発売日 2002年6月28日
メーカー CIRCUS 
マクドと呼ぶからには初音島は関西にあるはず!
今回はあまり小難しいテーマでなく、純粋な学園ラブコメディに仕上がっています。シナリオの妙味は水夏から一歩後退し、プレイ終了後の印象はほとんど残らないようなものでありますが、プレイ最中であるなら無難に楽しめる。ほのぼのとした学園生活や、取り巻くキャラクター達と交わされる何気ない会話は、実に心地好いものです。前作よりも、キャラクターとゲームの雰囲気が断然良くなっていました(誰も死ななかったしね♪)。

特に今回、登場する女性キャラクター達は、みな一癖も二癖もあり魅力的。「萌え」の御旗に集うキャラクターは一通り揃ったカタチで、足りないのはメガネっ娘ぐらい(メガネをかけてる先生はいます)。私はあざとい萌えにはつい悪態が漏れてしまいますが、今回のようなこの上もなく愛らしい容姿をした彼女たちを前にしてしまうと、その口も噤(つぐ)むに他ありません。

そう、水夏で既にその境地には辿り着いていましたが、七尾奈留さんが描くキャラクターはまさに完璧の一言。少々癇(かん)に障るような「萌え」の少女であっても、これだけルックスのレベルが高いと「まぁいいか」と顔が綻んでしまうのです。ダ・カーポはシナリオ的にはさしての感動を得られなかったものの、「可愛いキャラクター達と楽しい毎日」という恋愛ゲームの最も根幹的な部分は確立されており、非常に満足のいく作品と相成っておりました。


だがしかし…! このまま綺麗に「あ~良いゲームでしたなぁ」でレビューを終わらせる訳にはいかない。何故なら、私がこのダ・カーポにおいてどうしても気に喰わなかった……どうしても許せなかった大きな問題点が一つ残っているのですから…。

その許せなかった問題点とはズバリ、本編の主人公「朝倉純一」! その人。

彼は何事に関しても無関心無気力で、シラケ主義の若者を象徴するかのように、「だるい」「かったるい」「面倒臭い」を繰り返しては、自発的に行動を起こす事がまずありません。

そんな不精ったらしい彼の身の回りであっても、様々な非日常的な驚きや感動がもたらされているのは、偏に周りの「甘やかしてくれる女の娘達」のおかげ。主人公が何をする訳ではなくとも、勝手に周りの彼女達が右往左往の世話を焼いてくれていますから。

会話の話題は総て相手側から提供されて、愛の告白、デートのお誘い、延いては交わす口付けですら全部向こうからのアプローチという始末。主体性が微塵もない主人公は終始何においても受けて側。それで幸せを得られるような彼の人生は、なんともラクチンな人生ですよ。

周りが甘やかすからこの主人公の毎日も楽しいんでしょうが、普通ならコイツの毎日はごくごく平凡な毎日、且つ孤独な人生のはずでしょう。何をするにしても「かったりぃ」で帰結させてしまって、場をシラケさせる主人公には、いい加減こっちもイライラさせられます。何事にも淡泊でクールを装っていれば、自分は格好良いとでも勘違いしているんでしょうか? せっかく、女の娘サイドには魅力的な人材が揃っているというのに、主人公の魅力がそれに反して著しく低い。これは問題だと思います。

やはりある程度、男女の魅力は均等でないと。何の取柄もない(念じると和菓子が手から生まれるという、世界で五指に入るであろうマイナーな超能力は持っていますけど)彼が、学園の綺麗どころからこぞって懸想されているのは到底理解できませんでした。


最近はホントに、このような「最初から皆に惚れられてる」パターンが定着してきてしまいましたね。それ自体を否定するのではありませんが、全部が全部そうであるとチョット困ってくる。特にこういった恋愛ゲームであるのならば辛いものがあります。

 1.彼女は主人公が実は大好き
 2.鈍感な主人公はそれに気付かない
 3.いろいろあって女の娘がついに告白
 4.俺も○○ちゃんのこと好きだったんだ
 5.セックス
 6.終わり

ダ・カーポはほとんどこのパターンで埋め尽くされていました。特に4番、「相手が自分にベタ惚れしてそれを口にするまで、断固として自分の気持ちを伝えない主人公」というケースは顕著。場合によりけりですが、これは卑怯さも感じさせるので好きではありません。相手に「貴方が好き」と言わせる快感もわかりますけど、たまには主人公側がしつこいぐらいの求愛も見せないとなぁ。プレイヤーの分身たる主人公の甲斐性のなさは、確実に作品の印象に悪影響を及ぼしてしまっています。

