発売日 2002年12月27日
メーカー Overflow 
妹でいこう!
妹はもうお腹いっぱいです
妹というものは、身内の暖かさとか、近しい異性として、皆から憧憬を受けている対象ではないのですか? ところが、妹でいこう!に出てくる妹たちは、宇宙人、時代超越者、最終兵器といった、「何者やねん、お前ら」的な遥かに縁遠い存在。こんな破天荒なやつらが、急に自分はお前の妹だと言い出しても、受け入れるのに抵抗があります。

さりとて妹に興味のない私の意見ではありますが、ここまで突飛な境遇の彼女らは妹キャラとして失格の部類でしょう。義理であったとしても、如何に「自分の妹」と錯覚させるのが妹キャラの本分であるはずですし、得体の知れない彼女たちとの間に感じた溝は、設定として上手くない。彼女たちは妹ではなく、ただの居候といった身分が分相応だったのではないかと思われます。

ただ、妹として失格の烙印が押されていたとしても、決して彼女たちがつまらないキャラクターだったという訳ではない。何だかんだいっても、個性的な彼女たちのドタバタ劇は見ていて微笑ましかったですし、日常の会話、やりとりの面白さにはつい相好を崩してしまう。妹のみならず、脇を固める人物たちも皆魅力が溢れていて、コメディとしては上出来。妹ゲーという事に執着さえしなければ、そのスラップスティックの楽しさが充分伝わってきました。

でも、すると今度は、何故そのように良質な「おバカなシナリオ」を最後まで貫徹しなかったのかという、また別の不満も表出してしまいます。だって、この妹でいこう!のおバカテイスト溢れる楽しいかけあいは、ほとんど中盤までであって、後半は様相がガラリと変わったシリアスなお話になってしまうんですから…。

せっかく良い雰囲気が保たれていたコメディを、帳尻合わせのように感動ゲームにしようとする意図が私にはわからない。よせばいいのに変にしおらしい話にして、感動的なストーリーを装うのが、果たしてこの作品で正解だったのでしょうか。

そもそも、序盤にそれこそ四次元ポケットから出てきたような、洗脳光線銃なんて代物を使ってしまっているのに、最後はそんな便利な道具も忘れて、強引に真面目ぶった恋愛話にしてしまおうとするのがムリっぽいというか、おかしいんですよね。人の気持ちを自分の好き勝手に操作してしまえる道具なんてのが出てきている時点で、もう後に惚れた腫れたの恋愛劇は成立しないでしょう。こんな反則のアイテムを保持しておきながら、真面目な恋愛を語られてもバカらしいです。

真面目な恋愛ドラマがやりたかったのなら、こんな洗脳光線銃という道具を最初に出すべきではなかったし、洗脳光線銃をどうしても使いたかったなら、ドラえもんみたいなほのぼのコメディで突き通すべきだった。中途半端に両者を混合してしまうから、妹でいこう!は齟齬(そご)を感じる話になってしまう。一度、破綻させた世界で、逆に真面目な展開へ向かわせる無謀な真似は止めて欲しかったですよ。


とりあえずこんな感じで、私としてはあまり印象の宜しい作品ではございませんでした。まぁ、平均点よりは上である事は確実ですので、本当はここまで批難するまでには当たらない作品なんでしょうが、何分、期待外れというガッカリ感が加味されちゃってますから、批判が気持ち強めに出てしまっています。器が大きいのに中身が普通だと、やっぱり一層の不満が残ってしまうもの。あのOverflowさんが作った作品としては、圧倒的に食い足りません。

というより、なんかこの妹でいこう!はOverflowらしからぬ作品だったような…。Overflowさんって、普通のエロゲのお約束から敢えて逸れた路線、優秀だけど優等生じゃない作品を作っている気がしていたんですが。この妹でいこう!は至っておりこうさんな作品。つまり、普通のエロゲの黄金パターンに則った、普通のエロゲでした。面白い面白くないというより、普通すぎて終わったあと記憶に残らないのです。

微に入り細を穿(うが)ったシステム。考え得る必要な機能は総て揃っています。最低限のものだけでなく、登場人物一人一人のセリフのフォントや色の変更、アンダーヘアの有無を切り替え等、必要以上のサービスも嬉しい限りですね。目パチ口パク、エフェクトアニメもすごく効果的でした。

中でも、最もインパクトが大きかったのが「可変速再生表示機能」。これは、劇中キャラクターの音声を自分の思うがままに早口に出来るというとても斬新なシステムで、現在特許申請中であるというオーバフローさん独自のアイディアです。

キャラクターを強引に早口にさせるシステムなんて、一見、意味不明で不必要なシステムのように思えますが、本当に意味不明で不必要。まぁ、あまりのくだらなさにチョットだけ笑わせてもらいましたが。

女友達の芳原郁子です。彼女のエンドだけはチョット感銘を受けました。ああ、こんな終わり方もあるんだな、と。このシナリオはOverflowさんのセンスが感じられるものでしたね。他と比べると、オマケみたいなシナリオではありますけど。

発売後、即行でバグを修正するパッチが公開されたんですが、この修正パッチ、容量はなんと驚きの40MB強。これをダウンロードせよとの御触れは、ナローバンド利用者に対してあまり厳しい仕打ち。でも、これを落として修正しないと、クリアができないキャラがいるのだそう。…それって俗に言う不良品というものなのでは?
2003年1月14日