発売日 2003年9月26日
メーカー RUNE 

なにゆえ、天はRUNEに二物を与え給うたか
「初恋」は、なまじエロを期待して始めてしまったせいで、大変ショックな結果になってしまいました。その反省を踏まえて、今回は最初からストーリー主体の作品なんだと心構えを持ってからプレイ。すると、今度はショックを受けることもなく、すんなり物語に没頭することが出来ましたね。最初の心構え1つで、受ける印象は大きく変わってくるものだと実感。


Ricotteは、かつて造船で栄えた町クワルクを舞台とした物語。主人公バノン・エメンタールは、場末のパブ「シャンベルタン」で雑用兼ピアノ奏者として、厳格なマダムと、フィオーレ、フェタ、クーロミエの3人の同僚のおねーさんに囲まれて働いています。

ここでまずビックリだったのが、バノン君は既に、この3人のおねーさんたちと関係を結んじゃっていたということ。しかも、みんなで楽しんでセックスする後腐れのないオープンな関係だったり。どことなく奥手っぽい雰囲気を持った彼だったのに、まさか3人全員を手篭めにしていたとは驚きの展開でしたよ(手篭めにされていたのはバノン君ですが)。

そんな中、バノンは少女リコッテと出会う。とある事情でアルペンブルから逃げてきたリコッテを自分の家に住まわせることで、ここから2人の物語が始まっていく。

で、このリコッテがまた可愛い。超可愛い。作品のタイトル背負うだけの魅力を充分兼ね備えていますよ。わがままで、意地っ張りで、強がりで、ヤキモチ焼き。だけど、時に甘えてくる愛らしさ。無邪気で子供っぽい性格ながら、ついつい大人ぶりたがるその言動は、愛くるしすぎました。萌え? ええ、萌えです。こんなリコッテのためなら、3人のおねーさん方のエッチなお誘いもキッパリ断れるってもの。

いつもの面々に、リコッテが加わったパブでの賑やかな時間はとても心地好くて、そこで巻き起こる愉快でハプニングの数々に笑みがこぼれる。リコッテと日に日に親密になっていく過程は最高です。

ゲームはこのまま、パブでの楽しげな日常が延々続いていくのかな~とも思っていたのですが、バノンの夢であった音楽家としての第1歩、アルペンブルへの進出が現実味を帯びてきて、田舎のパブのお抱えピアノ奏者から、本格的なプロのピアニストとしての道が拓けるようになってからは、話が急展開

舞台は田舎町クワルクから都アルペンブルへと移り、ガラリと変化した環境に合わせるように、ここからは物語のムードも一変していきます。そう、今までとは打って変わって、一気にストーリー性が高まっていくんです。

穏やかな日常から、急転、シリアス色の強くなるジェットコースターな展開。せっかく楽しかったクワルクでの日常が終わってしまったことに不満の1つや2つを訴えたいところですが、ストーリー性が高まったアルペンブルでの暮らしは、また新たな魅力に溢れていて、そんな不満を掻き消してしまう。むしろ、今までが余興、これからが本番といった感じでしたからね。

しかも、今ここで説明したストーリーはAllegro編であり、Ricotteの物語における片面でしかないというのだから……。

実はこのRicotte、Allegro(アレグロ)とLargo(ラルゴ)という2つのストーリーで構成されていまして、それぞれまったく別のストーリーが楽しめるのです。オープニングでの問い掛けの返答次第で、主人公バノンのピアノに対する姿勢と力量が変化。ピアノの力量が低いとそのまま自信のなさにも繋がり、Largo編のバノンは、性格がやや根暗で引っ込み思案な青年になってしまっている。バノンの性格が異なることで、シナリオは2つの側面を持つとは、1人マルチサイトとでも申しましょうか?

