発売日 2011年6月24日
メーカー 暁WORKS 響 
こっちから誘うから、お前らは黙って待ってろ!
ニート予備軍として、日々自堕落な生活を送っている無気力な主人公に業を煮やした叔父は、「バイトでもして働くか、彼女を作る努力をしろ!」と彼をけしかける。その厳しい叱咤に目が醒めた主人公は、一念発起して彼女を作ることを決意。

俺は変わる。引きこもるのをやめて、真っ当な人間になって、彼女を作る。そして……そして……絶対に働かないぞーーーっ!!!

働きたくないから彼女作るとか動機としては最低なんですが、その「動機」すら持たないエロゲ主人公が大きな顔をしている中、彼の姿勢はまだ立派だと言えますね。このエロゲの気持ちいいところは、目的意識がハッキリしていること。毎日を何となく過ごしているだけの他の萌えゲーとは違う。誰かに言い寄られたり、事件に巻き込まれたりしなきゃ、1人で何もアクションを起こせないヘタレ主人公とも違う!

しかし、思い立ったからといって急に引っ込み思案な性格を変えられるはずもなく、最初はまだ消極的なまま。今風の可愛い子は俺には無理とか、彼女は俺と住む世界が違うとか、何かと理由を付けて尻込みしてしまいます。ずっと自分の殻に閉じこもってきた彼にとって、クラスメイトの女子に自分から話しかけることすら一大決心。こっちは「会話に混ざる」を選択して友達の輪の中に入れと主人公の背中を押してあげているのに、

マジでー!? 俺、話かけんの? 生身の人間に向かって? そりゃあ、女の子と付き合うんだったら色々な覚悟とかその辺が必要になるだろうけどさ……それって今すぐやらなきゃいけないことなのか?

と、逃げの思考でなかなか話かけようとしてくれない(笑) それでもしつこく「会話に混ざる」を選択することで、渋々会話を試みようとする主人公。平常心を装い、さりげなさを装い、勇気を出して自分から話題を切り出してみれば、すんなり女子とのコミュニケーションに成功! すると、あれだけウジウジ躊躇していた本人も「ああ、話しかけて良かった~」と満足顔。くっそ~、この主人公可愛すぎるっ!!

恋愛に奥手な主人公が一生懸命頑張っている姿は、見ていてホント微笑ましい。街中で偶然出逢った女子と挨拶程度の会話を交わしただけでも、「できた! できたぞ! 本当にたった一言だけど、会話が成立した!」と大はしゃぎしたり、異性に免疫ない主人公ってのがものすごく新鮮なんです。大抵は、ろくに恋愛経験もないくせに、達観した物言いでクールを気取った気持ち悪い主人公ばかりですからね(言い過ぎ)。このLOVELY×CATIONの主人公のように、みっともなくても、自分から現状を打開しようと頑張っている人の方が、私は何倍も好感持てますよ!

アニュアルレポートで「2011年こそは童貞臭い童貞男子が童貞らしさを見せてくれますように!」と願掛けしていた私にとって、初めての異性交遊によるリアルなドキドキ感が見事に表現されていたLOVELY×CATIONは、まさに希望通りのオートクチュール。これぞ理想の具現化と言うべき作品でしたので、こちらとしても100点満点という最大限の評価を用意して盛大に讃えるつもりでした。


ところが、個別ルートに入った頃から、徐々にシナリオの弱さが気になり始めるように…。恋愛シミュレーション(風)であるLOVELY×CATIONは、それほどシナリオが重要視されないとはいえ、あまりにストーリーが順調に進みすぎたのは拍子抜け。イケているとは言えない主人公が、学園の綺麗どころや教師となんのハードルもなくあっさり付き合えちゃうのはどうなの? 「他の男の告白を断るために恋人の振りをする」など、用意されていたイベントも陳腐。これは「幼い頃の結婚の約束」に並ぶ、ご都合主義の極みですよ。どうせ「演技していたはずが本当に好きになっちゃった」以外のオチは存在しないんですから。

イベントが総じて受け身受け身だったことが私にとって最大の誤算でしたね。彼氏の振りをしてよ、一緒にお弁当食べようよ、放課後付き合ってよ、明日デートしようよ、貴方のことが好きよ、常にアプローチはヒロイン主導。せっかく主人公自ら奮起して、積極的になろうと頑張っているんだから、そういうセリフは全部こっちに言わせろってーの! まったく、空気読まずに勝手にベタベタ言い寄って来やがって…。恋愛シミュレーションとして、ヒロインを「口説き落とす」ことを一番の楽しみにしていたのに、これじゃあ結局そこらの萌えゲーと変わり映えしないじゃないですか~!

