発売日 2004年4月23日
メーカー Littlewitch 
さぁ、次世代エロゲ
うっわ~、なんじゃこりゃあ~!

画面内を流動するカット割りのCGに、吹き出しで綴られるメッセージ。漫画的な体裁を持たせつつ、AVGとしての演出と音楽で彩った、極めてスタイリッシュな見せ方は衝撃的! 端的にいえば、漫画とAVGの融合と呼べるものでありますが、電子コミックといった陳腐な言い回しはこれに相応しくなく、まったく別種な代物に仕上がっている。とかく斬新な画面構成。いや、革新といってもいい新機軸の表現法。こいつはすげぇや…!

この「動的な漫画」の表現は、FLOATING FLAME DIRECTOR(略称FFD)と命名されたシステムによるもの。前作、白詰草話で既に実装されていたシステムとのことですが、私はこれが初見。噂だけは耳にしておりましたけど、まさかここまでドエライシステムだったとは、全然想像だにしておりませんでした。

もうAVGの常識を根底から覆してしまいそうな勢いですね。ただ見ているだけで楽しくなってくるなんて、今までのエロゲ(AVG)ではまずありえなかったこと。8ビットのファミリーコンピューターから、16ビットのスーパーファミコンに移り変わった時と同じようなこの衝撃は、驚きを通り越して、憧憬にすら近い。プロアスリートが見せるスーパープレイに酔い痴れる心境と一緒。反射的に、「すごーい!」といった賞賛の言葉が出てきます。それこそ、スタンディングオベーションで称えたくなるぐらいに。

このQuartett!はあらゆる面でセンスが卓越している。FFDが単純にすごいだけでなく、それを完璧に扱いこなしているのもすごい。コマ割り、間の取り方、エフェクトの演出の上手さは、間違いなく製作者のセンス。音楽の効果的な使い方にも感心させられますし、全体的な画面デザインの美しさ、例えばMac調でグラフィカルに彩られたシステムインターフェースなんかにも、美的な感性の良さを見せてくれましたね。完成度は一分の隙すらない脅威。すごい…。

そして、ややもすればFFDの影で目立たなくなりそうなストーリーもまた素晴らしい出来に仕上がっています。

音楽の名門「マグノリア音楽院」に誘われた主人公が、3人の少女たちと共にカルテットを結成し、コンクールの出場を目指して精進していく学園物語。勧善懲悪な時代劇のように直線のお話でしたけど、これがまた情感溢れるいいお話でねぇ。音楽の素晴らしさ、仲間たちとの友情……って、私が言うとなんか嘘臭くなってしまいますが、そういうハートフルな感動をストレートに伝えてくれるシナリオだったんです。FFDによる最高の演出で盛り上げ方も完璧ですから、ラストはぞわぞわっと感動が襲ってきましたよ。ぞわぞわっと。

カルテットのメンバーたちは皆個性的で楽しい娘ばかりですし、何より主人公が陽気で気さくな男だから、掛け合い漫才のようなやり取りが痛快。序盤から笑える要素がこれでもかと織り交ぜられていて、私は終始相好緩みっ放し。様々なセンスを見せ付けてくれたQuartett!ですが、笑いのセンスまでわかっているというのだから脱帽。すごいなぁ。

グラフィックの貢献も大です。Quartett!の評価は、作品の製作指揮も務めている大槍葦人さんの絵があってこそ。キャラクターは表情豊かで活き活きとしていて、遊び心が含まれたラフなスケッチは実に雰囲気にマッチしていますね。CG枚数も膨大な数を描かれていますから、ホントにすごい~。


もう何処を突っついても、この作品は「すごい」という褒め言葉しか出てきません。なんかここまで盲目的に褒めまくっていると、「弱みでも握られてるの?」と疑われてしまいそうですけど、実際すごいんだから仕方がない。私だって、何でも話にオチをつけたがる典型的な大阪人の1人なんで、意地でも最後にオチとなる欠点を探しだそうとしましたが、全然見当たらないんですもの。

ま、敢えて弱点を論うなら、「話が短い」ってことでしょうか。クリアまでにかかる時間は5時間に満たないほどで、他の作品と比べたら、圧倒的に短い分量だといえますね。でも、これはFFDを用いている以上、仕方がない部分。CGが贅沢に差し替わり、その都度、細やかな演出が施されているFFDは、1つ1つのシーンに膨大な手間がかけられています。事実、これでもCG枚数は2000枚をオーバーしているらしいですから。

というわけで、この作品はやっぱりすごい。今回はもうそれだけ。私はいつも大袈裟な表現(誇張)を使ってレビューしていますが、今回はそれを差し引いてもすごい。マジですごい。ああ、すごいともさ。FFDへの好奇が少しでもあれば、是非一度やってみて。価値観変わるよ。

心の琴線を震わす美しき弦楽四重奏。「咲き誇る季節」は名曲でした。美しい調べが感動を促進させてくれます。

音楽の素晴らしさ、仲間たちとの友情。こんなお話で普通に感動出来た自分は、まだまだ心が荒みきっていないんだなとわかってホッ…。私にも純粋な部分はちゃんと残っていたのね。良かった良かった。

シャルことシャルロット・フランシアが大のお気に入り。こういう騒がしい性格のキャラは超好き。でも、もっとそそられるのは身丈の小さなお嬢様風貌でありながら、実は年上のおねーさんという設定。良すぎる。まさに私の趣味を具現したかのようなキャラクター。

彼女は、Littlewitchさんから私へと送られたベルベットパスであると勝手に解釈しておきます。違うといわれようが、私1人は頑なにそう信じ込んでおく。

今回のレビューはアホの子みたく「すげーすげー」を連発してますが、実際に私はディスプレイの前で同じように「すげーすげー」と連発してましたんで。アホの子のように。

でもね、エロゲにおいてこの桁違いの完成度は本当に「すごい」の一言よ。従前のAVGとはまったく異なったこのプレイ感覚は、絶対に1度触れてみるべき。これまで常に存在し続けてきたテキストボックスがないってだけでも、全然印象が違う。画面一杯のCGを堪能しながらお話を進めていくことが、こんなに気持ちいいことだったなんて。
2004年4月24日