発売日 2011年8月26日
メーカー ALICE SOFT 
筋書きのないドラマ
RANCE QUESTとはスポーツである!

ドラクエ世代には馴染み深い俯瞰視点のエンカウント型RPGとして、近年のRanceシリーズの中では最もRPGらしいRPGに仕上がっているRANCE QUESTですが、その実体は“スポーツ”だと私は思っています。RANCE QUESTの面白さって、野球やサッカーといった団体スポーツの面白さにすごく近いんですよ。まぁ、いきなり「スポーツである!」とか言われても訳わかんないと思うので、順序立てて説明していきましょうか。

まず、RANCE QUESTは非常にシンプルなゲームです。氷漬けにされたシィルを救う、ランスにかけられた禁呪を解くといったストーリーの縦軸はあるものの、ゲームとしては与えられたクエストをただ営々こなしていくだけで、最初から最後までずっとその繰り返し。常に同じ街を拠点としながら、ステージマップ移動することもないため、世界観はかなり手狭な感じがしますね。前作の戦国ランスが、JAPAN統一というランスらしい壮大な野望を見せてくれていただけに、今回は余計スケール感の縮小を感じます

クエスト内容もバリエーションがあるわけではなく、MAP最奥に潜むボスを退治するというミッションがほとんどなので、最初のクエストと最後のクエストもやっていること自体は一緒。ステージMAPは大して変わり映えしませんし、同じステージ内で同じ景色を何度も見せられることもザラ。って、こうして振り返ってみると、ちっとも面白そうに感じられない作品ですね~。

だけど、めっちゃハマる!! こんなクエストの集合体というべきシンプルなゲームが面白くて面白くて面白くて、完全にやめ時を見失ってしまう!! 時間と体力が無限にあれば、恐らく中断することなく最後まで一気にプレイしたであろう恐るべき中毒性。AVG以外のエロゲでこんなに没頭させられたのは初めての体験で、RANCE QUESTを購入して以降、私の睡眠時間はがっつり半減してしまいました! このレビューも睡眠不足の状態で書いているためテンションが変かもしれません!

RANCE QUESTの持つ中毒性を文章で説明するのはとても難しい(身振り手振りなら伝えられるのに)のですが、ALICEさんの絶妙な難易度バランスと、完成された独自システムに裏打ちされたものであるのは間違いないです。縛りというべき厳密なルールに則って行われる競技性の高い遊戯は、スポーツの性質と近似しており、おかげで単純さや反復を苦にすることなく何度も楽しめる。

プロ野球だって、毎年144試合も同じことを繰り返していますが、そのことに不満を感じるファンはまずいないでしょう。1試合目も144試合目もやっていることはぶっちゃけ同じ。見慣れた場所、見慣れた相手であろうと、毎日飽きずに応援しているのは偏に野球というシステムが完成されていて、その中で毎回ドラマが生まれるからなんですよね。RANCE QUESTもそれと一緒で、システム(ルール)が完成されているがゆえに、同じプレイの繰り返しでも夢中になれるんです!

その秀逸なルールの1つが、キャラクターの耐用限界。それぞれが持つ攻撃スキルには使用回数が定められていて、戦闘に耐えうる限界がある。例えば、攻撃スキルの回数が8ぐらいのキャラだと、大体4戦もやればどんなに余力が残っていようと行動不能でベンチに引っ込むことになります。RanceVIの気力システムの発展系だと言えましょうか。

なので、ベストメンバーでダンジョンに挑んでも、道半ばでガス欠になるのがオチ。先発メンバーに高いレベルのキャラクターを並べたいのは山々ですけど、ボス戦を睨んでクローザー的な強キャラを温存しておくなど、野球の継投のように常にクリアまでの道筋を逆算したアジェンダが必要となってくるわけ。

従来のRPGと決定的に違うのはここ。個人で戦うのではなく組織で戦うという意識。強力なランスだって、あくまで駒の1つでしかありません。育成も当然チーム全体のバランスを考えた長期的な育成計画が求められ、スターターなら攻撃回数を増やしてスタミナ重視、クローザーなら攻撃力を高めて破壊力重視といったように、役割に即した育て方をしなくちゃならないんですね。

