はぴねす!
 
メーカー〔ういんどみる〕 発売日2005年10月21日


恋も戦いもノーリスクで他人任せ!
いわゆる萌えゲーというジャンル。この手のエロゲが先天的に肌に合わない私にとって、「はぴねす!」は本来手に取るような作品ではないと重々承知しております。……が、私もたまには世間に迎合してみたい気持ちがありましてね。みんながチヤホヤしている作品がどんなものなのか覗いてみたい。あわよくば、私もその魅力に触れてみたい……始めたきっかけはそんな軽い気持ちからなんです。


でも無理でした。間違っていました。ごめんなさい。ホントごめんなさい。私のような下賎な者が「はぴねす!」の良さなど到底理解出来ようはずもなかったのです。ういんどみるのファンの皆さんには大変申し訳ないのですけれど、もう何処を突っついても不満しか出てきません。何をやってもくだらないとしか思えません。この作品の価値が全然見出せません…。

とりあえず、私はヒロインが全員好きになれないです。原画こ~ちゃさんのキャッチーな絵柄によって、見た目的には非常に可愛らしい娘さんが揃っているのですが、どれもこれも新鮮味がないお約束の塊みたいなのばかり。清純派王道ヒロインに、如何にもツンデりそうなお嬢さんに、おっとりした不思議系巨乳少女に、兄を一途に慕う健気な義妹だなんて、もはや1パックいくらのレベルでしょう。最初の数分プレイするだけで、全員のシナリオ展開が脳裏にありありと浮かび上がってきましたもの(そして的中した)。

更に気に障るのが、プレイヤーへの過剰な媚び方。話し方から立ち絵のポーズから、「萌えてもらうため」の所作が度を過ぎていてげんなりです。こういうのはさりげなく見せるから効果覿面なのであって、あからさまにやられると全部計算でやっているとしか思えません(実際製作者の計算ですけど)。普通にしていても充分可愛らしさはアピール出来るはずなんですから、無理に媚びなくてもいいと思うんですがねぇ…。萌えゲーは「キャラが媚びている」と感じてしまった時点でゲームオーバーでしょう。

ヒロイン以外のキャラクターも総じてありきたり。男友達の高溝八輔(通称ハチ)は、ハイテンションに場を騒ぎ立てては主人公から冷めたツッコミを喰らういつもの道化役だし、主人公の小日向雄真君はゴール前でボールが来るのをじーっと突っ立って待っているような、相変わらずの受身恋愛主義者。誰かにパスされるか、偶然ボールが足元に転がってくるまで梃子でも動こうとしません。自らボールを奪いにいく気概はゼロ。それでも、女の娘はそんな主人公に対して優しいパスをくれるし、ラッキーなこぼれ球が都合よく足元に転がってきたりするもんだから、主人公は何の労もなくシュートを決め、最後に美味しいところを持っていく。実に羨ましい話でありますが、見ている私としては「何だかなぁー」って釈然としませんよ。

会話もデートも告白もエッチも「お膳立て」がないと、な~~んにも出来ないんですもの。好きだから話したい、好きだから付き合いたい、好きだから抱きたい、といった主人公自身の衝動がない。女の娘から1から10まで手引きしてもらった後に、「本当に……いいのか……?」と陳腐なセリフで受け入れるだけ。性格的にシャイで奥手というならそれも致し方ないところですが、彼は普段ぶっきらぼうな口調で悪態を吐きながら偉そうに振舞っているくせに、こういう時だけ意気地がないから情けないのよねー。

自分からデートを誘うにしても、親や友達と行く予定だったのがドタキャンされたことで、「よかったらどう?」みたいな…。常に退路を確保した徹底してリスクを負わない恋愛。「ホントにその娘が好きなの?」って疑問に思うよ。私も毎回同じような愚痴を繰り返したくないんですが、毎回同じような展開だからホント嫌になっちゃう。

そんなだから、ストーリーも実に見え透いたもの。何処までも筋書き通りな予定調和。陳腐なやり取りに終始する日常会話。総てが既視感。“はぴねす!ならでは”と呼べるものが何も見当たらない。「魔法」という概念が世界観に多少スパイスを効かせていたにも関わらず、その設定が普段ほとんど活用されていない不思議。この魔法が活躍するのは終盤のバトルシーンだけ。しかも、このバトルの必然性がまったく理解出来ない。何でいきなり戦っているの? 誰が戦いなんて求めているの? 疑問だけが置いてけぼり。「Fateが売れてるからウチもバトルやってみよう」といったような、極めて安易、且つ軽率な発想による産物だとしか思えないんですけど。

