発売日 2010年1月29日
メーカー ネル 
信号が青にならないと、僕は一歩も前に進めません
バカップル愛好家を自称する者として、当然チェック入れざるを得ないタイトル。が、どうも焦臭いというか胡散臭いというか、企画段階で疑問を感じる点が多々あったんですよね~。

だって、“縁結びの呪いのせいで幼馴染と強制的にバカップル”ですよ? 強制バカップルという言葉自体、何かが狂っているとしか。強制親友があり得ないように、バカップルも決して他人にけしかけられるものではないはず。互いに相手のことしか見えなくなり、外界の関与を一切遮断した2人きりの世界に入り込むことがバカップルの神髄だというのに、そこに第三者が介入している時点で、既にバカップル時空は破られているも同然じゃないですか!

神様のお告げでキスしなくちゃいけないとか、ホントくだらない。なんで神様の力を借りなきゃキスの1つもできないんだか。キスぐらい、自分の意志でやれ! 他人に判断を委ねるな! まったくもって私には理解できない設定。本当にこれはバカップルゲーと呼んでいい代物なの…??


しかし、プレイしている内に、私の考え方にも若干の変化。「キスぐらい、自分の意志でやれ!」という主張を引っ込めるつもりはありませんが、「お告げによるキスなんてくだらない」という先程の発言は撤回させていただきたい。いやはや、TPOを選ばない不意のキスの合図というのは、なかなか趣があったというか、思わぬドキドキ感が隠されていて良かったですよ~。

授業中に鈴の音(キスの合図)が聞こえてきたら、強引に理由を付けて2人で教室を抜け出し、屋上でこっそりキスを交わすのですが、これが得も言われぬ背徳感! 他にも、真面目にテスト勉強している最中、何度も鈴の音が鳴り、その都度勉強を中断してキスをするとか、シチュエーション的にすっごく萌えますね。ぶつくさ文句を言いつつ、繰り返されるキスが段々濃厚になっていくのもグッド! “作業を中断してのキス”には、底知れないエロスを感じます。彼女が料理を作っている最中に後ろから抱きついてイタズラとか、皆さんも好きでしょ? お互い感情が高まって交わされるキスとは、また違った良さがありますよ!

あれだけ頑なな否定派だった私も、今ではすっかり「お告げによるキス」の魅力に目醒めてしまいました。しかし、今度は逆に、この素敵の設定を完全に活かし切れていないことにもどかしさを感じ始めたというか、「ああっ、そうじゃないだろ! ええぃ、鈴を貸せ! 俺に振らせてみろ!」というワガママな面も出てきまして…。

私ならもっと公共の場で、「今鈴が鳴ったら大変だ!」というシチュエーションで鳴らしたかったです。例えば、通学途中の電車に乗っているときとか。周りには大勢の乗客がいるので、隠れてこっそり済ませるのは不可能。知り合いに見られないことを祈りつつ、覚悟を決めて車内で堂々と口付けするとか良くないですか? 周りの大人たちは、見て見ぬふりしながら「最近の若いもんは…」と呆れているような~。

こんな風に、意地悪なタイミングっていくらでも用意できたと思うんですよね。衆目の中でキスせざるを得ない状況を演出すれば、もっともっと楽しめたというのに! そういった難題を2人でクリアしていくことで絆は深まり、本当のバカップルへと成長していくもの。いずれ鈴が鳴らなくても、電車内でフツーにキスできるようになれば最高!

まぁ、そうはいっても、この生粋のパッシブ主人公である緑川新一には酷な要求でしょうけど…。本当に彼はハッキリもスッキリもしない性格で、促されるか唆されるかしないと自分一人では何も行動出来ない筋金入りのヘタレ。誰からも話しかけられなければ、恐らく3年間1人も友達ができずに学生生活が終わるであろう、主体性皆無の主人公でした。

主体性がないだけでなく、どこか格好付けていて、自分の感情をひた隠しにしているのが嫌。とびっきり可愛い幼馴染と突然キスを交わす関係になって、この年頃の男子が意識しないはずないんですよ。興奮して夜も眠れないとか、まともに顔見て話せないとか、そういったシャイな一面を見せてくれりゃ微笑ましく感じられるのに、まるで関心がないような振る舞い。つまんない男だわ…。

好きか嫌いかすら見えない状態では、せっかくのキスも事務的な作業に思えてきてしまいます。チャイムが鳴ったから弁当を食うみたいな。「とにかく、聞こえたもんはしょうがない」「とりあえず、済ませちまおう」とか言いながらぞんざいにキスするコイツが心底ムカついてくるっっ! もっと幸せを噛み締めろよ!! 香奈美ちゃんも、なんでこんなしょーもない奴を好きになっているんだか…。ああ、幼い頃に結婚の約束していたからですよね。はいはい。

それでも、2人が正式な交際を始めれば、多少は私の求めているバカップルらしさも見えてくるだろうと期待していましたけど、なんと2人がくっついたあとは日常シーンがろくに描かれなくなるという衝撃の事実…。一体どういうこと…? なんでバカップルの本領である“イチャイチャした恋人同士の日常”が存在していないわけ!? What’s happened!?

恋人同士になったあとは、ひたすらエッチシーンを数珠繋ぎに見せられるだけだなんて。ネルさん的には、“エッチしまくる=バカップル”という認識だったんでしょうか? これまた浅はかすぎるというか見当違いも甚だしいですよっ! こっちとしては、ラブラブな恋人同士の甘ったる~い蜜月を見せつけて欲しかったというのに、こんな肉欲だけの関係を見せられたところでちっとも嬉しくない! 大体、恋人とエッチしまくるなんて、バカでもなんでもなく極めて常識的で健康的なカップル! 普通!


ついカッとなって己のバカップル論を振りかざしてしまいましたが、バカップルゲーには、自分の中で“確固たる理想”が存在するだけに、どうしても理想とのズレが気になって文句が増えてしまうんですよね…。といっても、さすがにこの作品を擁護する気にはなれませんけど。バカップルにこだわらなければそこまで悪くない作品だと思いますが、生憎こっちはバカップルにこだわって購入していますんで。「駅まで徒歩2分!」という触れ込みに惹かれて部屋を決めたのに、駅まで徒歩20分かかったら、他がどれだけ素晴らしかろうと不動産屋に抗議します。

バカップルゲーは1人のヒロインで充分なはずですが、なりきりバカップルには他に4人もいます。まぁでも、縁結びの呪いと関係ないサブヒロインとの恋愛なら、主人公も多少は積極的にならざるを得ないかな……と思いきや、単に呪いが攻略ヒロインに移行するだけでした! 恥も外聞もないご都合設定に言葉もありません! 結局、新一君は呪いに託けた卑怯なキスしかできないのか。もしくは、相手任せのキス。情けないのぅ。

タイトルコールで「もしや?」と思い、ゲームを始めて最初のセリフで確信。ヒロイン香奈美の声、門脇舞以さんじゃないですか!

私、メチャクチャ好きなんですよ~! Fateのイリヤとか、こどものじかんの宇佐美々とか、今日の5の2の小泉チカとか(ロリに偏っているのは偶然)で有名な声優さんで、特に私はアマガミの上崎裡沙役で惚れ込みました。声もいいんですが、「あ、」とか「え、」などの感嘆詞の感情の込め方が抜群に上手い! 萌ゆる!

そんな門脇さんがエロゲに出演されていたとは、ホント感激です。調べてみたら、スマガとかにも出ていたみたい。ん~、やっておけば良かった。何はともあれ、バカップルゲーのメインヒロインに、自分の好きな声優さんが起用されていたのはラッキーでした。
2010年2月3日