巫女さんファイター!涼子ちゃん
メーカー〔すたじお緑茶〕 発売日2006年7月28日


物珍しさ先行の実力派
エロゲで横スクロールアクションをやろうとするだなんて、随分無茶な真似をなさりますな。その努力が売り上げに反映されるとも考えにくいのに、わざわざこんな厄介なものを自前で作っちゃうんですから、すたじお緑茶というメーカーは余程の物好きだと見受けられる。気に入りました


プレイヤーは巫女さんファイターなる緋之本涼子ちゃんを操り、奪われた「四神の玉」を取り返すべく、用意された5つのステージに挑むこととなります。道中、行く手を阻む魑魅魍魎(敵キャラ)たちには、相棒のポン太君(ぬいぐるみ)を縦横無尽に投げつけて追い払う。放物線を描くポン太君は、なかなか自分の思ったようなところへ投げられないのですが、その扱いにくさがゲームとしてのやりがいになっている感じ。単に武器として用いるだけでなく、高い壁を越えるときの踏み台として役立てたりもしますし、ポン太君をどれだけ上手に扱えるかがゲームの要であると申して過言ではないでしょう。

ポン太君を利用した式神ジャンプや、様々な効力の秘められた御札を駆使することで、ステージの要所要所に仕掛けられた障害を乗り越えていくように、この作品はアクションゲームでありながら、比較的パズル的要素の強いものでした。それはそれで面白さの一端ですので、頭ごなしに否定してしまうつもりはありませんけど、パズル要素に力を入れすぎるあまり、本来アクションゲームにとって大切な爽快感が阻害されていたのは気になるところ…。

紹介文には「敵をばったばったとなぎ倒していくゲーム」と書かれてあったのに、実際にはそういった楽しさが希薄でしたもの。スーパーマリ……なんとかのように、起伏に富んだアスレチックコースが待ち受けているわけでもなく、アクションゲームで得られるはずの爽快感はかなり低め。煩わしいだけの敵に邪魔されつつ、先へ進む方法を模索しながらあっちへこっちへウロウロするのはイマイチ面白くないな~。

ボス戦も指先のテクニックが要求されるというより、「どういう方法で倒すか」を考えるのが基本。もっと単純に、先へ先へと一直線に進みながら、迫り来る化け物たちを次々とやっつけていくゲームの方が面白かったんじゃない? 「ちゃんと遊べる」レベルの代物に仕上がっていただけに、どうにも消化不良を感じてしまう。


一方、ステージをクリアした後に待ち受けているご褒美エッチシーンは、思った以上の内容だったので満足。この手の作品は極限までエロが薄いと相場が決まっているはずなのに、なかなかどうして頑張っていました。

涼子ちゃんのエッチのお相手となるのは許嫁である信恒……の分身で、本体とは違い煩悩も欲望も剥き出しの男。「巫女さんとのエッチしたい!」という願いが満たされない限り元の身体に戻れないと言い張るため、やむなく涼子ちゃんがそのお相手を務めるわけですが、彼女は「本物の信恒のために貞操は守りたい」との思いから本番エッチだけは断固拒否。執拗に挿入を迫ってくる偽信恒を制しつつ、手コキやフェラや素股で満足させるという流れです。

以前、同じ巫女さんゲーである「巫女さんだーいすき!」のレビューでも語った憶えがありますけど、“挿入を迫る男と純潔だけは守る女”のシチュエーション(駆け引き)が私は大好きなんですよ~。色恋沙汰すら疎い涼子ちゃんは、当然エッチに対しても積極的な性格ではありませんが、挿入をお預けにしている引け目がある分、手コキもフェラも一生懸命やっている。「清純な娘をエッチに積極的にさせる」という人類の永遠のテーマを見事クリアしているなんて素晴らしいじゃないですか! 媚薬や魔法といった反則技を使わずに、この無理難題を解決させる手段は、そうそう他にあるもんじゃありませんよ。散々勿体付けた分、最後に訪れる本番エッチの有難味は増していますし、まさに一石二鳥です!

エロに限らず、テキストはその軽妙な筆致と、ト書きの独特な言い回しが面白く、個性の強いユーモラスなキャラクターたちを上手に描けていて好印象。「横スクロールアクション」という部分があまりに特殊なので、ついそちらばかりに目が向いてしまいがちですが、これはゲーム性、テキスト、エロ、あらゆる面が及第点に達しているバランスの良い作品だったのね。

廉価ソフトゆえ、どうしても物足りなさがあるため高得点は付けられませんが、確実に「すたじお緑茶」というメーカーさんの実力は計り知れる一品。次も買うことにしよっと~。

エンディングを迎えると、「おまけ」で新設ステージがプレイ可能に。オマケとはいえ本編を上回る膨大な量のステージが用意されていまして、その総数なんと50。難易度は9段階に分かれており、これを全部をクリアするには相当な腕と根気が必要であるはず。地面や壁にポン太君を叩き付け、跳ね返ってきたところを踏み台してジャンプなど、随所に高等技術が要求される厳しいステージが幾つもありますからね。こういう純粋にテクニックが試されるステージは面白いです。

由緒正しきご令嬢であらせられる涼子ちゃんは、その気品溢れる振る舞いと、素直になりきれない微妙な乙女心が大変魅力的な女の娘。普段は物怖じしない威勢の良さを見せていながら、こと色恋沙汰に話が及ぶと途端に戸惑いを見せる姿は可愛くて可愛くて

性に対してまったく無知ということでもなく、人並みの興味はちゃんと持っていて、ボーイズラブで仕入れた偏った性知識を窺わせる耳年増な一面もある。なんていうか、巫女さんってこんなにいいものだったのか~と今更ながらに気付かされた次第です。

“ゲーム性の高さ”“濡れ場のエロさ”“テキストの面白さ”いろいろと見所のある作品でしたが、今一番印象に残っているのは“涼子ちゃんの可愛さ”ですよ。
2006年8月18日