発売日 2014年4月25日
メーカー ALICE SOFT 

Ranceの世界にも押し寄せるコンプライアンスの波
Ranceといえば、毎回システムが大幅に刷新され、ゲームジャンルまでも統一感なくバラバラだという世にも珍しいシリーズ作品。あるときはRPG、あるときはシミュレーション、あるときはボードゲームと大胆に装いを変えながら、今まで見たこともないあっと驚く斬新なゲーム性で我々を楽しませてくれました

今度のRanceIXはどんなシステムに仕上がっているんだろうというのが最初のお楽しみだったわけですが、何の捻りもないフツーのSRPGだったことに愕然。自軍ユニットを動かして、敵の隣に並べて攻撃する極めてトラディショナルなSRPG。Ranceならではの独自性も味付けもない、本当にどこにでもありそうなフツーのSRPGに過ぎませんでしたよ。

ランス9 ヘルマン革命唯一特徴的といえるのは、マップが一画面に収まるコンパクトなものであったという点ぐらい。四角形の盤面のようなマップは、イメージ的にチェスや将棋に近く、逆にこのこぢんまりとしたマップが複雑な戦略性を生むのかとも期待しましたが、そういうわけでもなかった。手狭なステージに敵味方30体ほどがひしめき合い、真正面からぶつかっては乱戦を勝ち抜くという、これ以上ない単純な戦いが繰り広げられましたので…。

敵はただ近寄って殴ってくるだけ。こっちも近寄って殴り返すだけ。頭を使うことはといえば、せいぜい敵を倒す順番だけ。密集した敵を範囲攻撃で一掃するだけ。そこに戦略性は1ミリも介在せず、あるのは効率性だけ。マップ狭しと(実際狭い)大量に沸いてくる雑兵を次々倒していくだけ。

例え単なる効率ゲーであったとしても、一度の判断ミスで取り返しが付かなくなるシビアさがあれば、まだこっちも必死に最善手を導き出す楽しさがありましたが、如何せんRanceIXは難易度が低すぎる…。ボス戦だけは多少歯応えあったものの、通常マップではまったくといっていいほど苦戦することがないので、緊張感が皆無なんですよね~。

こっちのユニットが15体として、敗北条件が「味方の全滅」であるなら、味方5~10体は失う覚悟の厳しさがないと成立しないでしょう。なのにRanceIXでは、この条件でも手駒1騎も失うことなくクリアできる場合がほとんど。これでどうやったら全滅できるのか教えていただきたい! こんなの何も考えず、ただ目の前の敵を適当に殴っているだけでクリアできるじゃないですか!

一番私が腹立ったのは、敵に味方が殺されても、なんらペナルティを科せられない温さ。せめてこれまで得た経験値を没収されるぐらいの罰はあって然るべきなのに、稼いだ経験値はちゃっかりもらえるというバカみたいな親切設計。バイトが仕事の途中でばっくれても、それまで働いた分の時給はもらっていくみたいな話ですよ。

SRPGとして、最も重要といえる育成要素に関してもめちゃくちゃ。熟練度を自由にパラメーター強化に割り振れるシステムなので、私としてはそれぞれキャラクターに個性を持たせるべく、攻撃なら攻撃特化、守備なら守備特化みたいな偏向的な育成をしたかった。それなのに、均等に能力を上げるとボーナスが付く(必殺技のゲージ消費量減など)という余計な仕様のせいで、特化型を育てる気が起きません

そして、そのコストに見合わない極小の成長率。一度の能力アップに大量の熟練度を求めておきながら、その見返りが体力なら1ポイント・回避なら1%と、体感するには程遠い微々たる変化。そのくせ、装備アイテムによる能力上昇値は甚大だというのだから理解不能。熟練度を全部体力に費やしても、せいぜいアップするのは30程度だというのに、すっぽん天帝(序盤で手に入る)のアイテム1つで120もアップしやがりますからね。真面目に育てる気失せるわ~。
ランス9 ヘルマン革命
誰にでもできる軽作業で、ノルマはないに等しく、保証は万全で、個性を重視しない平等主義。企業としてはホワイトなのかもしれませんけど、シミュレーションゲームでこんなゆとりはいらないっすよ…。戦姫ばりの「全滅したがり」な私にとっては、ちっとも張り合いがなくて楽しめなかったです。

