Littlewitch Fandisk
ちいさな魔女の贈りもの
 
メーカー〔Littlewitch〕 発売日2006年4月28日


真心ギフト
16色で描かれていたCGは美しいフルカラーに彩られ、記憶媒体の大容量化に伴いキャラクターのフルボイスも当たり前のものとなりました。しかし、エロゲの進化というのは、ずっとこの地点で歩みを休めたままであるような気がします。1年前のエロゲも2年前のエロゲも3年前のエロゲも、ぶっちゃけ今とそう大きな違いは感じられない。唯一、Littlewitchさんだけがその先を見せてくれているといった感じですね。

代表されるFFD(フローティング・フレーム・ディレクター)は、まさしく従来の紙芝居AVGからのパラダイムシフト。吹き出し、コマ割りの漫画的手法に、ゲームならではの動的な演出と音楽を融合させたこの画期的なシステムには、作り手側の技術、知識、センス、手間がふんだんに詰まっており、他の作品では味わえない未知の感動を与えてくれます。

とはいえ、Littlewitchさんの凄みは決してFFDに限られたものではなく、作品への徹底したこだわり、全体の行き届いた配慮、細部にまで及ぶ作り込みこそが、真に素晴らしいと言える点。インターフェース画面1つを取ってみても、「他とは違う!」ことが一目瞭然であるはず。「見た目の美しさ」が「触れることの気持ちよさ」となり、「プレイする楽しさ」へと繋がって行く。う~ん、持ち上げすぎですかね?


さてさて、そんなLittlewitchさんからファンディスクが発売されることになりました。既存の3作品、白詰草話・Quartett!・リトルウィッチロマネスクから計9つのショートストーリーを軸としたコンテンツ設計で、他にはカード対戦型ゲーム「魔女っ子クライシス」、歴代ヒロインのプロフィールが網羅された「GIRLS IN THE ROOM」、隠し要素として複数のおまけエピソード&ミニゲームが収録されている豪華な内容。

Quartett!好きな私は、最初にショートストーリーの「Eazy listening」をチョイスしましたが、これが実にいい話でしてねぇ。「君の音楽は耳障りが良いだけのイージーリスニング」とオーディション審査員に酷評されたシニーナが、自らの限界を痛感し、音楽活動への諦めかけていたところでのユニとハンスの温かい励ましが感動的。特にハンス君には「お前、そんなに格好良いやつだったの?」と驚かされましたよ~。

このストーリーもそうであったように、物語の中心となっているのは本編ではスポットライトを浴びる機会の少なかった脇役たち。Quartett!でいえば、シニーナ、ユニ、クラリサ、ジゼルといった辺りが主役で、私の大好きなシャルロット・淑花にはほとんど出番がありませんでした。不満といえば不満ですが、ショートストーリー質の高さはどれも保障付き。白詰草話が未プレイで、内容に関してはまったくといっていいほど知らなかった私なのに、それでも白詰草話のショートストーリーは違和感なく楽しめてしまえたぐらいですから。

自分でも意外ですが、数あるショートストーリーの中で一番のお気に入りだったのは白詰草話の「エクストラの休日」だったりします。戦闘用アンドロイド・エクストラを生み出した自分を「残酷な神」と称する津名川が、“ある音”を耳にした瞬間から、自分は決して「残酷な神」には成りきれないことを悟ってしまう…。FFDによる巧みな演出も相俟って、思わずグッとくる感動がありました。この主人公津名川宗慈がまたものすごくカッコイイ。Littlewitch作品に出てくる主人公って、タイプはそれぞれ異なるけど、何気に皆魅力的で格好良さを持っていますよ!


