Night Demon
-夢鬼-  
メーカー〔AliceSoft〕 発売日2003年8月29日


気になる朱華君を密着取材
AliceSoft×CARNELIANという超一流同士の夢のセッションが実現。ならば、もう傑作は約束されているようなものですし、よもや駄作が生まれようはずはない。

そう踏んで私は購入したのですが、実際には何だかとっても微妙な感じ。いや、微妙って言うか、ぶっちゃけていってしまえば……面白くなかったんだよなぁ。

ツヅキや夢鬼(ユメガミ)やらファンタジーな存在に加え、「夢の世界」などやたらと私が苦手とする要素が多かったというのは個人的な好き嫌いですが、それらの要素を差っ引いたとしても、やっぱり私はこれを「面白い作品」だとは口にしないでしょう。

だって、退屈ですもん。“起きる→移動→仕事”の規則正しいサイクルで回り、取り分け意味もない雑談が繰り返される毎日は、とにかく面白みに欠けています。このゲームに費やされている大部分の時間はまさにこの雑談。ストーリーへ特別関係しない、その場その場の何気ない会話のやり取りでそのまま1日が事も無げに終わってしまうのですから、そりゃ退屈感は否応なく襲ってきますよ。

濡烏(ぬれがらす)の存在が物語にささやかな波風を立たせていたものの、この程度の微風だけでは到底ゲームの推進力にはなりえない。単調なリズムを狂わせてくれるまでには到っていなかったのです。

何ゆえ、こんなに淡々としていて盛り上がらない物語であるのか? 今回ばかりは、Aliceさんの意図がま~ったく読めないですね。このまったりとした雰囲気を楽しめってことなの? 何気ない雑談の中から機微を感じ取れってことなの? それにしたって、ここまで起伏が乏しい物語だと厳しいよ。

キャラクターの扱いに関しても、Aliceさんの意図が見えてきません。メインヒロインましろ以外のキャラの扱いはぞんざいそのものでして、彼女以外のキャラは完全に脇役扱い。CARNELIANさんの貢献も相俟って、キャラクターはみんな魅力一杯だったのに、悲しいかな作り手に愛されていなかった(ように見受けられる)ため、これといった見せ場(イベント)が用意されずに存在が希薄でした…。

反面、目立ちまくっているのは主人公の朱華。正直、一通りクリアした今、私の中で印象に残っていることはといえば、この朱華のことだけだったり。

彼はとにかくカッコイイ人で、それはルックスやスタイルなどの見た目的な部分でもそうだし、気だるげな振る舞いもそう。ウィットに富んだユーモアを話せて、女性の扱いも上手く、バーテンの仕事も器用にこなせる。タバコを嗜む姿、アコーディオンを演奏する姿はとても絵になるし、とにかく彼には「格好良い要素」が盛りだくさん。このゲームをプレイしていれば、望む望まざるに関係なく、彼の格好良さに惹かれてしまうことになるでしょう。私も例外ではなく、すっかり彼に取り込まれてしまいましたもの。

でもまぁ、当たり前の話ですけど、私が主人公に惚れてもしょうがないんですわね…。そりゃ、主人公が好きになれるかなれないかは大事なことですが、主人公そのものに恋してしまうわけにはイカンのです。やっぱり、エロゲの肝はヒロインであるのですから、女性キャラを中心にして考えてもらわないと。ヒロインを置いてけぼりにするぐらい主人公一人が目立ってしまうのはハッキリいって迷惑なんですよ。

よって、この際「朱華の魅力」は評価から除外。では残ったものは何かというと、退屈なストーリーに存在が希薄な女性キャラという有様ですから、結局紡ぎ出される答えとしては、Night Demonは取るに足らない駄作だったって結論に至ってしまいます。

超一流同士を掛け合わせたところで、必ずしも結果が好転するわけではないという教訓。傑作って難しいな。

メインヒロインのましろはヒロインらしからぬ地味さ。瑠紫琉も見せ場は後半だけでしたし、このゲームは女性キャラの印象は極めて乏しかった。

いったん各キャラのエンド見た後、次からその人物のサイドストーリーを付加するアイディアはなかなかに素晴らしいものがありましたけど、こういうことに労力を割けるなら、もっと本線のストーリーに肉付けしてやるべきだったという思いも同時に生まれてきます。イベントが2つ3つしかないような素っ気ない各キャラの個別ストーリーはガッカリ。物語の途中で勝手にエンディングを迎えてしまうのも白けてしまいましたよ。

Aliceさんって、前々からこういうところには無頓着ですよね。1人のキャラを掘り下げることに興味を持たないっていうか、単なる脇役として割り切ってしまっているというか。簡単に言えば愛着がない。せっかくキャラクターの魅力はあるんですから、もう少し彼女らを労わってあげてくださいよ。

主人公朱華は、女性に不自由しないほどモテてるため、女性に“冷たく出来る”男であり、女性関係に対して大変ドライな考えの持ち主。まぁ、彼が普通の恋愛をできないのはある過去の出来事が関係しているんですけど、とりあえずそんな事情はどうあれ、彼が女性に対して冷たくなれるのは確かなことです。

だから、純な気持ちで接してくる日陽子や莉々子ちゃんなんかが、すごく可愛そうに思えてきてしまったりするんですよね。特に日陽子は不憫。ヤリ友であり続ける意味と彼女の本心に、ちゃんと朱華は気付いているくせに、それでも彼女を冷たくあしらえてしまえる。こういうところは、やっぱり見ていてムカッとしてしまいました

しかし、こんな風に彼に対して私がいろいろな所感を持ててしまうというのはつまり、それだけ朱華には魅力があったってことを意味しているんですが。憎らしいほど格好良い男だったとでも申しましょうか。いつか女性に刺されるとは真に道理で。

それにしても、Aliceさんは本当に男性主人公の作り方が上手いですな~。

「ぴょこ」こと小田巻日陽子がお気に入り。朱華の気持ちを他所に、私は一途に日陽子へ愛を注ぎまくってましたよ。日陽子には一応ハッピーエンドが用意されていましたが、あんな取ってつけたような内容で私は満足できません。断固改善を要求します。
03年9月3日