Crescendo~永遠だと思っていたあの頃~
メーカー〔D.O.〕 発売日2001年9月28日


ストーリーは反してデクレシェンド
な、なんでしょう…この名状しがたい異様な雰囲気は…。終始、静寂感が溢れているこのゲームの雰囲気は、エロゲにあって明らかに異質でした。

卒業を数日後に迎えた最後の学園生活の中で、揺れ動く男女の恋愛物語が中心線に据えられた抒情的(じょじょうてき)な恋愛ストーリー。それほど奇を衒(てら)った内容ではなかったものの、外連味ない洗練された演出と独特な台詞回しでストーリーには引き込まれてしまいます。

豊富な語彙(ごい)と知識で固められたテキストで、「シナリオライターは博学な人なんだな」という事は伝わってきます。ただ、その博学さゆえか、テキストが文学的なものの意識を過剰としていて、自己陶酔しているかのような言い回しが目に付きましたね。

相手を思いやる嘘など雪片ほどの価値もない。 ☆☆
永遠と等価の一瞬が真実存在するなら──それは今だったかもしれない。 ☆☆☆
日は沈み、夜が優しく翼を広げて街を抱きとめる。 ☆☆☆☆
居心地の良くない沈黙が、部屋の中でワルツを踊る。 ☆☆☆☆☆ッ!
                                 (☆印は恥ずかしい度)

とまぁ、こんな感じ。…素面(しらふ)では聴いていられないようなむず痒い台詞回しが多いです。でも、このような修辞が、冒頭の名状しがたい雰囲気とやらを醸し出させている要因なので、一概に「ダメー」とも言い切れないんですがね。上のような言い回しを、レトリックと感じるか、知識のひけらかしと感じるかで、印象が大きく分岐してしまうでしょう。

シナリオは柳楽歌穂(なぎらかほ)、芦原杏子、音羽優佳、紫藤香織、佐々木あやめの5つの物語と、隠れキャラの静原美夢(しずはらみゆ)をあわせて、計6つ。いずれも短編で、クリアまでの時間は長くて3時間であるのが特徴です。

これら6つは、総じて質の高い物語であったのですが、中でも傑出していたと感じたのが「佐々木あやめ」。主人公の義理の姉のお話でして、これが私的に一番面白かった。

っていうか、このシナリオだけでゲームの評価+30点です。もう、本っ当に最高でした。ズバリ告白すると、感動しちゃってうるうるきてしまいましたよ。彼女のシナリオは、途中から憑かれたようにプレイしていましたから…。何分、私はメチャクチャ家族愛に弱い人間なので、こういうお話は万感胸に迫るものがあるのです。

特に最終局面でのあやめの「告白」が堪らない。姉弟間での恋愛感情の背徳感を恐ろしいまで見事に表現されておりましたんで、このイベントはプレイ後も私の心にずーんと大きく残っています。まぁ、私なんぞがあまり不用意に語れば語るほど空疎なモノになってしまいそうなので、込み入った事まではお話ししませんがね。とにかく、まだプレイされておられない方は、是非、実際にプレイしてみてくださいませ。

キャラクターデザイン、原画を手掛けるのは紫川弓夜さん。うーん、少女漫画そのもの。絵自体はとても艶(あで)やかで綺麗なんですけれども、顔の部分と首から下の部分の均整が取れていないのが痛いです。立ちキャラでのアンバランスさが顕著で、ちょっと萎えさせられる絵も幾つか存在しました。

一枚絵では、濡れ場でのグラフィックが最も歪。絡みのシーンでは明らかにデッサンが狂ってる絵もありました。せっかくエロテキストの出来が良かったのですし、ここはキッチリと仕上げて欲しかったところですね。画力は申し分ないのですから。

これがねぇ~曲者ですよ。良い意味で。

このゲーム、音声はありませんので、BGMの役割は大なのですけど、見事。ピアノを基調とした音楽がほとんどを占めて、収録されている曲目総てがゲームの静寂感を引き立てるようなものばかり。音楽を一通り耳にするだけで、このCrescendoが如何なるゲームであるか窺い知る事ができるというものでしょう。ただ、PCM音源になっておりますので気になる方は気になると思います。

絵、話、雰囲気からして、何処をどう曲げてもエロくなりそうな要素なんてありませんし、期待なんてものはま~ったく持っていなかったのですが、このCrescendo、思いの外エロいです。

一例を挙げれば、音羽優佳。彼女はとある理由から不毛な売春行為を繰り返し、その呵責から自身の身体に穢(けが)れを感じてしまっている少女。常時、ピンクのリストバンドを手首に巻いているという設定時点で、彼女がどのような娘であるか察してあげてください。

そんな彼女は話の山場でやっぱり自殺を図ります。幸い、大事に至るすんでのところで主人公が現場を発見し、救出する事が出来たのですが、命を軽んずる彼女を主人公は激しく叱咤。そして、畳みかけるかの様に、彼女を励まし、抱きしめ、愛を囁いて、濡れ場へ移行。そんないつもの展開

ですが、問題はこの後。

なんと主人公、そんな傷心状態の優佳とのエッチシーンでありながら、フェラはさせるわ、顔射はするわ、トドメに肛門性交をキメてしまうわと、やりたい放題なんですよ!

ほんの数分前まで、悲しみの淵にいた彼女を慰めていた主人公であるというのに、いざエロが始まればソレはソレとあと腐れなく、本能赴くがままにカッ飛ばしていきます。コツコツと築き上げてきた感動的なストーリーをある意味ぶち壊す結果となってもエロをしっかり描写してくるのには、ただただ敬服。

柳楽歌穂(なぎらかほ)と初めて結ばれるシーンでの、「どんな不道徳も厭わない」というくだりなんかもドキッとさせられちゃいましたし、エロ的なものは結構大きいものがありましたよ。あくまで「純愛モノとしてはエロい」程度のものではありますが、凌辱エロゲと比べたら有難味が違いますからね。無防備ゆえに昂ぶらせられる。

流れ的に不自然さを感じてしまうようでも、エロさをしっかり含ませるその姿勢を私は肯定します。

当然、姉ちゃんの佐々木あやめです。彼女は別格。でも、後輩の芦原杏子も負けないぐらい可愛かった。何より私は、背が高いって言う設定が大好きですからね。今まで、背の高いという設定を持った女性は、決まって、粗野・短髪・年増・戦士ばかりで、私を激しく萎えさせてきました。が、この芦原杏子ちゃんは、長身でありながらもちゃんと清楚華憐であるので、なんら問題はございません。とてもカワイイです。

あやめお姉ちゃんがチャンピオンとしたら、杏子ちゃんは同級一位だとお考え下さい。
2002年4月16日