お手軽に、安全に、極限まで敷居を低くして誰にでも親しみやすいスマホライクなゲームと化したRance最新作。イマドキのエロゲユーザーは、これぐらい易しくしないと最後までプレイしてくれないって思っているんでしょうかね…? まぁ、電車の待ち時間で気軽にプレイするには最適なエロゲと言えるかもね。

こちらも時代のせいなのか、ランスが随分大人しくなった印象を受けました。かつては鬼畜王と畏れられた彼も、すっかり落ち着いてしまって、以前のような粗暴な振る舞いは影を潜めるように。女性に対してもひどい振る舞いはせず、極めて紳士的な対応。

ランス「では、ピグ。ここで一度確認だ」
ピグ「うん」
ランス「さっき俺様と君は戦った。覚えているな?」
ピグ「うん」
ランス「そして、君は俺様に敗れた。間違いないな?」
ピグ「うん」
ランス「だから、君は俺様にレイプされないといけない。そうだな?」

レイプをするときも、懇々とその正当性を説き、相手に合意を求めるランスさん。こんなに折目正しいレイプを私は知りませんよ(笑) なお、犯されたあとのピグさんも「レイプって気持ちいいね。お腹ぽんぽこりん」と無邪気にコメントしてました。ほのぼのレイプ

まぁ、そんなランスも可愛らしくて好きなんですが、やっぱり彼特有の豪快さや破天荒さが薄れてしまったのは寂しい…。「いくらなんでもそれはチョットやり過ぎじゃないの?」と思うぐらいのメチャクチャさで丁度良かったのに。そんなやり過ぎを許せる貴重な主人公なんですし。
ランス9 ヘルマン革命
ランスにかつてのパワーがなくなっていると痛切に感じたのは、作品におけるランスの添え物感。今回の話は、ヘルマン元皇子のパットンが反乱(革命)を企てるという話で、主役はそっち側。ランスは名義上リーダーとして祭り上げられてはいるものの、本人自身がヘルマンの革命にまったく興味がないため、常に本筋から一歩離れた脇役のような扱いなのです。本当に単なる友情出演って感じでしたよ。

そもそもランスって、こんなにお人好しでしたっけ? 当初はヘルマン国のシーラ姫を手込めにしたいという目的のために渋々力を貸していたのに、その目的が比較的早い段階で達成されても、ずっと律儀にパットンたちの革命に尽力している。ランスがこんな歯車の1つとして使われることを良しとするような、「いい人」であったことが逆に違和感

シリーズも終幕に向かって、段々ランスが大人に成長している証かもしれませんが、私は最後まで自分勝手に、思うがままに振る舞って欲しかったのに。

ランスにあるまじき男所帯。今回は女性キャラより、断然男性キャラの印象が強かったですね。私も野郎ばかり率先して育てていました。

見当かなみ
いつもは好きと嫌いが同居して複雑な立場のかなみでしたが、今回は完全にLOVEに振り切れてデレッデレ状態。恋する少女と化したかなみが可愛くてしょうがなかったです! でも、ランスというシリーズが終わりに近付き、そろそろ整理の段階に入ったことを感じさせて寂しくもあります。

魔想志津香
お馴染みのツンデレ魔女も、今回は優しく紳士的に抱くというランスの嫌がらせ(?)のせいで、段々と心境の変化が。ランスというシリーズが終わりに近付き…(略) 戦力としてはトップクラスに役立ちました。このゲームは「如何に効率よく大量の雑魚を片付けるか」の一点に集約されていますので、範囲攻撃を持っているキャラは最重要

