発売日 2001年11月2日
メーカー D.O. 
家族計画
最上のトラジコメディー
「家族計画」とは…! 縁故も何もない、全くの赤の他人同士が、のっぴきならないお互いの事情を相互に補完し合い、世間の目からの隠れ蓑として偽装家族形態を演じる…。曰く壮大な無茶。避妊具との関係は別にありません。

オープニングムービーまでのプロローグで、家族計画に加担する各々キャラクターの順次紹介、根城となるホームの確保までの経緯(いきさつ)が描かれるわけですが、ハッキリ言ってここの部分だけでもプレイして頂ければ、このゲームが面白くない訳が無いと確信できます。もう、どう転ぼうがツマラナイ作品になってしまうはずがない。その必然性が見つからない。これは既に設定の部分、いわゆるキャラ立ちの部分で完成されているためです。

なんと言うか……この時点で、キャラクター全員に一目惚れしてしまうような感じなんですよね。男性キャラを含めた、総てのキャラの独特で強烈な個性に惹かれてしまう

普通、エロゲの攻略の基本は、狙ったキャラだけに愛を注いで、攻略に邪魔な奴は拒絶していく訳ですけど、このゲームに限ってはそれがムリでした。少なくとも、私には拒絶する事が出来なかった。だって、全員に感情移入してしまっている状態なワケなんですから、いくら攻略の障害となり得るとは言え、彼女たちに冷たい言葉を言い放つなんて事は不可能なんですよ。ですから、中盤まではず~~~っと八方美人で話を進めていたぐらいです。


シナリオ序盤は、家族計画メンバーによる和気藹々としたコメディ色豊かなお話。しかし、後半に入れば一転シリアスな展開。テーマは家族愛の美しさのみならず、家族内虐待や、閉鎖された核家族の問題まで、つぶさに描かれてました。

シナリオライターは「加奈~いもうと~」で名を広めた山田一さんですが、この方の圧倒的語彙(ごい)に彩られるテキストにはただただ感嘆するばかり。しかも、これほどまでに理知的なテキストでありながら堅苦しさを微塵も感じさせない。スゴイ! 多分、ト書きを極力省いて、キャラクターの会話で話を進めていっている結果でしょうね。

前述の通り「加奈~いもうと~」を手掛けていた方なんで、人を泣かせるシナリオの上手さは了承済み。しかし、今回驚かされたのは、真面目な部分だけでなく、諧謔(かいぎゃく)的なテキストも見事に表現されていたという点。ゲームの序盤のホームコメディのような掛け合い漫才は、ホントに楽しくて何度も何度も笑わせてくれます。家長役の寛の力が大きいと思うんですけど、家族計画の日々がメチャクチャ面白い。これは予想外でした。

つまり、私は山田さんが人を笑わせる文章を書ける人とは思っていなかった訳です。失礼ながら。こういった方面でも一流であるという事は、本当に才能が豊かであるということでしょうね。人を笑わせるというスキルを持っている人は天才ですから。この「笑わせてくれる」事が加奈との最たる相違点であると思います。

しかし、ゲームの雰囲気からして心の底から笑えるものでなかったことが残念。だって、どれだけ楽しくても、この家族計画がいつまでも続く訳ではないと痛いほどにわかっているのですから。時折影を差す事件(イベント)も、この安穏とした日々が悠久なものでない事を示唆している。氷上で繰り広げられているコメディみたいなものと例えれば良いのでしょうか。主人公自身、ことあるごとに「いつかこの互助関係はバラバラになる」と、自らに言い聞かすかのように繰り返してますし、事実その言に一片の誤りもない。束の間の安息が、根本的な問題解決に向かっていかないという実情が、総てを物語っています。

擬似的家族生活があまりに心地好いがゆえに、こちら(プレイヤー)はその計画の終焉を恐れる。結果、心の底から笑う事が出来ない…。このジレンマ。大変です。


とにかく総合的なクォリティたるや群を抜いてます。これほどの奇跡は滅多に目に出来るものではありませんよ。まだ未プレイの方は騙されたと思って今すぐ買いに行きましょう。お店にあんまり並んでないですけど、是非、探し出して購入して下さい。

原画担当は福永ユミさん。私はこの人の手掛けたゲームで存じていたのが「SPARK!」しかありませんでしたので、全く期待はしておりませんでした。しかし、いざ始めてみると……か、かわゆい

家族計画プレイ後に福永さんのHPへ飛んでいって知ったんですけど、「MI・DA・RA」の原画家さんでもあったんですね。ならば納得(それでも絵のタッチはかなり変わっている)。この素晴らしいグラフィックで、ストーリーを一層映えさせてくれたことに感謝したいです。

……でも、ちょーーっと、CG枚数が足りないかな? 劉家輝(らう・かーふぇい)の妹とか、かなりストーリーに絡んでいるキャラなのに、グラフィックが存在してないのはなんとも…。それに背景もさすがに少なすぎたと思うよー?

高屋敷(河原)末莉でしょう。無茶苦茶可愛いです。言いたくないけど萌え~~です。

彼女は家族の枠組みに憧憬するホームレス少女。高屋敷家では一番年少の四女になります。いわゆる妹全開のポジション

私は、あざとく幼児言葉を駆使したり、勝手にお兄ちゃんと呼んできたり、何もないところで転んだりするようなお子様は好きではないのですけど、この末莉に限っては総て不問に付してOK! ゲーム中に初潮を迎えるような中学生(多分)でもOK! ロリコンの十字架を背負わされることへの躊躇(ためら)いは微塵もありません!

だいたい、彼女のシナリオはそのまま「ロリコンへの手引き」になってますからね。非ロリコンの主人公が少女の蜜にやられていく様はとっても微笑ましかった(羨ましかったも同意)。「俺はロリコンじゃねぇ!」と強がっている御仁でも、一度このシナリオを体験してしまえばあら不思議。一人前のロリコンに染まっている事でしょう。

今回はほとんど貶してませんね…。完全に賛評です。ただ、ボイスがないという問題は抱えています。加奈はノベルタイプだったのでボイスは別になくてもいいかな~と思っていましたけど、さすがにこの家族計画には付けて欲しかった。もしフルボイスでしたら100点でしたよ。

それにしても2001年のD.O.作品には個人的ヒットなのが多かったです。最近気になるメーカーの上にも踊り出てきましたし(私的な)。あたりはずれ多いのは難ですけど。
2002年3月14日