「女子に話しかけるドキドキ感」をあれだけ丁寧に描いていた作品でありながら、セックスまでの過程が超あっけなかったのも「何故?」という思い。私はもっとゆっくりステップアップしていくフツーの恋愛を楽しみたかった。電話をかける、デートする、手を繋ぐ、キスする、初めて経験する恋愛のプロセスとして、そのどれもに新鮮な感動がつまっていたはず。それらを全部すっ飛ばして、いきなりセックスだなんてどうかしているよ!


……ホント惜しいとしか言いようがない作品です。なんで途中まであんなリアルな恋愛を見せてくれていたのに、その良さを無下にするようなシナリオを持ってくるのか。製作途中でシナリオライターが急死して、別の人が後を引き継いだのかと疑ってしまうレベル。まぁ、付き合い始めてからの甘いイチャイチャっぷりは充分満足の行くものだったので、残念だったのは個別ルートから付き合うまでの過程だけなんですよね。うーん、惜しいなぁ。

唯々月たすくさんの絵はゾクゾクするほどに美しく、由仁、優希、綾、三朝、瀬良の5人のヒロインは押し並べて魅力がありました(5人のうち2人が先生なのはバランス悪いけど)。また主張の強いおっぱいのおかげでエロへの意識もなかなかのもので、コスプレや足コキ腋コキといったフェティッシュなプレイを含め、淫語も結構頑張っている。「キャラクター、シナリオ、ゲーム性、エロ」のエロゲ4原則のうち、シナリオ以外の3つはクリアしていたんですよね~。ああ、返す返すも惜しい!

失望感のせいでどうしてもネガティブな意見が増えてしまうんですけど、トータル的に見ればやっぱり指折りの傑作なんです。アマガミのエロゲ版といった感じの雰囲気はすごく良かったですから、基本はこのまま変えずにシナリオだけを見直し、あとは細かいところをちょこちょこビルドアップしていただければ…。それなら、もっともっともっと良い作品になれたはずですよ! 回りくどい言い方をやめれば、LOVELY×CATION2を是非とも出して欲しいってことです! そこで私の想いを成就させてください!

LOVELY×CATIONは、単純な紙芝居AVGでなかったところも好感。主人公には13種ものパラメーターが備わっており、日々の行動で自分磨きをする恋愛シミュレーション的な一面があるんですね。ただし、それが攻略に直結している実感があまりなかったので、必要性には少々疑問が。結局、目当てのヒロインのアイコンを選び続けて、選択肢も適当に相手が喜びそうなものを選んでいたら、簡単に結ばれてしまうので…。

目に見えて効果を実感したのは、体力・器用・魅力のパラメーターぐらい。これらはエッチシーンに直接影響を及ぼしまして、体力で射精量が増大したり、器用さでヒロインがテクニックに酔い痴れたり、魅力でより親密なエッチを楽しめたりするんです。当然、私は体力を重点的に鍛え、長友ばりの強靱なタフネスを維持していました

綺麗なおねーさん系教師、月岡三朝(つきおかみささ)。落語家みたいな名前なのが気になりますけど…。LOVELY×CATIONには、自分の名前を愛称で呼んでくれるラブリーコールシステムというのがありまして(“やまと君”もありましたよ)、私はあまりこういうのに興味なかったんですけど、大人の女性が愛称で呼んでくるのはチョット良いなぁと思ってしまいました。

ただ、前述の通り主人公が非常に個性の強いキャラなので、あまりこのシステムと相性が良い作品ではなかったかも。こちらの選択肢にゲーム中の主人公が反応するメタ的な会話も多数ありますし、どう考えてもプレイヤー≠主人公。ラブプラスのような無個性主人公じゃなきゃ、こういう呼び名システムは有用でなかったように思います。
2011年6月28日