Maple Colors H
 
メーカー〔CROSS NET〕 発売日2004年1月30日


続編の心意気
昨夏発売されたMaple Colorsは、後半に大失速してしまう欠点を含んでいたとはいえ、全体的には大変良く出来ている秀作で、今でも広く皆様にオススメしたいお気に入りの一本です。

そのMaple Colorsにファンディスクが出るとなれば、私も購入すること吝(やぶさ)かではないのですが、「ファンディスク」と名の付く代物はとかく印象が悪く、信用の置けない粗悪品がゴロゴロしているのが実情。今まで私は様々なメーカーさんのファンディスクを手にしてきましたけど、碌なモノに巡り合えた想い出がございません

二束三文のショートストーリーに、不要な壁紙やらデスクトップアイコンやらがごちゃごちゃ詰め合わされたお決まりの手抜き作品。数々のガラクタを掴まされすっかり疑心暗鬼に陥った私は、もうファンディスクというものが単なるメーカーの片手間の小銭稼ぎとしか見えない…。

ところが! Maple Colors Hは違ったのです。これはファンディスクにありがちな手抜きのイメージがなく、随所に丁寧さを感じさせ、従来のファンディスクとは手触りがまったく違うもの。メーカーさんも「ファンディスク」という位置づけでは作っていないのかもしれませんが、それぐらい今までとはまったく別種な作品だったんですよね。対価に見合うだけのボリュームもしっかりありましたし、具体的にいえば、テリ☆みっくすなんかとは全然違うということです。

そんなMaple Colors Hの目玉となるのが新作シナリオ。ヒロイン編、桜井まこと編、高野聖編による3編7話のストーリーは、いずれも天晴れな出来栄えでした。取り分け、私が良かったと感じたのはやはりメインとなるヒロイン編ですね。葵未来、鈴原空、卯月あむ、咲守素子、林木葉の5人のクラスメートが突然主人公宅に転がり込むこととなり、親が出払っている5日間、1つ屋根の下で暮らすといった物語なんですが、これがと~っても面白かったのです。

大騒動という言葉がピッタリの賑やかなドタバタ劇は、テンポの良いコメディが実に楽しくて、何度も笑わせてくれます。突然記憶喪失になってしまったり、いきなりお兄ちゃんと呼ばれだしたり、突然相手の心の中が覗けるようになったり、続けざまに起こるハプニングの連続で飽きさせることもなく、最初から最後までずっと楽しませてくれた。

5人の少女たちはそれぞれ個性的なんで会話のやり取りだけでも面白い。ストーリーは本編の「文化祭」が終わった後の話になっていて、主人公は既にモテモテの状態ですから、恋の争奪戦の渦中に巻き込まれるといった嬉しい展開も当然ありまして私もニヤニヤ。本編のMaple Colorsとは一風変わったラブコメ要素満載(ラブよりコメディ色が強いけど)のこのストーリーは、とても心地良かったものです。

コメディな要素とは別に、この作品にはエロという素敵な特徴がもうひとつ存在します。MapleColors Hは、そのタイトルの「H」が示すようにエロ方面への確固としたコンセプトを持っており、ここら辺はパッケージをご覧になればおわかりになりますが、実はかなりエロに傾いた作品になっていたりするんですよ。

でも正直、エロへの期待なんてこれっぽっちもなかった。Maple Colors如き素人がエロに前向きになったところで、どうせ私を満足させられるはずがないと侮っていましたから。所詮、元がエロ薄の純愛系作品。気まぐれでエロに力を入れるなど片腹痛い。

……と、今ではそんな無礼を深く反省している次第ですが。だって、この作品のエロは私の思惑を大きく上回っていましたからね~。これまでのMaple Colorsのイメージが覆ってしまうぐらい豪華で濃厚なエッチシーンには、そりゃあ私も驚かされましたよ。鈴原空にしろ、卯月あむにしろ、この作品ではキャラを間違えているぐらいエロエロに豹変していますんで、Maple Colors本編を知る者ならかなり面食らってしまうことでしょう。それぐらいエロい。

1つ1つのエッチシーンで区切ってみれば、ビックリするほどすごい行為をしていたわけではないんですけれど、それでも相手があの葵未来、あの鈴原空、あの卯月あむなので、そこらの女と比べたらまるで有り難味が違ってきます。Maple Colos本編で感情移入させられている魅力あるキャラたちと、イチャイチャでラブラブで濃厚なエッチが実現されているのですから、普通一般のエロゲでは到底味わえない感動があるのです。いやいや、大袈裟じゃなくて!

コミカルなシナリオでありつつエッチはしっかり描写する素晴らしい姿勢は、まさしく「H」の称号に相応しいもの。本編では想像だに出来ない非凡なエロさを見せていたことで、ややもすればMaple Colorsの世界観を逸脱しているとも思えてくるのですが、でもそれぐらいの無茶をしてこそファンディスクの価値は生まれるものですね。ファンが望むものをキチンと斟酌し、本編で為し得なかったことを実現させる、これぞファンディスクの鑑と呼べる作品でしょう!

なんかチョット褒めすぎな気もしますけど、他のファンディスクがだらしないのだから仕方がない。Maple Colors Hに比べたら、他のファンディスクが余計にみすぼらしく見えてくるんですもん。まったく、頼むよTeriosさん。

作中、CGは惜しみなく投入されていて、その総数はとてもファンディスクの範囲内といえるものではない。新規のCGだけでも150枚以上というのだからお疲れ様です。

Maple Colorsおなじみのミニゲームが6本収録で、クリアするごとに脱衣シーンも見られるというオマケ付き。

しかし、このミニゲームが完全に本編の流用だったというのは残念ですね…。ここまで新しい物を求めるのは酷かもしれませんが、使い回しというのは印象が良くないので避けて欲しかった。この作品唯一の不満点かな。

そういえば、本編ではメインヒロインの一角だった「桃井葉子」と「秋穂もみじ」の出番がほとんどなかったりする。何でかな~と思っていたら、どうやら彼女たちはアンケートの人気的な面であぶれちゃったみたい。チョット可哀想と思いつつも、私もこの2人は特に好きではなかったのでこれといった不満はなかったり。

No.1脇役の高野聖にシナリオがあったのは嬉しい限り。これがあったからこの作品の購入に前向きになれたぐらいなんで。

一方、一番のお気に入りだった葵未来はエッチシーンの方でたくさん頑張ってくれていました。CVは北都南さんなんで濡れ場の演技は文句なし。去年は、北都、北都、雨、北都の勢いで大車輪の活躍をされていた北都南さんですが、今年もお世話になりそうですね。宜しく。
04年2月1日