発売日 2002年12月27日
メーカー D.O. 
家族計画
グッズにコンドームを入れておくべきでした
私は元より涙腺がひっじょ~に緩い人間でございますが、中でも「家族愛」という3文字には滅法弱く、その耐久力は1桁程度まで急落してしまう。母さんが夜なべをして手袋編んでくれた~♪という童謡ですら胸中に熱いものが去来してしまうセンシティブな私にとって、この家族計画という作品は、味を知れば抜け出せない麻薬的な作品なのです。


そんな大傑作家族計画に、この度、音声とキャラクターグラフィックが追加された~絆箱~が発売されました。家族計画は既に完成されている作品ではありますが、以前私が書いたレビューでも言及しているように、音声が無いことと、キャラクターグラフィックが不足していたことは、無視することのできない欠点。ここさえ改善してもらえればという気持ちは強かったので、今回の絆箱で本懐を遂げる事となったのは純粋に嬉しい。

ただ、音声を追加といっても、闇雲に音声が宛がわれれば良いというものでもなく、イメージに添ったものでなくてはならないのは当然の話。それも、思い入れは他のゲームとは比べ物にならないほどですので、声優さんの人選には慎重に慎重に慎重を期して欲しいもの。万が一、イメージを大きく損なうような声だったら、絆箱の存在は無価値に等しいのですから。

しかし、結果として、その心配は全くの杞憂でした。青葉の苛烈さ、準の沈着さ、春花の奔放さ、末莉の稚(いとけな)さ、真純の気弱さ、寛の奇怪さ、各々の特徴を見事に掴んで、イメージとの誤差をほとんど感じさせなかった声優さんの声質、演技。一般作品でも活躍する有名声優さんを含めたそうそうたるキャストによる磐石の態勢は、みな名前に恥じぬプロの技を見せてくれました。声優選出に当たって、熟慮されたであろうD.O.のスタッフにはここでお礼を述べさせていただきたいです。


さて、音声と並んだもう一方の追加要素のキャラクターグラフィック。こちらは如何だったのかと申しますと、残念ながら音声と比べると雑さがあったんですよね。追加された立ち絵は、今までのものとはタッチが違っていて統一感を乱しているのが問題で、明らかに「後から追加しました」といった感じが強いものでした。立ち絵で小夜ちゃんの背丈が高すぎたのも変でしたし、音声面と比べると徹底さは感じ難い。

ですが、例え少し不自然さのあるキャラクターグラフィックであっても、ないよりあるほうが断然良い訳で、作品のプラスになっている事は間違いありません。今から家族計画をプレイする人なら、迷わず絆箱を選べばよいでしょう。お値段が高価すぎたり(DVD版9800円、CD版8800円+6800円)、HDを4GBも占有したりしますが、それだけの価値はありまくる作品です。やれば面白いんで、頼むからやってください。

高屋敷家の魅力的過ぎる面々。私の想いをぶつけるように、短評を添えてみました。

 長女・高屋敷青葉
末莉派の私は、その対極に位置する青葉は本来敵であるはずなんですが……彼女のシナリオをプレイしてしまえば、そんな口も叩けなくなってしまいます。契りを結んだ後、青葉の変貌は堪らない

 次女・高屋敷準
エンディングになって、スタッフロールが流れた後のエピローグこそが準シナリオの眼目でしょう。私の弱いところをグサリグサリと責めてくる展開には大感動。ええ、感涙に咽びましたとも。決壊したようにねっ! うわーん。

 三女・高屋敷春花
サンプルボイスで耳にした時にはやや幼すぎると感じたその声も、プレイしていく最中に全く気にならないものとなりました。

春花は家族計画メンバーの中、最も境遇が特殊ですし、ストーリーの核となる人物なのだと思っていたんですが、正直、そのストーリーは今ひとつ…(他の4人に比べて)。行方不明の春花がいとも呆気なく発見されたり、母親への按摩の過程が強引すぎたり、最後に送還されるシーンでのやりとりが普通だったり、山場と思われる場面が軒並み肩透かしでしたからね。あ、別に批判なんかじゃないですよ。ほ、ほんのチョットだけそう思えちゃったかな~ってだけで…(弱気)。

 四女・高屋敷末莉
少女愛好に否定的観念を持っている主人公が、末莉という少女に惑溺(わくでき)していくシナリオの流れは、背筋が凍るほどに巧み。

取分けエッチシーン、末莉との房事は、エロゲで数ある近親相姦を模した行為の中で、最も「イケナイ事をしている」と感じさせられるものではないでしょうか。彼女との行為に至るまでの過程に、散々「末莉=未成熟な少女」というものを意識させられているから、ロリコンという罪の重さが圧し掛かりますし、庇護したいという父性の情から、インセストタブーの概念も強烈。「末莉は性の対象足り得ない」と十重二十重に積み上げてきたブロックを、最後の最後で一気に崩してしまう行為はとてつもないカタルシスです。

エロゲでは、妹と性交することはさも当然といった風潮がありますから、長らくエロゲをやり続けていると、少女愛好や近親相姦が禁じられた背徳行為であると感じにくくなってしまう。そんな状況下で、これほどまでに不道徳感を感じさせてくれた末莉とのエッチシーンは見事としか言いようがありませんよ。

なんか色々堅苦しい論理付けをしてしまいましたが、早い話が末莉萌えという事です。

 母・高屋敷真純
改めてプレイしてみますと……真純さんのストーリーってメチャクチャいいですね。高屋敷家の娘たちと比べて、真純さんはどうも軽んじられているというか、蔑ろにされている向きがありますけど、彼女はただの数合わせキャラクターなんかでは絶対にありませんし、ストーリーだって他より手が抜かれていたりする訳では全然ない。「家族計画」のエンディングとしてはこれが最上かも。

末莉、好きだ~~~~!

「フルボイス版が出たらもう一度買う。」「音声さえあれば100点だった。」以前のレビューで交わした公約は果たしました。数少ない欠点を補完し、もはや隙はどこにも見当たらない真の家族計画。胸を張って100点満点と豪語できる作品です。

最後に注意点を申し上げますが、今回の絆箱による追加はボイスとキャラクターグラフィックのデータだけで、他は何もありません。淡い期待をもっていた新規CGや新規シナリオなどは一切ありませんでした。ここら辺は結構微妙な所で、正直「少しぐらい追加してくれても良かったのでは…」と思えないこともないですね。

どでかいパッケージに、7点を数える様々なグッズが同梱されてはいましたが。でも、他人に送るのは勿体無いから、ポストカードは使えない。落書きしたくないから、メモパッドは使えない。汗で汚せないからフェイスタオルは使えない。万が一にも割ってしまいたくないからマグカップは使えない。末莉をマウスで踏みつけたくないからマウスパッドは使えない(末莉の絵がプリントされてある)。ってな感じで、結局グッズはほとんど使い物になりません。神棚にでも飾るしかないですね。
2003年1月3日