大番長-Big Bang Age-  
メーカー〔Alice Soft〕 発売日2003年12月19日


自転車操業シミュレーション
あの大悪司から2年、Alice渾身の超大作が再び。2003年を締め括るに相応しいビッグタイトルは、果たしてその沸騰する前評判に応えられるだけの価値があるのか? 大悪司は嫌気が差して途中で投げ出した私ですが、大番長は如何に!?


大番長は地域制圧型シミュレーション。他勢力を蹴散らし陣地を拡大して、行く行くは全国制覇を目指します。大悪司をベースにしたシステムですが、随所に改良が加えられ、操作性、面白さは更に増している。独特のシステムながら、感覚で把握できる範囲でマニュアルを熟読する必要もなく、慣れるのに時間がかからないのは嬉しいですね。ここら辺はもう充分に熟練されています。

目玉の戦闘シーンも、単純でありながらバランスの良さで中毒性は高い。基本的に大番長はかなり難しい作品でして、普段から戦略型SLGに慣れ親しんでいる人ならいざ知らず、生温いお気楽エロゲばかりやってるような私にとっては、時に鬼と思わされるほどの難しさ。それでも、投げ出したくなる程のレベルではなく、限界ギリギリの巧みな難しさになってるんですよ。

大番長の中毒性の秘訣はまさにここ、“ギリギリの難しさ”にあるんです。Rance5Dをプレイしたときにも感じていましたが、Aliceさんの匙加減というのは実に素晴らしく、生かさず殺さずの絶妙な難易度で成り立っている。

ナイトメア・アイズとの決戦や、最後のボスとの戦闘だって、本当にギリギリで勝ちをもぎり取れましたから。「この攻撃にお前が耐えられたら、お前の勝ちだ…」の攻撃でなんとか倒せたぐらい。ギリギリの辛勝という格別の味を堪能させてくれる卓越した匙加減こそが、大番長の面白さの最大の要素であると私は思います。

毎ターンのやりくりだってギリギリ。敵の脅威に脅かされ、イベントに追われ、怪我人や忠誠度低下に悩まされ、仲間もお金も足りなくて…と、常に一杯一杯の状態が続くんで、息の休まる暇すらありませんのよ。しかしだからこそ、止め時を見失うほどにハマり続けてしまう。これが大番長の抜け出せない中毒性。

その分、精神力を磨り減らしまくるので、他のエロゲと比べて疲労感は段違いに高かったりするんですけどね。首筋まで水が浸っている中、必死でもがいているような気分で、ずっと緊張感張り詰めたままプレイするのは大変。その点はしかと覚悟しておきましょう。


さて、ゲーム性と同じく大切なのはシナリオ。ゲーム性の高さは証明しましたが、大番長のストーリー性はどうなのでしょうか。

こちらはなんていうか普通でした。「番長」という時代遅れな要素を敢えて茶化さず、真面目な切り口によってストーリーが組み立てられているのは逆に新鮮で、決してつまらないお話ではなかったのですが、かといって取り分け楽しいというわけでもなく…。真っ直ぐな熱血漢の主人公だと、その通りお話が一本調子になりがちですね。ゲーム性重視のSLGは、こういった真っ直ぐなお話は相性がいいんでしょうけど、捻りのない真っ直ぐなお話は、印象として残りにくい。

大所帯のキャラクターも、イマイチ印象的な人がいなくて残念。このゲームは比較的、女性キャラより、男性キャラの方が印象に残る作品で、斬真豪とか、韋駄川煉とか、久我匡一郎とか、冬摩彼方とか、好きなキャラは男性に多く、無意識的にこういったキャラクターを私は贔屓して育てていました。

女性陣は、ルックス的には可愛いキャラがとても多かったんですけど…。私がAlice原画陣の中で最も好きなおにぎりくんの描くキャラクターが多かったのは幸運でしたね。んでも、これといって魅力的といえるキャラはいなかったんだよな~。

まぁ、エンディングに関わる「6人の彼女候補」はそれなりに可愛かった。大番長のエッチシーンは基本的に和姦が中心で、この6人の彼女たちとはちゃんと合意の下で和姦が執り行わましたから、その点でも印象は良いです。女こまして売春宿で娼婦にさせる不愉快なエッチシーンばかりだった大悪司とは比べるべくもない。

しかし、この和姦エッチも有益だったかと問われると微妙。CGの美しさ以外は、これといって魅力あるものでもないし、何度も繰り返し見せられるほどのシーンではなかった。

脇役キャラの陵辱シーンと比較すれば、単調な和姦シーンよりも趣向も凝らして力入ってたのは明らかなんで、結局Aliceさんは陵辱中心なんだよね。愛着あるキャラクターがあっさり悪者に犯されてしまう非情さなど、嫌な部分のAliceさんらしさは健在だし、差分もない1枚絵にテキストがダラダラ垂れ流されるエッチシーンもやっぱりが健在だったのでガッカリ。

なんだかレビューが批判がちになってきましたが、いえいえ、私はちゃんと大番長を評価していますよ。でも正直難しいんです、大番長は褒めるべきか批判すべきか。他のエロゲとは比べ物にならないぐらい完成度は高いし、面白かったんですけど、何処か物足りなさを感じてしまっている。やっぱり、「Aliceさんなら、これぐらいはやってくれるだろう」の予想範囲内だったのが原因かなぁ。想像を上回る物ではなかったことで、感動が薄れてしまったのかもしれません。

でも、念を押すように大番長は普通に傑作です。大悪司と比べても、私はこっちの方が断然好きです。「つまんねー!」っていう人もいるでしょうが、そういう人でも多分そこそこの時間はプレイに費やしてしまうんじゃないかな? なんだかんだで最後までプレイしたくなるゲームですからね。ギリギリの状態に耐え切れなくなってしまわない限り。


後半、風呂敷広げすぎだったのが、私的にマイナス。神とか悪魔とか胡散臭い話になると萎えてくるんで。無理に舞台を全国に広げるより、カントウで覇権を争うぐらいが良かった気もしたなぁ。

一方を仲間にすると、もう一方は仲間に出来なくなるなど、繰り返しプレイさせる要素も盛りだくさん。やり込める人はトコトンまでしゃぶり尽くせます。

大番長には、ハードモードとすると更に難易度の高く出来ますし、ノーマルは楽勝だったというプロフェッショナルな方でもやりごたえあるでしょうね。しかも、ハードモード以上の「無茶苦茶」レベルまである。こちらは、Aliceさんのスタッフもクリアを確認していないらしい…。それでも、やっぱりクリアしてしまう猛者は出てくるんだろうな。

委員長の日比生咲苗、もしくは生徒会の姫乃宮華苑。咲苗はずっと傍にいるキャラなんで愛着がある。華苑は、私の好きな素直になれない系お嬢様なので。
04年1月17日