発売日 2003年12月26日
メーカー elf 
頼むからもう無茶しないで警察に任せて…
倒産した某会社の版権を拾って作られた新・御神楽少女探偵団は、旧作の「御神楽」「続・御神楽」も一緒にバンドルされている親切設計。いずれも未経験の私にとって、これは嬉しい配慮ですね。その心遣いを無駄にしないためにも、私はちゃんと新・御神楽への予習として旧作の方から手を付け始めましたよ。

旧作はさすがに前時代的。グラフィックはショボくて、少女探偵団3人娘の巴、滋乃、千鶴も見た目はお世辞にも可愛いといえない。オマケに声優さんがドの付くほど下手糞(ていうか声優じゃないでしょ?)だったので、最初の印象は芳しくありませんでした。

でもそんなイメージは少しプレイすればすぐに覆る。面白い! 面白い! これは面白い! 帝都の名探偵御神楽時人とその所員たちが挑む難事件の数々に、私はあっという間に没頭してしまった!

この面白さの原動力となっているのは、なんといっても推理トリガーシステム。推理トリガーとは相手との会話中、事件の謎を解く鍵となるメッセージを見つけたときに引き金を引いて更に内容を押し広げていく、いわゆる「逆転裁判」の法廷バトルにおける「意義あり!」と同等のシステムでして、証言のムジュンを指摘して真実を暴いていくあの感覚とまったく同じ。逆転裁判の基礎を築いたともされるこの推理トリガーシステムですから、やっぱり良くできています。多くの情報の中から重要なものを取捨選択し、事件の核心を撃ち抜いたときの快感は相当のものでした。

それでいて難易度が難しすぎないのもいい。最初の頃は、どんな証言も疑いの目で見ていたせいで、推理トリガーが何度も空砲を鳴らしていましたが、一度コツさえ掴めてくればトントン拍子で事件を解決出来るようになり、私も名探偵気分。嫌気の差す難解さや、ミスリードさせるような意地悪な罠がなかったのは助かりました。でも些細な違和感が事件の重要な鍵を握っている場合もあるので、ぼんやりとテキストを眺めているわけにはいかず、常に緊張感は持たされていて退屈はしません

勿論、肝となる事件だって良く練られていましたし、「太白星」「夢男」「蜃気楼の一族」「暗闇の手触り」なんかのストーリーは断然オススメ。やりごたえのある事件ばかりでしたよ~。

ちなみにこのゲーム、プレイヤーが操作するのは名探偵の御神楽時人ではなく、助手である3人の少女たちです。御神楽時人は言わばアームチェア・ディテクティブでして、助手(プレイヤー)が調査で得た情報をまとめ、そこから事件を推理し、真相を解き明かす役目。要するにオイシイところを最後に全部持っていく役柄ともいえますね。でも、助手である少女3人を操って、名探偵を補佐するというのも新鮮で楽しいんだなぁ。

その3人のヒロインたちは、最初こそ可愛くねーとか思っていましたが、ゲームに没頭する内、嘘みたいに可愛らしく見えてくるから不思議。旧作の御神楽は、キャラクターが細やかにアニメーションしてくれるのが大きかった。表情豊かなキャラがそれぞれコミカルな動きを見せてくれますので、見ていてすごく賑やか。はしゃいだり、頬を膨らませたり、恐怖に慄いたりする巴の仕草1つ1つを見ているだけでも楽しかったです。


さて、旧作御神楽をクリアしたら、次はお待ちかねの「新・御神楽」。elfさんの手により新たに生まれ変わった御神楽ですが、旧作をプレイした後すぐに始めれば、その格段の進歩に驚かされる。さすがelfというべき抜群のクォリティのCGは、アニメーションこそなくなったものの、雲泥の差といえる美しさで虜にしてくれる。一新されたキャラクターデザインで、巴たち3人娘も劇的に可愛らしくなりましたし、システム回りを含めあらゆる点がパワーアップ。

当然、見た目だけでなく中身も進化していますよ。一層奥深くなった事件は、意外性と駆け引きが増して謎解きはより楽しくなった。真相究明の過程で知るキャラクターの様々な過去や事情が交錯し、やがて明らかになる事件の全容。「新」は犯人の動機といった部分が非常に上手くできていたので、その点がカタルシスでした。

そして、旧作と新・御神楽の一番の相違点である「18禁要素」。エッチシーンが加わったことが、今回の新・御神楽少女探偵団の最大の恩恵である……と思っていたのですが、まさかこの18禁要素こそが、順調だった御神楽の勢いを阻む障害物となってしまうとはね~。