パットン・ミスナルジ
重量級マッチョキャラとして、私が最も愛情注いで育てたキャラでしたが、最後まで大して強くならなかった…(笑) 攻撃力はへぼいし、必殺技も役に立たないし、壁役としても、挑発が敵全体にかかってしまうため扱いづらい。厄介な敵だけピンポイントで挑発できるピッテンの方が有意義。

ルシアン・カレット
奴隷という可哀想な立場のせいであまり思い入れが持てず、最後までそのイメージを引きずって魅力を感じにくかったヒロイン。RanceIXのメインヒロイン格としては物足りなかったかな。数少ないヒーラーですので、戦闘では欠かせない存在ですけど。

リック・アディスン
ランスとの二枚看板。赤い死神の異名通りの驚異的な強さを誇り、襲いかかる敵兵を次々斬って捨てる無敵の尖兵。密集した雑魚をバイ・ラ・ウェイで一掃するのは快感。素顔は素朴で可愛らしい青年なのも好感。男性キャラの中では一番のお気に入り

チルディ・シャープ
立身出世のためなら、女の武器も平気で使う強かなチルディ。こういう向上心旺盛な女性は個人的に大好き。強かさの裏に可愛らしさもあり、ほっぺた膨らませるチルディはあざとくて萌えです(笑) 戦力としては、強キャラなのに範囲攻撃がないため活躍の場が少ないというジレンマ。

ピッテン・チャオ
キャラ的には面白味のない脇役でしたが、戦いにおける壁役としては極めて有能。ガードの中では唯一魔法に耐性を持っていますので、相手ソーサラーの鬱陶しい攻撃を一手に引き受けてもらう。魔法だけでなく、物理にもちゃんと強いので、誰よりも頼れるチームの盾です。

ミラクル・トー
不遜で尊大で中二なミラクルは、ランスにとっても初めてといえるタイプの女性かも。お互い「俺様」な性格なので、相性は良くないかと思いきや、必死に自分が上に立とうとする主導権争いは見ていて微笑ましい。ミラクルとエッチしたいがために、幾多の困難を律儀に乗り越えて行くランスのタフさと健気さに萌える(笑)

真田透琳
軍師フェチゆえに贔屓して育成。戦闘力は低く、必殺技も必殺技ゲージを満タンにするだけという役に立つの立たないのかよくわからないキャラですけど、味方が攻撃されたとき、弓矢で援護射撃してくれたのはボス戦で役立ちました。 

アナセル・カスポーラ
彼女はランスたちの仲間ではなく、単なるやられ役(性的な意味で)。村の住人に、勝手にその操をランスに捧げられてしまう不憫さには萌えました(笑) しかも2回も! こういう不憫系キャラはやっぱりRanceには欠かせない存在です。


大国ヘルマン相手に革命を企てるは、元皇子パットン擁する無法者集団。陽動で敵主力の目を逸らしつつ、水面下で着々と革命の礎を築いていくストーリー展開は、戦記物として見応えあり。が、それもレリューコフ戦まで。その後ランスたちは特に窮地に陥ることもなく、とんとん拍子で革命を成功させてしまったので、ゲームと同じく歯応えがなさ過ぎました。

それに彼らがやってのけたヘルマン政変は、民衆の意志が介在しない、あくまで軍事クーデター。それなのに、いざ現政権を打倒したら、パットンは皇帝の座を固辞して国家体制を民主主義に変えると言いやがる。それはないだろうと。そういう腹積もりであれば、ある時期から自分たちのクーデターの正当性を公に説き、ヘルマンの民衆たちを抱き込んだ革命軍として行動すべきでした。

民意を問わないまま武力制圧で国家転覆させたのに、今日から民主主義ですなんて、それは無理があるんじゃないですかね? まぁ、斯く言う日本がお仕着せの民主主義を謳歌していますから、あながち荒唐無稽な話ともいえないのですが…。でもこういうオチなら、もうチョット別のやり方を考えて欲しかったかな。
2014年5月10日