天ツ澪
 
メーカー〔創美研究所〕 発売日2003年10月31日

ふわぁああ~、眠い…
延期を繰り返すLOVERSを厳しく譴責(けんせき)しておきながら、この天ツ澪も2度の延期の末にやっとこさ発売。「疑惑の総合商社ですよ!」と勇ましく詰め寄った直後に、今度は自分に疑惑が降りかかってきた政治家のような、ちょっぴりお茶目でチャーミングなメーカー、それが創美研究所。

その創美さんが渾身の自信作だと自負するのが、今回の天ツ澪だそうです。しかし、メーカーが「自信作!」と力強く断言すると、何故か大抵ストーリー重視の作品に様変わりするんですよね。天ツ澪もご多分に漏れずで、今までのアニメ特撮をパロネタにしたお手軽エロな作品から、まったく真逆である真面目な純愛ゲームに様変わりしちゃっています。

ずっとエロを突き詰めてきたメーカーが、突然生半可な純愛ゲームを作ったら大失敗する例は枚挙に暇がありませんので、この天ツ澪もそれらと同じ轍を踏んでしまう予感…。果たして、大胆な路線変更は吉と出るのか凶と出るのか!?


結果は【大凶】。……やっちまいましたね。ああ、見事にやっちまいましたね。

「龍神さま」と町の住人から親しまれる雪乃が、『お清め』をしている最中を覗いてた主人公は、突然謎の光に包まれ意識を失うと、残りの寿命がもう数週間も無くなってしまって……という流れで始まる伝奇的な要素を含んだストーリーだったんですが、なんていうかね、これが読んでいてしんどい。

話に起伏がなく、場面もほとんど変わらなく、めぼしいイベントもなく、エロで気を引くこともなくと、すっごく淡白で上がらぬテンションのまま話は進行していくもんだから、上瞼が重~くなってくるのよ。ストーリーがつまらなかったというより、ストーリーを読ませようという工夫がなかったのが辛いんです。

選択肢が2箇所しかないってのはどういうこと? しかもその内1つはエピローグの選択ですから、実質物語に関係するのは1つ。最初に攻略する女の娘を選んだら、後はCPUが自動的にエンディングまで導いてくれますので、もうずっとカチカチカチカチカチカチカチカチとクリックする作業だけ。他に何もすることなく、ただひたすら最後まで文字を目で追っていくだけですから、曲数の乏しい単調な音楽に乗せられて、ふわふわと眠気に誘われてくる…。

テキストボックスと睨めっこして、カチカチ惰性にクリック連打し続けるのはもうイヤ!! 生来、辛抱強くない性格なので、こんな修行みたいなこと続けていられません! そりゃ、物語がものすご~く面白いのなら、テキストボックスと睨めっこでも大した苦にはなりませんけど、残念ながら天ツ澪にはそこまで没頭できるほどの面白さはなかったんで。


もうこうなれば、ストーリーは捨ててエロに懸けるしかないと思い、私は期待をストーリーからエロにシフト。元々天ツ澪はストーリーだけではなく、エロに関してもこだわりを持っておられるようで、天ツ澪がマスターアップを迎えた際、創美研究所看板キャラクターのガムたんがこんなことをいってました。

 「今までのソウビのエロいところが薄いとか思ってる人だとかにもぜひプレイして欲しい」

今までの創美作品でも決してエロが薄いなんてことはなかった。なのに、天ツ澪はそれらを更に凌駕するという自信。何処をどう見てもエロな雰囲気はありゃしない天ツ澪なのに、実はとんでもないエロスが内包されているとでもいうの…? 半信半疑の私でしたが、他ならぬガムたんが自信を持ってお勧めされているのですから、ここはちゃんと信用してエロへの期待を膨らましていました。……が。

この天ツ澪、全然エロくもないじゃないかっ!! 私は創美さんの作品は、ぱちもそ、姫裸、コズミックマン、サイキッカー美々の4つをやってきましたが、比較対照にならないぐらい、天ツ澪のエロは低かったですよ!

一応1人のキャラに複数回エッチがあって、回を重ねるごとに段々エロさが増してくるって良さはありましたが、結局その他一般の純愛系作品のエッチシーンと大して変わらず。瞠目するようなシーンは、何一つとしてありはせず、もう目一杯騙されてしまいました。

まぁ、確かに上記の文章では、「創美のエロが薄いと思ってる人もプレイして」と書いてあるだけで、別に「天ツ澪が今までの創美作品よりエロい」とは一言も書いていない。だから厳密にはガムたんは嘘を吐いているわけではなく、単なる私1人の勝手な早とちりであったといえなくもないんですが…。

し、しかし、普通あんな言い回しだと、誰だって天ツ澪が今までの創美作品よりエロいんだと思い込むでしょう~? なのになのに、こんな汚いやり口で騙すなんてひどいよっ! 私のピュアで繊細なハートを弄びやがって~! 悔しいからレビューのオチもつけずに泣き寝入りしてやります!

グラフィック面でも天ツ澪はガッカリでした。創美さんの美しい「塗り」は今回も健在なんですが、如何せん原画がチョット…。タケシマサトシさんの絵には、以前のカワギシケイタロウさんや、古野将士さん程の魅力は感じない。特に最初のカワギシケイタロウさんが凄すぎたので、段々先細っていく原画には哀愁を感じてしまうなぁ。

ヒロイン仁科雪乃の丁寧口調はチョット好きだった…ってぐらい。特に気になる女の娘はいません。

創美研究所が社運をかけて作り上げた渾身の自信作「天ツ澪」は、私が今までプレイした創美作品の中でダントツの最下位に位置する、最低の駄作でございました。「生半可な純愛ゲームを作って大失敗」を地でいく天ツ澪には、もはや言葉すらない。

ただ、これだけボロカスに批判しておきながら、私は内心、この天ツ澪がたくさん売れますようにと祈ってるんです。だって、この社運がかかってる天ツ澪がコケてしまうと、いろいろとシャレにならない大変なことにが起こってしまいそうなんですもの…。会社が潰れてしまうってことはさすがにないと思われますが、あまり楽観出来そうにないのも事実。次回作へ繋げるためにも、天ツ澪には何が何でもペイラインを越えていただかなくてはなりません

勿論、次作の目処が立ったらば、今度は天ツ澪みたいなのじゃなくて、エロエロなやつをお願い致しますよ。創美さんは下手にストーリーに凝ったりせず、何も考えずスパッとエロだけに力を注げば、とっても素敵な作品が出来上がるはずだと私は信じていますから。

創美さんには、他のメーカーにはない「塗り」という強力無比な武器がある。単純そうに見えてそうじゃない、独特の上品さと美しさを併せ持つこの丹精な塗りは、まさに創美さんの専売特許であり象徴といえるもの。私はこの塗りを愛しているし、ひいては創美さんも愛している。

だからこそ、こんな天ツ澪なんかで腐らすことなく、これからもどんどんエロエロな作品で発揮して欲しいのです。
03年11月1日