8665^2 ハルルコのジジョウ
メーカー〔RUNE〕 発売日2007年9月28日


ビミョー過ぎる非日常系学園ストーリー!
「なにこれ?」ってのが始める前の第一印象。あらすじを読んでも話の展開がまるで見えてこず、キャラクターは異彩を放つ変わり種ばかり。ジャンルもニオイつき・美少女観測ADVとこれまた意味不明。シナリオ中心なのか、エロ中心なのか、それすらも伝わってこない不気味な作品でした。でも、そんな「なにこれ?」が興味を掻き立てる大きな要因になっていたことは紛れもない事実です。

ゲームが始まると、いきなり廊下に俯せになって気を失っている少女の姿を発見。主人公の神代昭郎(くましろあきお)は介抱してあげるのかと思いきや、おもむろに倒れている彼女のスカートの中に頭を突っ込み、下着の匂いを嗅ぐというA級変態行為に及びます。この時点では、8665^2のことをフェチゲーだと思っていました。

ところが、それは統間(すべるま)ハルルコの得物を誘き寄せる奸計であり、昭郎君はすっかり罠に嵌ってしまった格好。弱味を握られたことで、彼女の立ち上げるクラブへの入部を強引に決められてしまう。その日から他の部員集めが始まり、霊感が強く予知能力を持つ少女、頭がモニターになっているロボット娘、本物のネコミミと尻尾を持つ猫娘、太めの体型を気にしている幼馴染と、校内を奔走して遍く変わり者を勧誘することに。

創設されたクラブの名はハルルコ研究部、略してSOS団、もといハル研。ハルルコ本人の観察・研究を主目的としたクラブ活動で、「私を観察しなさい!」と突然宣うハルルコに部員のみんなは困惑。プレイヤーである私も困惑。彼女を観察する意味が全然わからないですし、その真意が何かもまったく酌み取れない。ここに至っても「なにこれ?」は解消されないんですね。しかし、そんな予測の付かない荒唐無稽なハルルコの行動は見ていて面白く、彼女の横暴に振り回されてしまうこと自体が楽しいと思えてくる。どうやら、8665^2はフェチゲーではなく、スラップスティックなコメディだったようです。

でも、最初こそ全裸で身体測定を強要したりやりたい放題だったハルルコも、中盤以降はすっかり落ち着いてしまいまして…。ハル研は何をするでもない単なる雑談クラブに成り下がります。もっとハルルコにメチャクチャに掻き回される日常を期待していたのに、そうじゃないんですねぇ。

代わりに主人公が部の中心的存在に台頭。桜南美(さくらなみ)のシナリオでは、ハルルコののやり過ぎを諫めたり、南美の抱える悩みを聞いて励ましては、男らしく自分から愛の告白をするカッコイイ一面も。見ず知らずの少女のスカートに頭を突っ込んで匂いを嗅いでいたド変態とは、同一人物に思えない格好良さでした。

特定のヒロインと恋人関係が築かれてからは個別シナリオに推移して、デートしたりエッチしたりの甘い日々を送るようになります。それは嬉しいのですが、同時に今まで話の中心だった部活動が用をなさないものとなり、ハル研は以前のような賑わいを見せなくなってしまう。恋人出来たらハル研はもう用なし? 結局、スラップスティックなコメディでもなく、普通の学園純愛モノだったってことなんでしょうか?

が、その予想すら見事に大ハズレ。ここからストーリーは常識を一足で飛び越える思わぬ方向へと向かい、人知及ばぬデウス・エクス・マキナ(超展開)を見せ始める! 定められた人生を送るため生徒会に監視されていたとか、身体を宇宙船に改造して地球を飛び出すとか、溶けた世界の何処とも知れない空間で果てしのないセックスをするとか、完全にシナリオは崩壊路。もはや真面目に聞いている方がバカらしく思えるほど、理解不能な結末が待っていました!!

これだけ支離滅裂なシナリオもないですよ! 話がコロコロ転調しすぎて、何がやりたいのか、何を伝えたいのかがサッパリわかりません。起承転結を別々の人間が担当して、それを強引に一つにまとめたんじゃないかと思えるほどの統一感のなさ。そういうものを作ったと言われればそれまでですが、せめて結だけでもビシッと決めてカタチを整えてもらわなきゃ! 整合性のないバラバラな話をどうやって収斂(しゅうれん)させるのか、ライターさんの技量に注目していたのに、そこをデウス・エクス・マキナで投げ出されては話になりませんって。

結局、最後の最後まで「なにこれ?」のエロゲ。始めの「なにこれ?」はまだ好意的なニュアンスがありましたが、今の私の「なにこれ?」は侮蔑的なニュアンスです。ホント、なんなんでしょうね、これ?

何気にこの作品で一番評価したいのはシステム面。ディスプレイの解像度を変えずにフルスクリーンが可能という画期的(?)なシステムに私は感動しました!

普通、フルスクリーンモードにする時って画面切り替えのタイムロスがあるじゃないですか? ところが、この8665^2はディスプレイの解像度を変えずにソフト側で画面を伸縮しているので、スムーズな拡大縮小が可能なのです。同様にウィンドウモードでは、ウィンドウの大きさを自由にリサイズすることもOK。320×240にしてワンセグ気分を味わえたりも出来ちゃいます。

地味ですけど、これはものすごくいい機能ですよ~。特に私はプレイと同時進行でレビューを書いていますから、頻繁にタスクを切り替える必要がある。8665^2はこの切り替えの煩わしさがゼロなので大変ありがたかったですね。レビューを書く人にとても優しい仕様だといえます。なのに、ボロカスの評価でごめんね!

ヒロインに関してはそれなりに良かったと思います。とにかく個性という面では何処にも負けないぐらいですから。頭がモニターのとろんはインパクトありすぎでしょう。まさかこのままの姿でセックスまでしてしまうとは…。極めてシュールでデンジャラスなエッチシーンでした。

反面、メインであるハルルコは、中盤以降、当初の元気の良さがなくなってしまうのが痛かった。そこらの普通の少女のようにデレ始めてしまうのも、逆に失望を感じてしまいましたね。こういったハルヒタイプの唯我独尊系キャラは、普通の女の娘に見えたら終わりだと私は思うんですが…。でも、世間一般的な感覚だと、この手のキャラが普通の女の娘っぽい一面を見せる方が萌えるのでしょうか?

エロは全然見所なし。今宵も召しませの赤丸さんが原画なので、そっち方面の期待も高かったんですが、ちっともエロくなかったです。ちなみに「匂い」が好きな主人公でありながら、エッチシーンでその特性はほとんど活かされていません。匂いフェチの人、残念でした。

あと、公園で青姦しているところを友達に目撃されて、その友達に怒りを喚き散らしていましたけど、筋違いも甚だしいでしょ。見られるのが嫌なら大人しく家帰ってやってください。

涼宮ハルヒを模しているだけあって、統間ハルルコはとても魅力的。しかし、似せているからこそ、ハルヒに比べてダメな部分も浮き彫りになっています。ぶっちゃけ、この作品はハルルコのための作品なんですから、もっと彼女を引き立ててもらいたかった。灰汁の強いヒロインが揃っているとはいえ、その中に埋没するようでは困る。「ハルルコとその他」ぐらいの力関係を見せてくれなきゃ。
2007年11月4日