発売日 2003年4月11日
メーカー Nail 
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まんまとしてやられた
突然、自分の元へやってきた可愛くてエッチなおねーさん先生の千春との同棲生活。学校から帰宅すると、一足先に帰っている彼女がわざわざコスプレして出迎え。お家にあがる前に汚いところをお口で綺麗綺麗されては、就寝前にお休みのフェラ、朝の目醒めにおはようのキス

可愛すぎる千春に、朝晩とこうまで積極的に献身的に尽くしてくれる感動を、どう伝えればいいのでしょう。最高といっていいぐらい私の希望どおりの作品ではございませんか。

可愛い! おねーさんと! 甘くて! エッチな! 同棲生活!

ポーカーに例えるならロイヤルストレートフラッシュですね。私がなでしこやまとで常日頃訴えかけている理念がそのままカタチになったといっていい強力過ぎるカード。発売前から絶大なる期待を抱きながら、プレイできる日を今か今かと待ち続けておりましたよ~。


ま、こんな感じで私はすっかり騙されちゃっていた訳ですが。

え~っと……極めて遺憾ながら、ぷれゆーは「可愛いおねーさんと甘くてエッチな同棲生活」をテーマにした、毎日カワイイおねーさんと乳繰り合ってるだけのエロエロ作品ではなかったのですね~。むしろ中心となるのはストーリー方面であり、いわゆる感動ゲームに属される「シナリオ重視」の作品なんです。当たり前のように「エロ重視」だと思い込んでいた私は、大いなる思い違いをしていたのでした。

でも、これはなにも私一人による勝手な勘違いではなく、明らかに製作者の意図によるもの。パッケージでも完全にエロを意識したものですし、ゲーム発売前には千春先生に着て欲しいコスチューム投票なんかも行っていましたので、この偽装工作は確信的な犯行だと断言していい。

扇情的な姿で「千春先生がごほうびあ・げ・る(はぁと)」と煽ってるエロゲを、どこの世の人間が泣き目当てで購入しますか? 無粋なんで直接的な言い方はしませんが、購入後の目的は一つに絞られているはずです! 故意にユーザーを欺く重大な裏切り行為には、少なからず遺恨が残りましたよ。

これであとに残るのが二束三文のシナリオだけであれば、私は思いつく幾つかの陰険な報復も辞さない構えだったんですが、そうじゃなかったから話はややこしい…。つまり、シナリオに関しては充分認めざるを得ない出来だったんですね。どんなに穿った見方をしようが、このシナリオの面白い。そして、抜群に良かった登場人物の面々。千春のみならず、他ヒロインの奮闘ぶりも光っていました。物語を構成する上で誰一人として欠けることは許されないと言えるほど、脇役を含め全員が必要不可欠といえる存在感があるんです。

みんな本当に「いい人」ですからねぇ。主人公を含め、みんな心がとっても綺麗。ここまで純粋にいい人たちばかりだと、こちらの心も洗われる気分です。やけにキザな言い回しの多かったぷれゆーですが、嫌味に感じることなく、自然に受け入れられる空気がありました。

ただ、ここまで普通に良く出来た純愛ドラマであると、今度は逆に千春の存在が浮いてしまっていた感じは否めません。過剰にお色気を振りまく千春のようなキャラクターは、世界観にそぐわないんです。いきなり道端にウェディングドレスで現れて、「幸せにしてあげる」とかなんとかで部屋に転がり込み、毎日懇ろに及ぶ女教師なんて、ストーリー重視を掲げる世界観では、ひどくイレギュラーな存在ですから。

しかし、その考えも、千春シナリオのラストを迎えて完全に覆る。千春が幸せを与えようとする意図、過剰な奉仕を行う意味、それらの矛盾は「ご都合主義」で終わることなく、ちゃんとした理由が用意されていたんですね。千春は全然イレギュラーな存在ではなかったということ。ご都合的な矛盾を感じていたシナリオも、実は計算に裏付けられている理路整然としたシナリオだったなんて。……というわけでもう認めます。私の完敗だと。


評価が二転三転して、わかりやすさを欠いたレビューとなってしまいましたが、結論としては紛れもなく「傑作」。ラストは涙なしに語れない感動が待ち受けているでしょう。犠牲になった「最高のシチュエーション」も、これだけ優秀なシナリオの為にならまったくの無駄死ではなかったといえますね。悔しさ、苛立ちが完全に晴れたわけではございませんが……その気持ちはぐっと堪えておくことにします。

衝撃のラストは感極まって、私の眼から血液が濾過されて無色透明となった体液がとめどなく流れ出てしまいました。感動させる手段は卑怯といえば卑怯な手段でしたが、そこまでの持っていき方がとっても上手い。まさかこんなエロゲで私が感涙してしまう事になろうとは…。爆笑問題で笑ってしまうのと同じぐらい屈辱的です。

千春はとりあえず別枠としておいて、その他で選ぶとすると平良理沙。美術部の後輩でロリな少女ではありますが、彼女はすごく良かった。好意を隠さずに全開でぶつかってくるキャラって、いそうであんまりいないですし~。
2003年4月20日