発売日 2006年5月25日
メーカー Abel SOFTWARE 

ファンディスクも未完成
何年も何年も待たされた挙げ句、未完という強烈なしっぺ返しを喰らわせてくれたミステリート。可及的速やかな続編の発売が求められていますが、2年の月日が流れた今でもミステリート2が出てきそうな気配は一向に感じられません。そのくせ、PS2に移植版を出したり、訳のわからない「特別ぱっく」なんかで一儲けしようとしているんだから、ファンの神経を逆撫でしてくれますね。ひらがなで可愛らしく「ぱっく」って書いたからって許されると思うなっ(そういえば、どこぞのメーカーも「感謝ぱっく」とか出していたっけ…)。

そして、PS2移植版、特別ぱっくと同時に発売されたお茶濁し3点セットの1つが、このミステリートファンディスクです。如何にも「やっつけ仕事で作ったぞ!」というオーラが全体から漂いまくっていますが、ザッツライト。嘘偽りない、正真正銘のやっつけ仕事でした。

もう追加シナリオの2つは、どちらも目を覆いたくなる散々な出来でしたので…。ショートエピソードの「第3.5話・女装デビューはホロ苦い思い出」は、八十神かおる君の特技である女装の最初のきっかけが明らかになる話で、私としてはそれなりに興味をそそられる話ではありましたが、その中身は空っぽ。きっと複雑で思いも寄らぬ事情があったのだろうと想像していたら、なんてことないごく普通の話でしたもんね。あまりに普通すぎてたじろぎましたよ。こんなのでいいわけ?

本題は「女装デビューに携わったマダムの真意を見抜くこと」だったのかも知れませんが、それも推理モノとしてどうかと思える内容ですしねぇ。ストーリーの最後に「マダムがやろうとしていたことを入力してください」と、正解を自分で文字入力する必要があるのですが、文中に決定的な情報が出てきたわけではないため、「多分こうだろうなぁ」って勘で答えなくちゃならないんです。当て推量で真相を語る探偵なんてありえないでしょ? ロジックを組み立て、確信を持って「こうだ!」と真相を言い当てるのが探偵なのでは。

しかも、当てずっぽうだった私の解答はあっさり正解しちゃっているし…。誰もが最初に思い浮かぶであろう、一番ありきたりな答えが正解だったので、当たってしまって逆に興醒めという最悪の結末でしたよ。なんだかなぁ…。


もう1つのダメ追加シナリオは「第5話・民宿は殺しの香り」。探偵のお仕事を一時お休みして、みんなで海のある民宿へ束の間の休息を楽しもうといった内容だったんですが、バケーションを満喫する暇もなくすぐに殺人事件が起きて、結局いつも通りの展開に。

ま、それはそれで構わないんですけど、肝心の事件のクォリティがあまりに低くて低くて。容疑者が1~2人の状態で真相が判明したところでちっとも驚きがありません。本編のように自分で操作して事件を究明させることができませんし、そもそも犯人を特定することすら許されていない。勝手に主人公が犯人を暴いて、ベラベラ事件の真相を言い当てて終わりなんだもん。

これって本当に菅野さんが手掛けたシナリオなんでしょうか? 違いますよね? 菅野さんはノータッチですよね? 社内の新人に丸投げしたんですよね? 頼むから菅野さんではないと言って欲しいです。もしこれが菅野さんによるものなら幻滅せざるを得ないですよ。これじゃあ、ミステリート2なんて1ミリも期待できそうにない。

目当てにしていた追加シナリオが2つともこの体たらくですから、この時点で「ミステリートファンディスク」は無価値なものと成り下がりました。いくらお布施目当てのやっつけ仕事とはいえ、ここまでメチャクチャなものを出されるとブランドイメージの低下、菅野さんへの不信感にも繋がりかねませんよ。


しかし、残るコンテンツの「究極難度!?読者への挑戦」は意外にも面白かったりする。過去に名探偵たちが手掛けた事件を辿るショートストーリーで、いわばクイズ形式の推理ゲームのようなもの。難易度も然程難しくないので、軽い頭の体操といった感じでした。全部で28種類とそこそこボリュームもありましたし、ファンディスクの一番の目玉はもしかするとこれだったのかも知れません。

難しくはないといっても、中には手応えのある問題も幾つかあって迷わせてくれます。特に暗号系はやっぱり一筋縄には行かないというか…。ノートにペンを走らせながら、うんうん悩んで解いていました。「File:001ジュエルとかおる#1」には手こずったな~。暗号は早い内に解読していたのに、その後の解除コード入力が全然わからなくて。5桁のダイアルって言ったら、普通答えは5文字だと思うはずだよ~。

File:012の「ダイイング・メッセージ」もかなり理不尽。こちらも暗号自体は解けたのですが、そこから犯人まで結びつけることに一苦労。ていうか、これは最後まで無理でした…。正解の解説を見て、「そんなのアリかよ!」って愕然としましたねぇ。ナイフで腹部を刺されて殺された人が、こんな回りくどくて、ややこしくて、面倒臭いダイイングメッセージは絶対思いつかないですって!

とまぁ、ぶつくさ言いながらも時間を忘れてすっかり謎解きにハマってしまったことは事実で、これが楽しめただけでもファンディスクの価値は少しはあったかな~と思い直すようになりました。

けど、褒める気は更々ありませんよ? このコンテンツにはビジュアルがないという致命的すぎる大欠陥を抱えていますしね。一枚絵CGどころか、キャラの立ち絵、背景すらもなく、ただ真っ黒な画面に白文字が流れていくだけ…。キャラクターのボイスもありません。リアルに読者に挑戦を叩き付けているとしか思えないひどい作りです。せっかくいいものを作っているのに、こんなつまらないところで手抜きをしているから台無しなんだな~。


今回のファンディスクはいくらなんでも手を抜きすぎ。作り手の愛がま~ったく感じられない。こんなやっつけ仕事のファンディスクを買わされているファンの人が可哀想でなりません。菅野さんが好きで、ミステリートが好きだから、続編を待ちきれずこんなファンディスクを買っているというのに、こんな愚にも付かないいい加減な作品であしらわれるなんて。同情しちゃいます。Abelさんはそんな可哀想な人をもっと労ってあげてよ…。

ファンディスクでは声が付きました。元々、後でリメイクするためにわざと声を付けないセコい商売をしているだけなので予定調和ですけど。

ちなみに、主人公八十神かおるのCVは緒方恵美さん。説明するまでもないでしょうが、エヴァンゲリオンのシンジ君の声をしていた方ですね。キャラクター的には雪兎さんの方が近いかな? 八十神かおるのイメージに適した声だったので違和感なく受け入れられましたが、面白かったのはかおるが女装したときの女言葉が逆に不自然だったこと。女性なのに女性の声が不得手とは、変わった声優さんです。

南条深雪が好きなんですが、彼女ってこんな声でしたっけ…? 探偵紳士の頃はもっと可愛い声だったような…。
2006年6月18日