~恋文~  
メーカー〔CircusFETISH〕 発売日2004年2月27日


すくみずが忘れられないですよう
まず一言、ガッカリしました

フェティッシュの真髄を啓示してくださった、前回の「すくみず ~フェチ☆になるもん~」が素晴らしき傑作であったのに対し、この終の館は何ら特徴とするものが見られない純愛とエロどっちつかずの半端物。まったく何がCircusFETISHなのやら。笑わせてくれますよ。

せっかく「すくみず」でCircusFETISHの看板が伊達じゃないってことを証明したばかりだというのに、これじゃあ台無し。そりゃあ、すくみずとは性質がまるで違う別物だってことは覚悟していましたけど、それでも「FETISH」として、キラリと光る何かがあると信じていたのになぁ…。所詮CircusはCircusということですか。


と、初っ端から言いたい放題申していますが、そこまで終の館はボロボロな作品だったのかというと、実はそうでもなかったり。というより、これは作品の形式が非常に特殊なので、現段階では評価しにくい作品なのですよね。

終の館は全5巻+本編で構成されています。今回の恋文から、双ツ星、罪と罰、黒い犬、人形と続き、最終的に本編の終の館に繋がるという仕組みで、つまり恋文は物語の序章に過ぎません。したがって、これ単品だけでは終の館が面白いか面白くないかの判断はまだ下せないのですよ。

恋文自体は大した盛り上がりもなく、実に坦々とした物語でした。主要なキャラクターは、傷痍軍人として戦線から帰還した主人公と、そのかかりつけメイドの藤のほぼ2人だけ。

主人公は、軍人としての気難しさを持つ男でありながら、時折「らしくない」言動も見せていたのが結構好感でしたね。ある日、「男に生まれたら軍人になりたかった」と口にする藤に対し、「ならば陸と海どちらがいい?」と主人公は尋ねるのですが、藤は「制服の襟が可愛いから海軍」と答えます。陸軍少尉の主人公はこの返答が面白くなく、子供のように拗ねてしまう……なんて微笑ましい一面も見せていたりしてました。

一方、メイドの藤は典型的なメイドさん。清純&従順の基本メイドアビリティで固定されていたので、それだけ代わり映えのしないキャラであったともいえるのが少々残念。

しかし、「どうしてでございますよう?」「私は女中やメイドでいいんですよう」といった語尾の「よう」が個人的にヒット。普段は畏まった口調ながら、たまにフランクな語り口で喋りかけてくるのが逆に愛らしいね。やっぱり、主従関係より恋人関係の方が私は好きですし。

あと、見かけによらずエッチな性格だったというところも。セックスに対しては割と肯定的でして、段々いやらしくなっていく藤はとても素晴らしい。それもメイドモノにありがちな「調教」による開発ではなく、あくまで若旦那様への愛慕で淫蕩なメイドになっていくのが良いよね。

ただし、いくらエッチな藤が良かったといえど、この作品をエッチシーン目当てで買おうとするのは無謀です。エロで勝負出来る程のレベルではないからねぇ。いや、エロくないことはない、エロいことはエロい作品だったんですけど…。でもそれはいわば文学的なエロであり、エロいというよりは官能的であったというか…。う~ん、なんていえばいいんだろう。

適当な語彙がなくて説明に窮してしまいますが、とにかくエロゲにおけるエロとは趣が違ったのですよ。軟式野球と硬式野球の違いみたいなものでしょうか。どんなに軟式野球が上手でも甲子園には出られないわけで(余計わからない)。

まぁ、悪いことはいいませんからエッチシーンへの期待は捨て去るのが賢明。おま○こをやけに連呼されていましたけど、それだけじゃあ…。全然フェティッシュじゃなかったし。詰まるところ、私の不満はここに収束されていますよ。フェティッシュじゃないのなら、CircusFETISHなんて大層な看板を掲げるなと! ブツブツ…。

実感としては、今回の恋文は官能ノベルとしてそれ以上でもそれ以下でもなかったというのが正直なところ。これといった手応えを感じることの出来ない至ってフツーな作品でした。Circusとしてはこれでもいいのかもしれませんが、CircusFETISHの作品として考えると、期待ハズレも甚だしい。すくみずの残像が強く残っているだけに、この「終の館」のショックは計り知れません。

何より、シリーズモノの一発目として大切だった「次回以降が気になる気持ち」にさせてくれなかったってのは致命的でしょ。この恋文に課せられた最大の役割は「次も買わせる」ことであるはずですから。

ゲーム中、用意されている選択肢及び分岐点はゼロ。ゲーム的な要素は皆無の完全デジタルノベルです。文字を眺めて惰性にクリックするだけで、ゲームに一切介入することが出来ないってのはつまらないですな。ええ、実につまらないです。これならクリックの作業がない分、普通に小説や漫画を読んでいるほうがマシだね。

捻りもなく中里藤(なかざとふじ)。日曜大工が得意のエッチなメイドさん。
04年3月19日