発売日 2004年8月27日
メーカー Alice Soft 

50日かけてのアチーブメント
長い長すぎる。発売日当日に買いに走った私ですが、ゲームクリアを果たしたのはそれから1ヶ月余り過ぎた後。同じお金を支払うなら長時間楽しめる方がお得だとはいえ、限度ってもんがあるでしょ。誰もがゲームに数十時間も費やせる暇を持て余しているわけじゃないんですし、もう少しコンパクトにまとめられなかったものか。これを購入した人、何%がちゃんと最後まで辿り着けているのやら。長すぎて途中で挫折してしまう人が出てくるのは、好ましいことではないと思いますよ。


さて、批判はここまで。これで終了です。いろいろと探してみたものの、私にできる批判らしい批判は、この「長すぎる」ぐらいしかありませんでした。いつもレビューでケチな難癖をつけている私が、ぐうの音も出ないほどありとあらゆる部分で傑出した作品。まったく、とんでもないものを作り上げてくれましたよ、Aliceさんは。

もうエロゲでこのRanceVIほど「遊べる」作品というのは、今までの経験上ございません。エロゲのRPGというと、最近プレイしたものでは、「VIPER-RSR」を思い浮かべますが、RanceVIはVIPER-RSRの30億倍は面白い

3Dで描かれた美しいマップ、膨大なCGカット、作り込まれたインターフェース、あらゆる部分でエロゲの水準を無視したクォリティを見せ、Aliceならではの練り込まれた珠玉のアイディアの数々。従来のRPGでは馴染みのない独特のシステムが、作品のオリジナリティを高めている。

大勢のキャラが登場するRanceVIは、仲間にできる人数も16人以上と大所帯なのですが、一度の戦闘で使えるキャラは6人だけ。こうなると、どうしても使えるキャラと使えないキャラで、待遇に大きな差が生まれてくるのが普通ですけど、そこは「それぞれのキャラは戦闘で使える回数が定まっている」ことでちゃんと解決されていました。このため、強い者も弱い者も満遍なく使いどころがあり、ブライはいつも馬車の中といったような除け者が生まれにくく、使うキャラが偏らないように配慮されていたのが嬉しかったですね。

他にも、ダンジョン内で粘れば粘るほど多くアイテムが貰える冒険功績システムのおかげで、ダンジョン引き上げ時の見極めが必要になってくるとか、マップ制覇率がパーセンテージで表されることで、マップの隅々まで冒険する必要があったりとか、上手いなと思わせるアイディアが盛りだくさん。

そして、目立たない部分ですが、Aliceさんのシステムで最も優れている点、脅威のゲームバランス。やはりこれですよ。さりとて奥深いとはいえない戦闘シーンながら、こんなにも熱中させてくれるのは、絶妙の匙加減による戦力バランスがあってこそ。バランスさえ取れていれば、単純なゲームでも、勝負の駆け引きは生まれてくるものです。


ゲームシナリオだって秀逸。魔法を使えるものと使えないもので、厳しい身分格差のあるゼスの国を舞台として、ゼスの富裕層、貧民層、レジスタンスのアイスフレーム、ペンタゴン、更には魔王軍まで入り乱れ、様々な勢力が複雑に相争うストーリー。物語単体としてでも、充分読み応えはある

ただ、このストーリー、面白いことは面白いんですけれど、「戦争の汚らしい部分」を平気で見せちゃっているため、テンションの下がる場面にしばしば出くわしまして。敗者が勝者の慰み者にされる戦争の摂理っていうか……つまり、女性キャラが兵士や暴徒に蹂躙されること。ランスがやるならともかく、そこら辺の雑魚どもが寄ってたかって陵辱しているのは、非常に気分を害します。

こういうところが、私のAliceの嫌いな部分。Aliceさんは、自前のキャラに非情になれるんですよね~。この辺が、今ひとつAliceさんを好きになれないところで…。勿論、これを肯定的に捉えている人は大勢おられますから、私も声を上げて非難するつもりはありませんけど。

