MebiusさんもKeyさんと同じビジュアルアーツ系列ですし、スタッフの間で何らかの交流があったのかもしれませんが、もしKeyさんのスタッフが全くのノータッチで、このSNOWというゲームが完成されていたとしたら、それは許されたものではないでしょう。それぐらい両者は酷似しており、影響を受けているといった言い訳では済まされないぐらいなのです。

ただ、不本意ながら、Keyさんの作品に酷似していると言う事は、つまらない作品ではなかったという事も意味している。基本的にSNOWは良くできている作品で、荒削りな部分は感じず作りは丁寧。システムに大きな不備はありませんし、グラフィックをはじめ、演出の上手さなんかは最上級のレベルを誇っていたのです。制作費もそれなりに費やしておられるみたいですし、ちゃんと“大作”の様相は醸されているんですね。

登場するキャラクターたちも、Key歴代ヒロインの面影が感じられるだけあって、個性の面では良くも悪くも際立っていました。メインヒロインの雪月澄乃の「えう~」「うにゅにゅ~」「だよ~」とか奇妙な口癖を駆使する様に脱力感は隠せませんが、そんな苛立たしさを上回るぐらい、彼女には愛おしさを感じてしまった。変な口癖も、ストーリーが進んでいく次第に慣れてしまって段々気にならないようになってくるので、さしたる問題にはなりませんでしたのよ。痘痕(あばた)もえくぼとでもいうのか、本来心の底から嫌うような間延びした喋りや、「えう~」などの奇声すら可愛らしく感じられてしまうから不思議なものです。

でもまぁ、ストーリーに関しては…彼女の場合、イマイチっていうか散々なものでして……。いや、彼女に限らず、SNOWのシナリオはどれも面白いと思えるものではなかったんですよね~。

とにかく、ストーリー展開がどれも画一で、幸せの毎日から、急転直下、不幸へと蹴落とされてしまうというパターンばかり。「これからは2人の幸せな毎日が永遠に続くんだ……!」と思わせたところでズドン。頃合を見計らった所で、不幸へ真っ逆様に落としてしまうシナリオ。全部が全部、こんなオチで締め括られてしまっているのは如何なものでしょうか。

そして、不幸を被る標的はいつもヒロイン。今まで元気だったヒロインを、突然病気にさせたり、徐々に障害者にさせたりしては、それで感動してもらおうとする下衆な手法。Kanonの真琴シナリオや、AIRの観鈴シナリオで大感動してしまっている私なんで、あまり偉そうな事は言えませんけど、もうこういった感動という名目でヒロインを生贄にしてしまうようなやり口はお終いにして欲しいものですよ。

そりゃ、プレイヤーを感動させようと企てるなら、人を死なせたり不具にしたりするのが手っ取り早い。愛着を持っていたヒロインの身に起こった不幸であるなら尚更破壊力も増すでしょう。ですが、これは非常に卑怯な手段であるのですから、細心の注意を払って用いてもらわなくては困ります。不用意に乱発して良いものではなかったと思うのです。

Keyさんの場合ですとまだ手口が巧妙でしたから、いやらしさも目立ちにくいものでしたが、SNOWの場合は、その手口がミエミエなんで気持ち悪かった。2匹目のドジョウを狙っているのがバレバレで、その浅ましさが透けて見えてしまうようでは、せっかくの感動シーンも無様。感動のクライマックスで、こぼれるのが涙ではなく失笑ばかりであるというのは、さすがに問題でしょう。


この作品をプレイしてみて改めて感じるのは、やっぱりAIRやKanonは偉大だったんだな、と。Keyさんの作品に憧れて、上辺の雰囲気は上手に猿真似出来たSNOWでも、その全容をコピーする事は果たせていなかった。Key作品の良い所だけを必死にかぎ集めて数珠繋ぎにした作品だと言うのに、出来上がったのは単なる凡作だったのですから…。

何もKeyさんの作品を絶対視して、それを真似をする事を絶対悪であると言いたい訳じゃないですけど、SNOWがエピゴーネンに徹するなら、せめて元ネタを凌駕するか、最低でもそれと同等のレベルのものであって欲しいと思うのは当然の話。その為にはやっぱり、Keyさんの良い所を踏襲しながらも、また新たなアイディアを積重ねる必要があったんじゃないでしょうかね? SNOWの敗因は、それを怠ってしまっていた為だと思えてなりません。

Studio Mebiusさんの作品だけに、乗っていたバスごと拉致られて監禁凌辱ENDなんてものもあるのかな~と1%ぐらい思っていましたが、そんな事はなくて、ちゃんと純愛ゲームに徹しておりました。

エロさはKeyさんのレベルよりかは少し高いぐらいであっても、絵がメチャクチャ綺麗なんで、興奮の度合いは段違いと言えます。ただ、エッチの出来るキャラクターが、澄乃、旭、しぐれの3人だけに限られていたのはガッカリ。芽依子をはじめ、脇役と呼べる連中も非常に魅力的であっただけに、それぞれのエッチシーンはどうしても欲しかったなぁ。

お気に入りは長森澄乃だよ~(皮肉)。彼女が気に食わないキャラだったら、SNOWは全然つまらない作品になっていたと思うと、彼女が土俵際で頑張ってくれた意地には謝意を述べたい。

ちなみに私は、澄乃のオカン(母親)、小夜里さんにも心奪われてしまいました。だって、小夜里さん、見た目すっごく若くて綺麗なんだもん~。一児の母のクセに、どう見ても女子大生のおねーさんにしか見えない

澄乃のシナリオで、小夜里さんから何気なくバレンタインデーの義理チョコが貰えるイベントもあるんですが、でもこれってよく考えてみると、ありえないっていうか、言語道断であるはずですよね。友達(恋人)のお母さんからバレンタインのチョコを貰ったりすれば、普通引くでしょうし…。でも、小夜里さんの場合だと、まっっったく不自然さがありませんでした。これも小夜里さんの若さゆえ。恐るべし。

悪夢やら絶望やら、非人道的鬼畜エロゲばかりを作っていたMebiusさんが、真逆の感動系純愛ゲームに路線転換したインパクトも話題の一因であったSNOW。気の遠くなるような延期を繰り返し、やっとこさ発売に漕ぎ着けた曰くつきの作品は、いつしか計り知れない期待を背負う作品になってしまっていた。

私はSNOWに対して、必要以上に幻想を抱いていたのでしょうかねぇ。SNOWは凡作に終わる事は許されない作品だと、当たり前のように思ってしまっていました。本当はもっと、暖かい目で見てやればよかったのかもと反省しております。過度の期待を持たなければ、もう少しSNOWは楽しめた作品のような気がしますから。
2003年2月9日