発売日 2003年2月28日
メーカー Leaf 
世界一のエージェントではないよね
要点だけを抜き出して物語を説明すれば、Routesはきっと誰もが一度は見聞きしたことがあるような、有り触れたものであると感じるはず。「愚かな人間を嫌い、世界征服を企む男の野望を愛の力で打破する」。今時、子供向け特撮番組でももう少し捻っているだろうに、このRoutesは何の恥じらいもなく、ど真ん中ストレートをぶつけてきました。

しかし、Routesはそれがカッコイイ。捻りのまったくない単純明快テーマでも、練りに練られた磨きに磨かれたこのシナリオによって陳腐さを感じさせてくれず、逆にこの決然とした直球が格好良さを演出しています。テキストは文系理系共に秀でた博識さを匂わせ、細かいディティールに奥深いロジック。多少うんちくっぽい場面もありましたが、ま、そこはお勉強として我慢。しかし、Routesはただ理屈だけで埋め尽くされたような文章ではなく、そこに絶妙の笑いが巧みに織り交ぜられているので、堅苦しさといった印象はそれほど受けませんでしたね。ビジュアルノベルに大切な「読みやすさ」は、しっかりと生きている。

ここまでの部分で総括してしまうと、基本的にRoutesは優れた作品であって、物語は傑作の部類に属するものであるといえます。雫、痕、TO HEART。これらのそうそうたる作品に続く第4のビジュアルノベルとしての大役はキッチリ果たしており、私は過去3作となんら遜色のない出来だったと思う。「高橋&水無月ペアしか俺は認めない」などと片意地を張らず、是非、このRoutesを皆様にもプレイしてみて欲しい。


さて、以上の評価を踏まえつつ、ここからはチョット不服だった点を。まぁ、些細な指摘なんですが、とりあえず聞いてください。

最初でも述べているように、Routesの物語は「タンカー消失事件を発端とした、謎の怪事件に立ち向かう」という題目があり、あの娘に惚れた腫れただけのお話じゃない。恋愛だけでなく、アクションやコメディ等のいろいろなものを含んだ物語であったがゆえに、せっかく上質なラブロマンスが半端なままになってしまった感も否めなかったんですよね。まぁ、あまり回りくどい抽象的な説明をしてもわかりにくいでしょうから、この際、具体的にいっておきましょう。

「いろいろな話を詰め込み過ぎていたから、皐月とのラブロマンスが満足ゆくまで楽しめなかった」と!


湯浅皐月…。このRoutes、絶対的なヒロインであり、私が激しく心を奪われた少女…。強気、勝気、生意気、直情径行型で自由奔放、挑発的且つ、大胆な性格ながら、時折見せるいじらしさ…。下ネタには屈託なくノッてくるくせに、性知識は乏しく、突っ込んだ話になると急に恥じらう。そんな微妙な部分も激しくツボをついてきて、完全に私は虜となりました。

ひょんな事でスタートする彼女との同棲生活が、どんなに甘美なものだった事か。表面的には毎度毎度反発しあっていても、逆にそんなやりとりが仲の良さ窺わせ、いつしか勝手に2人の世界へ入り込んでしまっているような、惚れ惚れするバカップル振り。これが、これが、非常に心地好かった。

そう、皐月シナリオで声高に熱弁を振るいたいのが、何といってもこのバカップル的要素! 拗ねて、甘えて、じゃれ合って。バカップル以外の形容が見つからないこれぞバカップルといったバカップルな2人が、睦まじく1つのカップラーメンを食べあう激甘ラブラブシーンなんて堪らない~。バカップル最高! 皐月最高!

この愛らしさは、Leafの歴代キャラの中でも随一……とまで調子に乗ると、生粋のLeafファンの方と対立しかねないので黙っておきますが、私はそれほどまでに彼女に心を奪われてしまいました。皆さんがお好きなマルチとか来栖川とかは私要りませんから、代わりにこの皐月さんを譲ってください。是非。

本来、横道である皐月とのラブロマンスがあまりに心地好すぎたせいで、本筋のストーリーに戻ると、逆にテンション下がっちゃうのは良かったのか悪かったのか。

Leafビジュアルノベルシリーズといえば、クリア後のオマケシナリオ。勿論、Routesにもちゃ~んとございましたよ。今回のオマケも大いに笑えるもので、下手すれば本編を食ってしまうほどの存在感。クリアした人は、ちゃんとこのオマケもプレイしておきましょう。皐月とのバカップル振りはここでも堪能できます。

問答無用で湯浅皐月。「黙っていれば可愛いのにな」と揶揄(やゆ)される娘は、大抵黙ってなくても可愛いですよね。

えっと~、最後のRoots編って必要でしたかね? 確かに本編Routesでは消化不良でしたので、キチンと補完しておく必要はありましたが、だからといって、Roots編のような蛇足が必要だとは私は思えなかった。このお話のせいで、Routesで築き上げてきたものが何か馬鹿らしく思えてしまって、白けてしまった部分もありましたから。ついでに、主人公の性格もかなり違っていたのも気になります。

Roots編自体そのものは良くできたお話である事は私も否定しませんが、Routesという作品での必要性は疑問。
2003年3月6日