よくばりサボテン
 
メーカー〔Alice Soft〕 発売日2006年4月21日


懐かしいですね、ラブひな
「しまいま。」は良かったですね。お話がまとまっていて、キャラに魅力があって、特に静流さんが可愛くて、質の良いエッチシーンが豊富。こんな良作をネットで無料配布してしまうAliceさんの懐の大きさには、改めて感心させられたものです。

そんな「しまいま。」に大満足だった私が、同じ流れを汲む「よくばりサボテン(以下ばりテン)」に惹かれるのは当然のこと。「しまいま。」を楽しめた自分ならこちらも楽しめるであろうと何の不安も抱いていませんでしたが、まさかの落とし穴。これ、「しまいま。」とは似て非なるものだったんですね…。


ばりテンはただの主人公総受け萌えゲー。主体性皆無である主人公が鈍感を装って相手をヤキモキさせながら、たくさんの女の娘に言い寄られてご満悦といったお話です。為されるがまま、任せるがまま、委ねるがままの3拍子で、自分から愛の告白だなんて以ての外。相手に先に気持ちを吐かせた後、「僕も好き」とか「多分好き」といった煮え切らない言葉で返すのが彼の精一杯。どのヒロインを攻略しても、告白する(ていうか、される)のがみんな同じ場所で、同じタイミングっていうのも白けるね~。ヒロインのすげ替えだけかよって。


……と、いつもの批判パターンを展開してしまいましたが、そうじゃないそうじゃない。今回問題にしているのはそういうことじゃないんです。キャラクター紹介を見れば、最初から主人公がパッシブ系な人なのは一目瞭然でしたし、作品のジャンルにも堂々と「言い寄られ系」と書いてあるんですから、この点は私も重々覚悟の上だったわけで。だから、それに対していちいち悪態を吐くつもりなんてないんですよ(してるけど)。

私が問題としているのはエロ! エロなんです! あまりにぞんざいなエロに私は怒りを感じているのです!

初めにクリアした秋奈のシナリオには絶句しましたよ! 前振りやけに長いな~とウンザリしかかっていたところで、やっとこさ最初のエッチに辿り着いて、「さぁ、ここからだ!」と思った矢先でエンドロール。……え、終わり? 本当に「するだけ」のエッチシーンが申し訳程度に1つあるだけで、そのまま終わっちゃうのだから…。パッシブ系主人公であろうが、平凡でお約束でご都合的なストーリーであろうが、エロという絶対正義の前には些細な問題に過ぎないと思っていたけど、その肝心の正義がないってんだから話にならない。

メインヒロイン格の委員長(勇美)と凛以外には、なんとそれぞれ1つずつのエッチシーンしかなかった。そのエッチシーンが複数用意されていた委員長と凛ですら、姑息(誤用)なCG使い回しによって水増しされた粉飾エッチシーンという信じがたい現実。本当に「しまいま。」と同じシナリオライターさんなのか疑わしいぐらい。これにはホント失望したねぇ。

お話もダメ。エロもダメ。となれば、後に何が残るっていうの? え、女の娘が可愛いよって? エロゲで女の娘が可愛いのは当たり前です。飛び抜けた可愛さ、一味違った可愛さがあれば、それはそれで立派な魅力になりうるものですけど、この作品の面子にそこまでの魅力はありませんよ~。アクティブ&メガネの勇美とクール&ブラコンの凛は私も気に入りましたが、彼女らって思いっきり成瀬川なると浦島可奈子でしょ? 性格も、口振りも、雰囲気も、ポジションも、見た目までもが瓜二つ。パクリと糾弾したいわけではないけど、なんだかな~って感じ。


そんな中で唯一の安息を得たのがハーレムルート。文句ばっかりの私も、ここは素直に楽しめましたね。ヒロインとの個別ルートだと、どうしても主人公友弥君の消極さにイライラさせられるんですが、ハーレムルートのようなコメディ色の強い荒唐無稽なお話なら、そんなことは気にならなくなりますので。それぞれのヒロインがヤキモチ全開で争いあったり、あれやこれやの作戦で一生懸命友弥君の気を引こうとしたりする姿は、やっぱり見ていて楽しい。言い寄ってくるライバルから必死に兄を守ろうとする凛は特にラブリーでした。

しかし、その安らぎのハーレムルートが、同時に私の息の根を止めた存在でもあって…。

何せ、ハーレムエッチがなかったですから。考えられますか? ハーレムエッチがなかったんです。この瞬間、私の最後の希望も木っ端微塵に砕け散りましたよ。ハーレムルートがあるのにハーレムエッチがないなんて、どうしても私には納得できない…。交番はあるけど警察がいないとか、界王星に辿り着いたけど界王様がいないとか、そういうレベルの「ありえなさ」でしょう? ハーレムルートがあれば、ハーレムエッチは必須。これは誰が決めたわけでもない天の摂理ですよ!

代替品として用意されていたのは、朱鷲というどうでもいいキャラ(好きな人ごめんなさい)とのエッチ。目前のハーレムを蹴ってまで、何故こんなキャラとのエッチシーンを設ける必要があったのか、Aliceさんの真意がまったく計り知れません…。1つ言える確かなことは、ばりテンのエロとしての価値は石ころ同然だったということですね。


2800円(税別)の低価格ソフトに多くを求めるのは大人気ないことだって自分でもわかっていますが、「しまいま。」をやった後だけに落胆は大きいし、どうしても見窄らしく見えてしまう。「値段相応の価値はギリギリあった」といえど、果たしてそれをエクスキューズにしていいものか。低価格ソフトであろうが、やっぱり私はこれを擁護する気にはなれないです。キッパリ駄作だと申しあげたい。今回のお金は「しまいま。」に払った分だと考えて、ばりテンが無料配布であったと思えば怒りも収まるけど…。

Aliceの割にプレイ環境は不便。システムはメッセージスピードが変えられるだけしかないし、クイックセーブ、クイックロードが選択肢の出ているときに選べない。クイックセーブ・クイックロードって選択肢が出てくる場面で使うものでしょ? この前にプレイしたこの青空に約束を-と比べたら、天と地の差。ボイスは男性ボイスをつけていながらパートボイスという手落ちも痛いなぁ。

友弥君は美形メガネ男子でありながら、武術の嗜みがあって逞しさも備わっているなど、決して私の嫌いなタイプではなかった。しかも、その伊達メガネを外したとき、最強モードに変身なって不良どもをバッタバッタと薙ぎ倒したりする。早月じゃないけど、その瞬間はカッコイイと思ったものです。下地としては魅力的な主人公だったのに惜しいな。

頭のアレが気になる妹の藤宮凛が「多分好き」。凛が主役で、並み居るライバルたちの中からお兄ちゃんを落とすという物語だったら、私も楽しめたかもしれない。無意味な妄想ですがね。
06年4月24日