個性溢れる女性キャラクター達。今回は一人ずつに短評を添えてみました。

 朝倉 音夢(ねむ)
やきもち焼きで料理も下手だけど面倒見は良く、兄に仄かな恋心を秘めている少女。でも病弱系。ルックス的には一番好みでして、ジト目の三白眼で睨んでくる音夢の仕草は超カワイイ。妹キャラですけど、彼女なら全然OKです。「家族計画」の高屋敷末莉に続いて、私が認める妹キャラの2人目に決定されました。こんな感じで精鋭12人の妹を集めてみるとするか。

 芳乃 さくら
「身丈140センチ、一人称ボク」の幼女キャラ。彼女も血は繋がってないくせにお兄ちゃんと呼んできます。いつもならこの設定だけで私の視界から外れるはずなんですが、その明るい性格の裏に秘める彼女の本質に惹かれてしまいました。

あと、これはどうでもいいことなんですけど、このゲームの主人公の苗字は朝倉なんで、もし二人が将来結婚する事になれば、彼女の名前は「あさくらさくら」になっちゃうんですよ。うん、どうでもいいことなんですけど。

 白河ことり
お嬢様然とした白皙(はくせき)の美少女。学園のアイドルであるはずの彼女ですが、どうにも影が薄かったような気も? 加えてことりのシナリオは山場が極端に少なく、非常に淡々としていてましたので、少々物足りなさの残るものでしたのが残念。彼女の有する「能力」も途中で薄々気付いてしまいますし。

 水越 眞子
好きなタイプでした。まぁ、他が少し個性が暴走気味ですので、これぐらいの娘が丁度いいって事ですが。ただ終盤のイベント、「自分の都合の為に主人公を彼氏役にさせる」という彼女のセルフィッシュな行動は、如何ともしがたいものが…。このあとちゃんと二人は、「恋人のフリ」から「本当の恋人」に変わっていくので、さしたる問題は起こりませんでしたが、もし用件だけを済ませてそのまま「恋人のフリ」を終了させられたのなら、主人公は完全にピエロでしたよ。

 水越 萌
出た…おっとり型天然ボケ……。天敵です私の。しかし、今回ばかりは私に限ったことではなく、一般の人たちであっても、彼女を許容することはできやしないでしょう。彼女の行為は明らかに常軌を逸しています。彼女のように眠りながら木琴を叩いて登校して来る先輩を、本当に萌えキャラと称して良いものなのか?

この娘、木琴叩きながら学校来てるんですよ? その上眠りこけながら! 昼休み、屋上で鍋を囲っている彼女はなんとか笑顔で躱す事が出来ても、さすがにこんな変態行為は見過ごせない。これは絶対「萌え」で済ませていいものではありませんって!

 天枷美春
騒がしくて「わんこ」みたいな後輩。彼女が最も自分の中でどうでもいい存在でしたね(痛いから)。喋り方も好きじゃなかった。

 鷺澤頼子(美咲) ~隠しキャラ~
ネコミミのメイドさん。……ふぅ。まぁ、これはダ・カーポの世界とは別箇のものであると考えた方が良さそうですね。あくまでオマケ的な存在と看做した方が。

 白河さやか ~端役~
なんと、水夏の白河さやか先輩が友情出演! 初めて彼女が現れた時には、私もいささか驚きましたよ。彼女は何でも、枯れない桜の木を描く為にダ・カーポの舞台である初音島へやってきたとのこと。時間軸としては、水夏でハッピーエンドを迎えた以後ですね。

でもなんか彼女、性格が少し変わっているような…? 水夏の頃のシリアスストーリーの束縛から放たれたからなのか、チョットお馬鹿な感じになってます。それもまたカワイイですけど。

朝倉音夢。病弱であるという余計な設定を除けば、パーフェクトな少女。でもまぁ、彼女がハッピーエンドを迎えるという事は、あの主人公とくっついてしまう事ですからね…。これもなんともやりきれない話。

音夢さん…、そんなツマンナイ男はさっさと見限ってやっちゃって下さいよ。まだ主人公の友人である杉並君の方が万倍マシな男ですって。
2002年7月4日