それにまぁ、ややもすれば重たくなりがちな話でも、ランスという快活な主人公の存在が、悪いムードを吹き飛ばしてくれるから、後には残りにくい。

常に「可愛い女の娘とセックスしたい」という一元的な思考回路で行動する単純な彼のおかげで、堅苦しい問題は全部忘れさせてくれる。ランスって、本当にエロゲとして最高の主人公ですな。 5Dのレビューでも同じことを申しましたが、Ranceの素晴らしさは、ゲームの面白さ云々の前に、ランスの存在が何よりも大きい。傍若無人に振舞っていながら、何処かユーモラスを感じさせ、惹きつけられてしまう不思議な人徳。優しさしか取り柄のない男には出せない魅力があります。


ゲームシステムから、シナリオから、グラフィックから、音楽から、キャラクターから、総ての部分が超一流にあるRanceVI。それでいて、他の何にも類似していない確固たるオリジナリティを持ち、似たり寄ったりが多い他エロゲとは一線を画している。出来が良すぎれば、その分目立つ粗も、この作品に限っては見当たらない。まさにパーフェクト。文句なしの超傑作でした。

「それなら何で満点つけてないの?」と、不思議がられる方もいらっしゃるでしょうが、これは「自分がエロゲに対して求めているものと方向性が違うから」という、わかるようなわからないような理由によるものなので、あまり皆さんは気になさらないで結構。実質、100点満点とほとんど変わりません。別に100点をつけないのは私がelfのファンだからという理由じゃありませんよ…。ほ、本当に。

RanceVIで好感の持てるところは、ちゃんと18禁であるところ。ゲーム性ばかりを高めて、エロゲの根源たるエロを軽視するような、だらしない作品ではなかった。それはエッチシーンの出来が良かったという意味ではなく、Ranceという作品が18禁でなければ成し得ない作品だったということ。エロだけ切り取って、安易にコンシューマーに移植出来るような作品でなかったということです。

どんなに面白い作品であろうと、エロゲである必然性が感じられなければ、私は褒め称えることに躊躇してしまいますからね。

これだけ魅力的なキャラがたくさん揃っていると1人に絞りきるのは到底不可能。でも、敢えて選ぶならマジック・ザ・ガンジー。「嫌われている→ベタ惚れ」の過程が素敵。メガネをかけてるのもポイント大幅増。山田千鶴子や魔想志津香も好き。わかりやすい趣味…。

あと、あてな2号も私は大好きなんですけど、今回は出番なし? すごく楽しみにしていたのに。私が見逃しているだけ?

注・ネタバレを含んでいます
テキパキやれば、もっと早くクリアできたんでしょうけど、何分要領が悪いせいで、かなり時間がかかってしまいました。「マップ制覇100%にならなかったらやりなおし」とか無駄なことやってたもので…。クリア後に再プレイ出来るとは露知らず。

ダンジョンから脱出しようと思ったら手が滑って、モンスターを呼ぶを選択してしまい、そのまま全滅してしまったという苦い経験もありました(1時間弱の冒険がパー)。この事件のせいで、当分プレイする気力を失うことに…。

様々な困難と膨大に費やした時間の末に辿り着いたエンディングは、それだけ感動も一入(ひとしお)でしたが、本編ラストは些か拍子抜けな終わり方。まさかあのまま普通にカミーラが最後のボスだったとはね。強さも大したことなかったですし、中ボスと勘違いしたまま蹴散らしてしまった。これなら、中盤のアバター様の方が余程苦戦しましたよ。

最後に心残りだったのは、RanceVIをやる前に鬼畜王ランスぐらいはやっておけば良かったということ。世界観やキャラを知らない私でも充分楽しめた作品でしたが、知っていればもっともっと楽しめたことは間違いない。私にとって初対面のキャラでも、ランスにとっては顔見知りだったので、その点の乖離(かいり)が寂しかったです。マジック・ザ・ガンジーは、鬼畜王にも出てるんだよね~。
2004年10月19日