ちなみに、私が最初にプレイしたのはAllegro編の方で、好きな方もやはりこちら。私は多少おバカで明るい感じの主人公が好きなんで、Largo編の受動的なバノンよりは、Allegro編の能動的なバノンを選んでしまいますね。

といっても、Largo編が気に入らなかったというわけじゃありませんよ。リコッテに出会うことで成長を遂げていくバノンも好きでしたし、こっちはこっちで別の楽しさと感動がありました。Allegro編とLargo編、どっちが上だとか下だとか、そういう比較に意味はないと思います。あくまで好みの問題。私はたまたまAllegro編の方が好きだったって話だけ。

あ、でもエッチシーンの充実が図られていたのは、断然Allegro編の方でした。引っ込み思案なバノンだと、展開がプラトニックになってしまいますが、自分の欲望に正直なAllegro編のバノンですと、エッチシーンも必然的に増えてきます。

エッチのお相手は当然リコッテが主。恥ずかしがって口ではイヤイヤ言うリコッテですが、何だかんだで押し切られては、結局エッチされちゃって、エッチが終わった途端、急に怒り出したりする……そんなラブリーな一面を見せてくれましたね。

お互いの気持ちが通い合うようになってくると、今度は恋人同士の甘くラブラブなエッチ。純愛ゲームながら、ちゃんとエロさを含んだエッチシーンで、その質と量は想像以上、初恋とは逆の意味で裏切られました。

完成度という面で評価をするのなら、Ricotteはもう、恐ろしく高かったと言わざるを得ません。ストーリー性は抜群、キャラクターの萌え的な要素もOK、エッチシーンすら手抜かり無し、その他、グラフィックにシステムに演出にBGMにといった部分までもが総て高次にあって、そこらに転がってるようなエロゲとは、次元そのものが違う

でも、本当はRicotteをあまり褒めたくないんです。何故なら、私がRUNEさんに求めているのは、元来のエロ重視な作品であり、リトルモニカ物語や今宵も召しませのような性質のもの。ストーリー性が重視された初恋や、今回のRicotteなんかは本心では認めたくありません。もしRUNEさんが味を占めて、エロを軽視されるようになってしまっては泣くに泣けませんからね。しかし、いくらなんでも、これを貶すのは無理。認めたくない認めたくないとは言いつつも、さすがに嘘はつけません。Ricotteが傑作だったことは、揺るがしようのない真実なのです……(悔し涙)。

よって、Ricotteは、是非皆様にお勧めしたくない作品です。このレビューをご覧になって興味をもたれた方、頼むからプレイは控えてください。やればきっと、貴方もRicotteに強い感銘を受けてしまうでしょうから。

純愛作品ながら、エッチシーンの数は29種類。量だけでなく質もちゃんと高いものに仕上がっている。

原画が野々原幹さんということで、注目したいのが汁描写。ドバッッ!と出てますよ~今回も♪ フェラからの顔射は多いし、普通のセックスでのフィニッシュでも、勢い良く顔まで飛んでいく。テキストを除けば、リトルモニカにも引けをとらないぐらいですね。

お気に入りはリコッテ、それは当たり前。でもおねーさん3人組の1人、フィオーレも私は大のお気に入りでしたよ。

フェタとクーロミエは、単に快楽目的だけって感じですけど、彼女はバノンとリコッテのことにヤキモチを焼いたりして、バノンを本気で愛しちゃってる節が見え隠れしていた。3人の中では常識人なのに、思いの外大胆に迫ってきたりもするところもすごく良かったですね。

フィオーレは、他の作品なら立派なメインヒロイン扱いだったろうなぁ。しかし、同じチームにリコッテという大エースがいたせいで、2番手に甘んじている不遇。それだけ、Ricotteの選手層が厚いってこと。

今宵も召しませと、Ricotte。同じ月に、同じメーカーから、同じぐらい素晴らしい傑作が生まれたなんて、ミラクルとしか言いようがありませんね。しかも、性質は180度違う。こんな芸当が出来るメーカーは、他になかなかないでしょう。
2003年10月2日