発売日 2005年4月28日
メーカー PAJAMAS SOFT 
ヒーローの声はヒイロ
エロゲというものは「キャラクター、シナリオ、ゲーム性、エロ」の4つの要素で成り立つものだと個人的には思っていますが、現実的にはなかなか、この4要素がちゃんと揃っている作品にはお目にかかれないもので。

しかしだからこそ、このプリンセスうぃっちぃず(以下プリっち)には大いなる価値があると言えるっ! 純愛作品の様相を呈しながら、一線級のエロを持ち、ゲーム性も侮れない。必要とされる4つの要素の総ての面が等しく優れており、プリっちは本当の意味でエロゲと呼ぶに相応しい逸品なのですよ! ここまでトータルに完成された作品は本当にレアっていうか、「こんなの初めて…」って感じです♪


クルル、林檎、かれん、委員長といった賑やかで華やかなヒロインの面々が、明るい笑いを振り撒いてくれるハイテンションな学園コメディ。主人公真樹も単なる添え物的存在ではなく、しっかり中心となって物語を牽引していく人物だったのが好印象でした。幼い頃に交わした「HEROになる」約束を今も追い続けている彼は、バカだけど前向きで快活なところが魅力。エロゲの主人公として大事なスケベな部分もちゃんと持ち合わせていましたし、私にとって理想的な主人公像であったと申しても良いでしょう。

プリっちの面白さは、キャラクター描写を含めて“テキストが優れていた”という理由が勿論大きいのですが、それを際立たせている演出の力も無視できない存在です。CGを多用した豊富なリアクションで、視覚的に楽しませる工夫が随所に施されており、テキストだけに頼り切らない動的な演出は、紙芝居ではない「ゲーム」としての強み。それも過剰になりすぎればテンポを阻害して逆結果になるところですが、ちゃんと弁えた使い方だったので偉い。

そして、魔女っ娘委員会(このネーミング好き)が学園の平和のために戦うマジモン・魔女とのバトルシーンも大きな見所の1つ。頭を使いながら相手の攻撃パターンを読み、上手に敵の弱点属性を突き攻撃していくカードバトルは、これがなかなか面白くて~。

一度コンボが繋がれば、そのまま相手に何もさせずに圧勝してしまうことが多かったり、ゲームとしては非常に簡単な部類ではありましたけど、派手な魔法のエフェクトとダイナミックなカットインによる演出が冴えていて、コンボが繋がったときの爽快感はかなりのモノ。RUSHが20以上繋がって、ダメージが10000を超えると自然にガッツポーズが出てましたね。エロゲのミニゲームとしては出色の出来です。

ここまでの部分だけでもプリっちには充分良作認定を与えられる作品だったのですが、更にこの上、エロまで大いに頑張ってくれていたのだから、ホントにすごすぎる。これだけの作品なら、別にエロに大して力を入れなくても充分売れたでしょうに、それでもエロを手抜きしない真摯な姿勢! 惚れました! PAJAMAS SOFTさんの作品はこれが初でしたが、これからも是非お供させてください!


ただ、完全無欠と思われたプリっちも、最後の魔女界編だけは……。う~ん。

プリっちは終盤、魔女界編というものが始まります。ここでは、これまでお気楽コメディ一色だった学園編とは打って変わって、完全なシリアス路線なんですよ。お話は急に深刻になり、能天気だったキャラクターたちにかつての面影はなくなってしまう。あるのは、憎悪渦巻く殺伐とした争いと、生々しいグロテスクな残酷描写…。

まぁ、物語を引き締める上でシリアスへの転調は結構なことだと思いますよ。単なる学園コメディに終わらせない野心も結構。私だって魔女界編が始まった直後こそ、そのスケールの大きさに驚き、真樹が本当のHEROになっていく展開を思い浮かべて胸を躍らせていましたから。