RANCE QUESTの肝は、まさにこの育成であると断言できます。レベルアップ毎に得られるスキルポイントを割り振って、自分好みのキャラクターに成長させることが何より楽しい。それ自体は珍しくもないありふれたシステムですけど、一般のRPGは最終的に使用するパーティーメンバーの4~5人を集中して鍛え上げれば事足りるのに対し、RANCE QUESTは総勢50名を超える仲間の中から、組織として有用なキャラクターを何十人も育てていくため、何倍もやりがいがある!

前衛に向いていそうなキャラだけど手薄な後衛タイプとして育てようかとか、能力は物足りないけど不足しているレンジャーだから我慢して重用しようかとか、今はLVが低くて頼りにならないけど将来のエース候補としてじっくり育てようかとか、自軍の戦力事情を鑑みながらキャラを育てていく楽しさがあります。1人の強力なキャラクターを使い続けられないという「ルール」のおかげで、これだけ奥深いゲームに変貌するのだから本当に素晴らしい。


それなのに、他の人のレビューを拝見したら「スキル回数少なすぎてつまらない!」という批判が多いこと多いこと。「せっかくキャラを育ててもすぐ使えなくなる!」「途中からメンバーが雑魚ばかりになる!」とかなんとか。別に喧嘩売るわけじゃないですけど、私にはこの人たちが一体何を考えてプレイしているのかサッパリですよ。

こんなの「野球が3アウト交代なのはおかしい! 僕はもっと攻撃したい!」と文句言っているのと同じ。それがルールなんですから、その縛りの中で効率良い攻撃ができるよう頭を使うべきじゃないんですか? スキル回数が少ないというなら、何故それを温存しようとしないのか。控えメンバーが雑魚ばかりなら、何故控えの底上げを行わないのか。仲間になるキャラクターが50人以上もいるんですから、数人のお気に入りだけを育てたって意味がないことぐらいわかりそうなもの。“RPG=最強メンバーで戦う”という固定観念が拭い去れないんでしょうかねぇ。

しかし、これは“お気に入りの最強キャラだけを使って、敵をばったばった薙ぎ倒す爽快感を求めている人”には、RANCE QUESTはまったく向いていないという証明でもあります。「ドラクエ」より、「やきゅつく」「サカつく」好きな人向けですよ。野球にしろサッカーにしろ団体競技のスポーツが好きな人は、バックアップメンバーの重要性を知っているはず。控えが支えてこそのチーム総合力だと。そういうことがちゃんと理解できている人たちにRANCE QUESTは打って付けなんです。

通常のRPGでは決して陽が当たらないであろう、日陰のキャラクターにも活躍の場を与え、個人ではなく組織として戦うことの大切さを教えてくれたRANCE QUESTは、大袈裟ではなくRPGのパラダイムシフトだと感じました。過去にこういったシステムのRPGは既に発売されているのかもしれませんけど、私にとってはまったくの新感覚で新機軸のRPG。魅力的なキャラクターが多数登場するRanceシリーズとの相性も抜群に良い、エロゲにおけるRPGの最高峰です。

最終的に私は、24人ものキャラクターを1軍で育てていました。その中から使用回数の多かったお気に入りキャラクターをピックアップしてコメント。

 ランス
押しも押されもせぬ最強キャラであるだけに、彼をどこで投入するか見極めが重要。しかし、最初から武器攻撃1の使用回数が16もあるため、先発してもそのまま最後まで完投できたりする。ダメージ限界の縛りに一番苦しみました

 上杉謙信
仲間になるタイミングは遅くとも組織No.2。可愛さも強さも群を抜いています。彼女は先発の柱として、可能な限り攻撃スキル回数を増やして、序盤~中盤のダンジョン散策に尽力。ランスへとたすきを繋ぐのが役目。

