恋文ロマンチカ
メーカー〔Chuable soft〕 発売日2009年9月18日


失敗は総て楽しいアクシデント
追い込まれないとやる気が出ない人、一度痛い目に遭わないとわからない人っていますよね? ええ、私のことです。何事にも火付きが悪くて、状況が差し迫らないと本気が出せません。人造人間16号が目の前で破壊されなきゃ、秘めた力も上手く発揮できないんですよ。

そういう怠惰な人間を恋愛において本気にさせるには、恋敵の存在を作って追い込まれた状況を演出するか、こっぴどく振られて一度痛い目に遭わせないとダメ。私が“振られたい”と主張するのは、つまり本気に燃え上がらせて欲しいということ。振られることで、初めて恋愛と真剣に向き合えるようになりますから。別にドMだからじゃないよっ!


恋文ロマンチカは、前作シュガスパに引き続き「好きになったら告白システム」が搭載。自分の好きなタイミングでヒロインに告白して、その成否に一喜一憂出来るという素晴らしいシステム。もし告白が実らなければ、「アンタなんかに興味ないわ!」とばかりに蔑んだ眼で冷たくあしらわれ、哀れで惨めな気分が味わえるわけです。最高ですね。

ただ、私も闇雲に振られたいわけではございませんので、振られるためには幾つかの「条件」と「手順」を必要とします。

まず譲れない「条件」としては、相手が魅力的であること。“嫌いな娘に告白して振られるのはムカつくだけ”というのはシュガスパで経験済み(春瀬歌)ですので、やはり「恋人になりたい!」と心から思わせてくれるヒロインであるのは必須条件

ところが、恋文ロマンチカには、どうも私の琴線に触れる者いなくて…。皆さん、心優しくて純粋な人たちばかりなのですが、私は心優しくて純粋なところがダメみたい。というか、登場人物が全員そんな感じなので、話がほのぼのしすぎて退屈なんですよ~。

子供たちが道端で焚き火をしている
  ↓
輪に加わって子供たちと一緒に和気藹々
  ↓
すると焚き火の中から焼きたてのお芋が
  ↓
みんなで仲良く焼き芋を頬張ったとさ
  ↓
おしまい

どうですか、これ? このような何事でもない日常の些事を100以上も見せられるわけです。話に面白いオチを求めるのは大阪人の悪い癖かもしれませんが、これだけ実のない話に延々付き合うのはさすがにしんどい…。

主人公も純朴な田舎少年と描かれるがあまり、大人しくて、お人好しで、他人行儀。周りと仲良さそうに振る舞ってはいても、所詮上辺だけって感じがしちゃうんですよね。

最初はそれでも構いませんけど、なかなかそこから先に進まないからもどかしい。自分と相手の関係が進展しないことには、告白すべきタイミングだって見極められません。事実、私の初回プレイは、“誰にも告白せずにゲームオーバー”でした。告白のタイミングを見計らっていたら、いつの間にか話が終わっていましたので。

ヒロインの心境の変化、兆候を感じ取りにくく、親密さが増していく過程が見えないのは恋文ロマンチカの大きな欠陥。結局、告白はほとんどカンでやらないとダメですもん。嫌でしょ、カンで告白とか。誰だって、愛の告白をするには、それなりの確信を持った上で挑みたいはず。

それが私のいう「手順」。自信がないまま告白したところで、OKの返事をもらえても拍子抜けですし、NOの返事でもショックは小さい。私はもっと自信満々で告白した上で玉砕したいのですよ!! 「向こうも俺に惚れている! 大丈夫!」という強い自信を木端微塵に打ち砕かれるからこそ興奮……もとい、奮起するわけであって、そうじゃなきゃ告白システムの魅力を大きく損なってしまいます。


13年前に発売された下級生は、その辺上手にやっていたんですけどね~。親交を深めることで、相手の態度や話し方が明らかに変わってきて、最初は面倒臭そうに応対していた彼女が、次第に笑顔が増え、不意に頬を赤らめるようになる。関係が親密になっていく実感がありましたよ。だから、「告白(ホテル連れ込み)したい!」という衝動も自然に生まれたのです。

Chuableさんの告白システムは素晴らしいアイディアですが、Chuableさんの作風と告白システムは、残念ながら親和性が低いんじゃないかと…。そもそも告白というのは男女の駆け引きの要素が強いので、純粋で駆け引きとは無縁のChuableキャラクターにはそぐわない。心境の変化が乏しいことも含め、せっかくの告白システムを十二分に活かしきれていない印象です。

それでもシュガスパ2には期待しています。ヒロインはパッと見た感じ結構ツボなんで、シナリオさえもう少し改善してくれれば…。こちらも根の深い問題です。

※ ネタバレを含みます ※

付き合ってからのシナリオは、味気ない上に呆気ない。つまり質量ともに不足。お嬢さんこと桔梗のシナリオは、ホントひどかった。

告白が成就したあと、お見合い相手の高島が恋敵として現れるんですよ。私としては「両想いになる前に出てこいよ!」と抗議したいところなのですが、主人公は遅きに失したライバルにすっかり気後れしてしまい、「僕は……何も無い人間なんです……」と自分を卑下して、勝手に身を引き始めてしまう。こんなことを言っていいのかわかりませんが、バカ丸出しです。間に受けた桔梗も、「判りました!」とあっさり主人公を見限って高島さんに鞍替え。やけっぱちで結婚を迫ることに。

あれよあれよと結婚式当日。ようやく自分がバカを丸出していたことに気付いた主人公は、ドラマの主人公気取り(実際そうですけど)で式場へ闖入(ちんにゅう)。場内騒然。花嫁強奪。高島涙目。まさに絵に描いたような三文ストーリーでした。君ら、どれだけ迷惑なカップルなんですかと。バカップル(蔑称)に振り回されて、人生メチャクチャにされた高島さんが不憫でなりません。

自動読込機能が何気にすご~く便利。ゲームを起動したら、タイトルもロード画面も全部省略して、即前回の続きを始められるというもの。再開の手間が省けてこれはありがたい。全エロゲに導入してもらいたいぐらいです。

お待ちかねのごめんなさいタイム。1度目のごめんなさいはみんな優しいんですが、2度目はゲームオーバーに直結するだけあって、断り方も結構えげつない。ジニーなんか「小汚い田舎者がこのわたくしと付き合えると本気で思うなど、勘違いもはなはだしい」ですからね。けど、一番容赦なかったのは来香さん。「だってキミ、○○じゃん」。一番常識的でごもっともなコメントだからこそ、ガツンと来る厳しさです…。

先生こと宵之道吟情。最初は大して好きでもなかったんですが、付き合ってからの洋装にやられました! 今までのギャップもあってメチャクチャ萌える~~! メガネだし! 恋文ロマンチカは私服に対するこだわりが強かったのが好印象。TPOに合わせて服装を変えてくれるので、衣装のバリエーションが豊富なんですよね。やっぱり、可愛いヒロインにはたくさんオシャレさせてあげたい。

2009年の大晦日恒例(?)大掃除レビューは、オフ会で話題にのぼった恋文ロマンチカ。居酒屋で皆さんが強烈にプッシュしてくれたタイトルです。そんな作品に低い評価を付けて切り捨てるのは忍びないですけど…。ごめんなさい!
2009年12月31日