しかし、いくらなんでもこんなメチャクチャな転調はないでしょ。なんていうか、最初のコメディとのギャップを狙いたいがためにこんな極端なことをやっているとしか思えない。「ほら、こんな風になるとは想像しなかっただろう」という勝ち誇った笑みが透けて見えて嫌。そりゃあインパクトはありましたけど、「それが果たしてプリっちという作品のプラスになってるの?」と問いたいです。押し付けに近いカタチで聞いてもいないテーマを語られても迷惑なだけ。光と闇の魔女やら世界樹やら、ありきたりなRPG設定にも萎えましたし、本当に魔女界編は全部がつまらなかったなぁ。序盤の学園パートがすごく面白かった分、こっちが余計につまらなく感じてしまいます。

キャラクターは魅力的で、お話は大いに笑えて、カードバトルに燃えて、エッチシーンもびっくりするぐらいエロくて、かんなぎれいさんの絵は綺麗で、画面演出も凝っていて、音楽もとても耳障りが良くて、システムも使いやすく配慮されていて……と、あらゆる面が豪華であったプリっちも、最後の最後で余計なものを付けてくれたなと。

これなら変に捻らず最後までコメディで突き通した方が良かった…。惜しい。

学園を舞台に、元気いっぱいの可愛い魔女っ娘たちが、ファンシーな魔物と戦うプリっち。雰囲気的にはNHK教育テレビでアニメ放送されてもおかしくないぐらい明るく健全な作品だったんですが、そんなイメージを台無しにしてくれるほど、エロも良かった

もう日常会話の中でも平気で淫語が使われている有様ですからね~。このシナリオライターさんは、余程女の娘に性器の名前を口にさせるのがお好きなようで、隙あらばペニスだの、ちんこだの、おちんちんだの、おちんぽだのを連呼させています。エッチシーンで使われるならともかく、スイッチがOFFの無防備な状態でいきなり使われるから困ったものです(困ってません)。

しかもこの淫語、消しがメチャクチャ短い。淫語無修正のエロゲも増えてきている中、「消しが短い」というのはあまりセールスポイントになり得ないんですけど、このプリっちの淫語修正は私が知る限り業界最短最小。淫語をピーで消してるというより、ピーを淫語で消しているという表現の方が近いほど無茶苦茶な修正ですから、初めて耳にしたときは笑いました。耳を澄まさないとピー音が聴こえないなんて。逆に言えば、何でそこまでしてピー音を入れる必要があるのかって話になりますが…。

エッチは複数回プレイが基本で、その都度射精シーンも用意されているのが素晴らしい。次のシーンに移行してもかかった精液が残ったままだったりするので、最後はもう汁塗れ。まったく何処のAtelier KAGUYAだよとツッコミたくなります。白眉だったのは、制服の上着を脱いだトップレスな状態で、手コキされた真樹君が好きな相手に精液をぶっかけるという、通称「精液ぶっかけ祭り」。いや~、よくこんなエッチシーンを用意できましたね!

エッチシーンの数が少なく、魔女っ娘姿でのエッチがなかったなど、決して手放しで喜べる内容ではありませんけど、純愛系の作品でここまでやってくれれば私はな~んにも文句はございません。ここまでやっちゃってホントによかったの? と心配なぐらい。パティシエなにゃんこは随分エロが薄かったそうですが、あれから一体、PAJAMASさんにどのような心境の変化があったんでしょうかね。

委員長。委員長は委員長であり、委員長に名前なんて要らんのです。

変わり者揃いのキャラクターの中で委員長は割かしマトモというか、良識を持っているキャラだったはずなんですけど、結構常識外れな行動に出たり、恥ずかしい美少女仮面パピリンに変身したりと、どこかネジが抜けていたのが可愛い。今回のキャラクターの好感度を数字で現すならば、クルルが60点、林檎が80点、かれんが90点、委員長が50000点って感じですね! それぐらい委員長は好き~。口笛を吹いて惚けている委員長の姿は可愛くて仕方ありませんよ。

ちなみに魔女っ娘の変身シーンも委員長が一番エロかった。恥ずかしいから変身中の姿は見ないでといわれ、渋々目を背けて落ち込んでる主人公に、委員長がわざわざもう一度彼の目の前で変身してあげたシーンは、私の中でプリっち株が最高値を付けた瞬間です。
2005年5月31日