御神楽のエッチシーンは、不愉快極まりないことに陵辱が主体。脇役女性キャラは片っ端から犯されてしまう勢いでして、事件の合間合間では必ずといっていいほど、豚野郎どもに陵辱されるシーンを見せられるため、プレイのテンション下がりまくり。

元々、この作品にはエッチシーン自体必要ではないんですよ。過去2作は硬派で純粋な探偵モノで、エロという分野に関してはまるで無縁。巴、滋乃、千鶴の3人娘はとても魅力的な少女ながら性的な対象ではありえなかったですし、ベッドで乱れた姿を見てみたいヒロインじゃない。途中、巴がシャワーを浴びるシーンで初めて彼女の全裸を見ることになったんですが、それだけでもすごく見てはいけないものを見てしまったようで動揺しましたもん(本当よ)。

どうしても彼女たちのエッチシーンを描写するなら、相手は御神楽時人先生に限るべきだったと思いますが、この愛着ある巴、滋乃、千鶴の3人が下種な豚どもの毒牙にかかってしまうのだから我慢ならない。悪人に犯されたり輪姦されたり寝取られたりするシーンがこれでもかとつぎ込まれているなんて、一体何の恨みがあってのこと? 捜査途中、下手を踏んでしまった彼女らに待ち受けている容赦のない陵辱は、とても正視に耐えられたものではありませんよっっ!! だって、こんなのひどすぎる。巴…巴なんて……嗚呼……。もう思い出したくもない……。うぅ…。

こういった最悪シーンは選択肢にドクロマークが付いているので、見たくない人が避けるのは容易いんですが、私はレビューするという立場上、嫌々ながらも確認せざるを得ませんでした。見てしまった後、地面に頭を叩きつけたくなるぐらい後悔しましたがね!

まぁ、陵辱シーンがムカつくという私の事情を横に置いておいたとしても、やっぱりこの御神楽に18禁要素は不要でしたよ。御神楽という作品の魅力は、難事件に挑む快活な少女たちの活躍によるものでしょう? なまじ18禁にして物語に性描写を混ぜてしまったことで、事件に売春、強姦などの描写が絡む生々しい話になってしまい、娯楽性の高かった御神楽のムードが損なわれています。年頃の少女たちが捜査するには相応しくない事件になってしまった時点で、もう御神楽少女探偵団に相応しくない作品だったと私は思うのです。

なので、ストーリーや事件の奥深さが飛躍的に上昇した新・御神楽とはいえ、素直にこっちを褒め称える気になれない。本当の意味で「楽しかった」といえるのは、間違いなく最初の御神楽、続・御神楽の方ですもの。純粋に事件の謎解きだけに没頭できた分ね。

収録された事件はどれも概ね満足。先程オススメした「太白星」「夢男」「蜃気楼の一族」「暗闇の手触り」は本当に面白かったし、新・御神楽では最初の2つ「殺サレルベキ男」 「呪香」をプッシュしたい。

ただ、つまらなかった事件も3つほどありました。それは「猟奇同盟」と「さ・よ・な・ら」と「百舌」。

お気付きになった方もおられるでしょうが、これらはそれぞれ御神楽、続・御神楽、新・御神楽のそれぞれ最後の事件に相当するものなんですね(猟奇同盟は元々最初の御神楽に収録)。どれも最後の事件として大掛かりにしようとした気負いが空回りしていて、意表を突こうとするあまり、逆に犯人がバレバレになっていたり、トリックも強引すぎたり、現実味がなくなってしまっていたりと、不満だらけ。猟奇同盟なんてびっくりするぐらいダメだった。わざわざ前後半に分けた長編だったくせに…。

少女探偵団の3人はみんな好き。プレイヤーに媚びてる萌えキャラに慣れてしまった自分には、彼女らはとても新鮮に感じました。久御山滋乃は、最初ド下手声優さん(ていうか声優じゃないよね?)のせいで印象が悪かったんですが、声優さんが改善された新・御神楽になると一気にお気に入りキャラ。

新で滋乃を演じてる人は、前任が遠く霞むほどにものすごくお上手なのよ。高慢でわがままでヒステリックな性格を感じさせながら、育ちの良いご令嬢といったイメージを崩していない完璧なボイス。ずっと聞いてると、段々ムカムカしてくるぐらい鼻に付くお嬢様喋りが素晴らしい。お嬢様系は数多く耳にしてきましたが彼女はピカイチです。
2004年1月11日