 鈴女
慢性的なレンジャー不足の事情もあり、使用頻度はランスに次ぐ2位。早めにレアアイテム「クリティカルナイフ」を手に入れたおかげで、戦闘でも獅子奮迅。

 サチコ・センターズ
文字通りパーティーの盾となる存在。だけど、耐久力が思ったほど高くないので、ほとんど身代わり要員。「初期ガード」と「盾反らし」を憶えてからは、段々盾らしい頼もしさが出てきました。

 アレキサンダー
逆紅一点。女だらけのチームランスの中で唯一の男性キャラ。途中まではランスの右腕として活躍しましたが、スキルポイントを大量に注ぎ込んだ「カウンター」があまり役に立たず、後半は存在感が陰りがち。

 アルカネーゼ・ライズ
我が軍の頼れるクローザー。純粋な強さはランスを凌ぐほど。必殺マトクラッシュで葬り去ったボスは数知れず。というか、このゲームは槌(ハンマー系)が強すぎる気がする…。「槌の知識」を上げると簡単にダメージ限界突破しちゃうんで。ランスを槌使いで育てたら手が付けられないような。

 マジック・ガンジー
委員長体質なメガネっ娘。顔アイコンが可愛すぎてヤバイ。同じソーサラーの魔想志津香に火力では劣るものの、「魔法バリア」のおかげで稼働時間は長め。

 アテン・ヌー
引きこもり少女。戦闘終了後20%の確率で引きこもって戦線離脱するという非常に扱いづらいキャラなので、レベル上げも一苦労。でも、最初のエッチシーンが衝撃的だった(セックス中に漫画を読んでいる)のが気に入って、頑張って愛を注いで育てましたよ!

 アームズ・アーク
遅れてきた強力キャラ。攻守に優れた能力を持ち、「槍の知識」で後列からの攻撃も可能という使い勝手の良さ。重装備ゆえのスピード不足は「抜け駆け」のスキルでカバー。

 あてな2号
念願の再出演嬉しい~! 「しくしく、しくしく。 なんでれすかー? あれー あれー?」 私がRanceシリーズで一番好きなキャラは、何気にこのあてな2号なんですよね。おバカで犬みたいにランスに懐いてくる健気さが愛くるしくてたまらない! 戦闘要員としてはLVの上がらない特殊キャラなので使いにくいんですけど、贔屓して使い続けました。「火縄銃改」を持たせて一撃にかけるスナイパー。

意外と年増なコパンドン・ドット(29)。Rance5Dに登場したときはなーんとも思わないキャラだったのに、今回は妙に印象に残りまして。30歳になったらランスのストライクゾーンから外れるという焦りから、間近に迫った誕生日までに一生懸命レベルを上げてランスに抱かれようといじましい努力に励むところにキュンと来ます。

シィル欠場の穴埋めとして登場したサチコは単体としてはまったく魅力を感じないヒロインでしたが、真面目で常識的な少女であるだけに、破天荒で非常識なランスとの相性は頗る良い。シィルもそうであったように、ランスの傍若無人に振り回されてしくしく泣いている不憫な少女が側にいないとね。

今回のRanceはインタールード的な位置付けで、次回のヘルマン編までの繋ぎといった作品。いつもの大作感がない分、他のシリーズよりも軽んじられそうな気がしますが、私は今までのRanceの中でこれが最も面白かったですし、初めてこんなにも熱中させられた。別に大作じゃないからといって100点付けちゃいけない決まりもないでしょう。なでしこやまとでは、自信を持って100点満点です!

決め手となったのはエンディングの素晴らしさ。氷漬けのシィルを救う手立てがないということを知らされ、自暴自棄に陥るランスに私の心も締め付けられる。ランスが落ち込んだり悲しんだりしていると、自分も一緒に落ち込み悲しんでしまうのは何故なのか。この感情、もはや恋

シィルを助ける手掛かりはヘルマンにあるというリアの発言で、ランスはいつもの元気を取り戻すも、その発言はリアの嘘「ダーリンに必要なのは、あの奴隷を助けられるっていう、希望なんだもん……」 当てもない希望を胸に抱きながら辛い戦いへと旅立っていく悲壮なランスの姿に涙しました。
2011年8月31日