発売日 2003年1月24日
メーカー Angel Smile 
俺がずっと相手していたものは幻影だったのか!
はぁとdeルームメイトは、良くも悪くもノリで全部引っ張っていってるような作品なんで、このノリについていけるかどうかが評価の大きな分かれ目。アニメのお約束的なノリが理解できない人間では、プレイしていても辛いだけでしょうなぁ。

と、他人事のように申してはおりますが、私も理解できず辛かった方の該当でありまして。

このゲームは広田明日美という少女を中心線に据えられているので、必然的に彼女が作品の明暗を左右せしめる人物なのですが、どうも私には、彼女から魅力を感じ取ることが出来なくて。

「やや暴走気味でも、みんなをまとめて牽引してくヒロイン」といった存在は、私の大好きなタイプですけど、広田明日美ちゃんの場合、なんかそれが空回りしちゃっている感があるんです。というのも、彼女1人テンション高めで張り切っているのに、悲しいかな、周りの人間がついていっていない。チョット残酷な言い方をすれば、彼女は1人でワーワー騒いでるだけで、俗に言う痛い人なんですよね。

彼女の奔放な性格を受け止められるキャラクターが、誰かしら1人必要だったのではなかったでしょうか? 漫才で言うツッコミ役。突飛の行動に、誰かがすかさずリアクションを入れないと、彼女はただ可哀想な勘違い娘にしか見えてこないのですから、彼女のハチャメチャさに対抗できるキャラクターは絶対に欲しかった。

本来ならば、この役目は主人公が適任なんでしょうけれど、これがまた、周りの人間に流されるだけの主体性欠如人間が主人公でしたので、彼は糞の役にも立ちはしなかった。一人称僕で、メガネは黒淵で、性格は女々しくて。こんな有様ですから、余計に明日美の孤立ぶりが目立ってしまっていましたね。主人公がもう少ししっかりしてくれれば印象は変わったのに…。

同居している4人のルームメイトたちの関係がちぐはぐで、仲間内の楽しそうな雰囲気が伝わってこないのは、ドタバタ劇のコメディとしては致命的だと言えるでしょう。この作品はアニメ方式に則った全26話の構成になっているんですけど、本当にアニメなら、まさに13話打ち切りが妥当といえる陳腐な作品。実際、ここら辺でプレイするのを止めてしまった人も多いのでは? 箸にも棒にも掛からない駄作とは、こういう作品の事を差すのでしょうなぁ。







しかし、まさか上記のレビューが、全部無駄になってしまう事になろうとはね。ホントに、勝負というものは下駄を履くまでわかりませんよ。ブザービートが鳴り渡る寸前に、大逆転劇が起こりうるのですから…。

そう、俄かに信じ難い話ではありますが、この可哀想な女がはしゃぎ回る痛々しいコメディは、駄作で終わらなかった

そもそも、ここに至るまでに費やされた話のありとあらゆる要素は、最後のエピローグでどんでん返しを仕掛ける為の布石であり、実は、総てがラストにおける伏線だったのです! 全部全部、我々を欺かんとする姦計に過ぎなかったのですよ~~!

最悪だった印象は、エピローグを経験する事でくるっと反転する。私が上でボロカスいっているお寒いストーリーも、実は総て計算どおり(だよね?)で、最後に感動へ収斂(しゅうれん)させる為の狡猾な罠。たったそれだけの為に、はぁとdeルームメイトはその身を投げ出し、99パーセントもののストーリーを捨石にした。ストーリーの99パーセントを躊躇いもなく伏線に使ってくる恐るべきシナリオ。神の域にも迫る深謀遠慮に全面降伏です。


で、でも、この1パーセントの為だけに、果たしてゲームを買う価値があるのかどうかはとっっっても微妙ですが。何せ、ゲームの99パーセントは退屈な茶番劇なんですから、ラスト僅か数分の為に購入するのは、あまりにハイリスクすぎる賭け…。

それでも「これからこのゲームを購入する!」と決心なされたのなら、もう絶対に投げ出さず最後までプレイするように。じゃないと、意味がない。途中、すっごく面白くない気もしますけど、それははぁとdeルームメイトの仕様で、正常にストーリーが推移している証拠ですから、何もご心配はいりません。最後の僅かな1パーセントを堪能する為、我慢して受け入れてあげるのです。

純愛系なんで、際どい行為は一切なし。平穏で無難で牧歌的でのどかなエッチが淡々と繰り広げられていました。ま、何処を引っ繰り返しても、エロい雰囲気になりようがなかったんで、これは仕方ないか。

とりあえず、あすみん(広田明日美)ですね。まぁ、エピローグを見せられてしまったら選ばざるを得ませんし…。一方、逆に蹴飛ばしたかったキャラは、小熊山まるむ。あの顔が…あの喋り方が…イライライライラ。
2003年1月30日