きみはぐ
メーカー〔Front Wing〕 発売日2007年3月23日


エロゲ版ゴールデン・ラズベリー賞
きみのぞ、きみしね、きみきす、きみある、きみぞらと戦後空前のきみブームの流れで発売を迎えたきみはぐ。この作品に対する私の期待値は、尋常ならざるほどに高いものでした!

マイフェイバリット絵師であるINOさんが原画を務めているという点が何よりですが、女の娘にアプローチする勇気を持てない主人公が、恋愛同好会を経て自信を付けていくというストーリーにも強く心惹かれましたのでね~! 自分から行動しないパッシブ主人公は大嫌いですけど、小心な自分から脱却し、積極的になって彼女を作ろうと頑張る過程は逆にものすごく好きなんですよ。ありったけの勇気を振り絞り、好きな女の娘に自分の気持ちを告白する。そんな甘酸っぱいシーンを想像するだけでドキドキじゃないですか! これは今年一番のエロゲになりそうな予感!!


……時は流れ、2007年大晦日。

ショックのあまり、これまで“なかったこと”として意識的に存在を忘れていたきみはぐですが、やはり今年中にレビューは片付けておかなくちゃなぁと。あれだけ発売前に「きみはぐ」を喧伝していた手前、このまま無視を決め込んでしまうのも無責任ですしねぇ。本当は思い返したくもない作品ですけど、今年の汚れは今年の内にってことで大掃除レビューをすることにしますよ。


期待と希望に満ち溢れていた私を、一転して失望のどん底に叩き落としてくれたのは、まず第一にシナリオのひどさ。ホントつまんないんだ。ベタベタな萌えゲー、在り来たりな萌えゲー、逆から読んでも萌えゲーって感じで、極めて程度の低い養殖物の萌えゲーシナリオが恥ずかしげもなく展開されている。こちらが何をするまでもなく、鎧袖一触の勢いで向こうが勝手に惚れてきて、好きになった経緯なんかろくすっぽ描かれちゃいないんだもの。根底からして私の望んでいた作品とは別物だったわけ。

恋愛同好会を始めとする本作ならではの特徴が、な~んも活かされちゃいなかったのはどうなってんの? 最初のインパクトはすごかった。なにがって、サブキャラたちの異常な存在感。変態趣味丸出しの友人野沢正や、胡散臭い似非外国人のジェット先生、そして、男子寮長をペンギンが務めていて、女子寮長はシロクマ。すごいセンスだよね。面白いか面白くないかは横に置いておいても、「並のエロゲじゃないぜ!」的な匂いをぷんぷん漂わせているじゃない。

けど、すっごい普通。恋愛相談するシロクマが出てくるのに普通。弄り甲斐ありそうなサブキャラは全部放りっぱなしで、黙々と普通の萌えゲーやっているんだからすごいわ。ジェット先生なんてまさしく出オチ状態で、完全に空気。奇人変人のサブキャラたちは場違い以外の何者でもなく、“滑っている”キャラとして作り手自らに黙殺されている。彼らがこの世に生を受けた意味って何だったんだろうね…。

主人公の性格もよくわかんないや。一人称は「俺」なのに、モノローグになると「僕」になる不思議。外弁慶? 臆病で小心者かと思ったら、やけにぶっきらぼうで横柄だったり、性格がルートによって全然一致しない。結局、これって複数シナリオライターの問題。「めがちゅ!」でもまったく同じことを言ったけど、各々が勝手に個人プレーに走って意思疎通が出来ていないんだよ。複数シナリオライター体制はルートごとの特色が出やすいメリットもあるけど、これは単にバラバラでディシプリンが取れていないだけ。主人公の性格はおろか、ヒロインの性格まで違うようでは、完全にパラレルワールドじゃないか。もっと緊密に連携してよ。

原画にINOさんを起用していながら、エロ薄というのも犯罪的。初エッチを迎え、「さぁ、お楽しみはこれからだ!」ってところで話が終わりやがるんで、もうどうしようもない。香澄と南のエッチシーンはたったの1個だけだよ? 信じられないね。さすがにエロが1個では拙いと思ったのか、オマケで追加補填分が用意されていたけど、それも知れたもの。香澄なんて、結局フェラすらないんだから…。バーカバーカ!


はい、大掃除レビュー終わり! こんな感じで、呆れるほどにお粗末な作品だったってことです。なまじ期待値が高かっただけに、その落差は激しくヤバフォでした(ローカルネタ)。私が“なかったこと”として忘却の彼方へ押し遣っていた心中を、どうぞお察しくださいませ。

来年はこんなラジーな作品が出ないことを祈りますね~。それでは、皆様、良いお年を!

ゼロの使い魔で有名なヤマグチノボルさんも関わっていましたが、内容がこの有様じゃファンの人でも買う価値はないでしょう。

美恋先輩だけはそれなり。独占欲の嫉妬も交えつつ、ラブラブイチャイチャバカップルな展開なのは良かった。エロも計6回と他と比べたら頑張っています(内容は頑張っていませんが)。

ただ、恋の指南役としての立場でありながら、本人がまったく恋愛した経験なしの生娘ってどうなのよ。男女逆にして考えれば、童貞なのに上から目線で恋愛論を語るキャラってことですからねぇ。そんな人の薫陶を受けるのはご遠慮したい。
2007年12月31日