しかもこのバトルで笑えるのが、当の主人公は部外者だったってところですね~。目の前でヒロインとその敵が必死で戦っているのに対して、彼は完全に蚊帳の外。単なる傍観者でありながら、「くっ……! やっぱりダメか」「お、おい……嘘だろ!?」と、気分だけは自分も一緒に戦っているつもりになっていたのが一層哀れでした…。女の娘は最後、「貴方がいたから勝てた」的な優しいフォローをしてくれたけど、そんな気休めは余計惨めな気分にさせるだけだよっ! いっそのこと「危ないから君は先に帰っていれば良かったのに」ぐらいのセリフを吐き捨てて!


こんな文句ばっかりの作品でも、なんとか私が最後までプレイする気力を振り絞れたのは、他ならぬ渡良瀬準のおかげ。見た目は完全に女の娘なのに、実はオカマちゃんという彼女(彼)の存在が、私にとって、このゲーム唯一の娯楽であったと言っていいですよ。

だって、誰がどう考えたって、この作品の中で一番可愛いのは準でしょう~。こんなの反則。はぴねす!は先述の通り、プレイヤーに媚び媚びの嫌らしさがあるのですが、彼女(彼)の場合だと、そのあざとい所作や、主人公への積極的な好意も、「オカマだから」という理由で綺麗に嫌味が消えているんです。これは女を演じるオカマならでは特権。だから私も、彼女(彼)だけは素直に好きになれたというわけ。いえ、別にオカマが好きというわけではなくて…。

だがしかし! そんな最も愛しかった渡良瀬準ちゃんは、なんと攻略対象キャラではないという悲劇的事実!

もう信じられないよ…。彼女(彼)のシナリオだけが最後に残された僅かな光明であったというのに、まさかまさかでそれがないなんて…! 魔法の力で準が正真正銘の女性となり、主人公と結ばれてハッピーエンドになるってオチじゃなかったの!?

当たって欲しくない予測は全部的中したくせに、当たって欲しい予測は見事に外れる。これが私とういんどみる作品の相性の悪さの証なんでしょうねぇ。要するにはぴねす!が不出来な作品だったという意味ではなく、単に私との相性が絶望的に良くないということ。もしくは私の目が曇っていて、はぴねす!の楽しさが見えていないってことですよ。


ま、一応最後に緩いフォローを入れて置きましたが、私にとってこの作品がサッパリだった事実は変わらない。プレイしている最中ちっとも面白くなかったし、終わった今も報われない徒労感が残っただけ。全部ダメダメでした。

早い話、もう私は萌えゲーを一切やるなってことですかね。それも寂しいな…。

身体で結ばれてハイ終了ではなく、そこから恋人関係が維持されたまま、話がもう少し続いていくところは嬉しかったです。特に春姫とカップルになった後のラブラブっぷりは素晴らしい。

本作品の発売前に、それぞれのヒロインがキャラクターソングとミニドラマを収録したCDを出しているんですよねぇ…。こうやって最初からメディアミックスを意識した作品は碌なのがない印象ですけど。

ありがちな温いシナリオにありがちな温いエッチシーンかと思いきや、エッチの方はとても頑張っていたのが驚き。それぞれにエッチシーンは3回ずつ用意され、しかも1回のエッチで連戦するケースがほとんど。2回戦に突入してもかかった汁が残ったままになっているこだわりは偉いね。しかも、汁描写がやけに上手。

春姫とのエッチでは彼女の豊かな胸を入念に愛でておりましたし、エッチシーンはなかなかのレベルでしたよ。そういや、私が以前にプレイした結い橋も結構エロ良かったっけ。純愛ゲームでありつつ、エロも手抜きしないういんどみるさんの姿勢はとても好感です。

ああ、でも惜しいね。これで私がちゃんとヒロインに萌えられていたら、一転して絶賛していた作品だったろうに。萌えないヒロインと濃厚なエロがあろうと、嬉しさは半減の半減なので。

顔も声も心も性格もスタイルも全部女の娘だった渡良瀬準。つくづく、彼女(彼)のシナリオが存在しなかったことが悔やまれます。まさか後でファンディスクで一儲けするため、敢えてシナリオを盛り込まなかったとかじゃないでしょうね?
05年11月22日