お次の「魔女っ娘クライシス」は、一口に説明するとカードバトル要素のあるボードゲーム。Littlewitchのマスコットキャラ「リトこ」を操り、ダイスを転がしてマップを移動しながらカードを拾い集め、ヒロインたちとカード勝負を挑むというのがゲームの簡単な流れです。

カードには攻撃力と防御力の数値が表記されており、手札から3枚選んで場にセットした後、相手のカードと照らし合わせて与えるダメージを算出します。相手のライフポイントをゼロにすれば勝ち。カードにはそれぞれ火、水、草の属性が割り振られていて、火は草に強く、草は水に強く、水は火に強いと、ジャンケンの要領で強弱が定められていますので、この辺が戦略の鍵となりますね。他にも特殊効果を持つスペシャルカードを上手に使うタイミングが重要。

ゲームの完成度としては相当に高く、かなり面白いです。結構ハマります。これがファンディスクの1コンテンツに過ぎないっていうのは贅沢というか勿体無いというか…。正直、普通に単体のゲームとして売るべきだったと私は思っていますよ。もっとちゃんとしたカタチで出した方が、お互いのためにも良かったのではないでしょうか~?

そのためには、CPUの思考を改善して頂く必要がありますけどね。火のカードに対して有効な水のカードなのに、何故か弱点である草のカードに向けて使われたり、理に適わない戦法をとってくることがしばしば。ゲームの根幹となる「三すくみ」をCPUが理解していないのはいくらなんでも興醒めでしょう。せっかく面白いゲームシステムなのに、CPUの知能が低いと真面目にやる気が失せちゃいますよ。

ちなみにこの「魔女っ娘クライシス」で敵(ヒロイン)を倒した後は、洗脳を解くために聖なる衣装に着替えさせるという設定で、ヒロインのコスプレ姿が見られるご褒美があります。お色気として考えるとかなり弱めでしたが、大喜びの主人公、ノリノリのヒロイン、呆れ返るリトこ、この三者三様のやりとりはすごく面白くて~。

フィル「スーファ、ぜひその格好(女教師)で俺を叱ってみてくれ!」
淑花「……。ダメじゃない、ユンハース君。君はこんな問題もわからないの?」
フィル「あっ、ああ…! ごめんなさい、先生。ボクったらほんとにダメな奴で…。」
淑花「まったくもう──。手を焼かせる子ね。今日の放課後、教室に残っていなさい。先生が、じっくり教えてあげるから」
フィル「うへへ…。おいおい、聞いたかよリトこ~? どうしよう、俺すごいこと教えてもらえちゃうかも~?」
リトこ「そ、そう…。良かったね、フィル君…。(こいつ…! 本当に、ダメだ!)」

毎度、こんな感じのおバカな寸劇で大いに笑わせてくれました。各々のキャラクターがすごくいい味出している!


Littlewitchさんのファンディスクなだけあって、さすがにその完成度は桁違い。レビューでは書き尽くせないぐらいの良さがたくさん詰まっていて、サービス精神旺盛な制作者の並々ならぬ誠意が痛いほど伝わってきます。「ここまでしなくても…」と恐縮してしまうほど精一杯の誠意を見せてくれるので、こちらとしてはもう批判したくなる気持ちなんてサラサラ皆無。ありがとうございますとしか言葉を返せません。

え、魔女っ娘クライシスでバトル開始直後に強制勝利してしまう致命的バグ? 気にしないです、そんなこと。

もう1枚のディスク、EXTRA DISCの方には特別壁紙集(全部で130枚!)、ムービー・体験版集(イベント・雑誌バージョンまで)、設定資料集(大槍葦人さんのコメント付き)、お蔵出し素材(システムボイス・絵コンテ・楽譜etc...)とこちらも至れり尽くせり。ここまでやってこそ、本当のファンディスクと呼べるのでしょうか。

白詰草話の沙友・エマ・透花の3人娘は可愛いな~。可愛すぎるな~。成長が待ち遠しくて、ことあるごとに身長を計ろうとする沙友は堪らなく可愛い。それにしても、白詰草話ってタイトルの語感から、もっとほのぼのした牧歌的なストーリーだと思っていたが、実は近未来SFだったとは…。白詰草話の本編をものすごくやりたくなってきました。
06年5月22日