アマガミ
メーカー〔enterbrain〕 発売日2009年3月19日


鶏肋が北京ダックに進化
恋愛シミュレーションゲーム、アマガミ。キミキスで頭をやられた私には、ファミ通で第一報が飛び込んできたその瞬間から、ずっと発売日が待ち遠しいタイトルでした。

ところが、いざプレイするにも1つ大きな問題が。私は既にPS2本体を手放しており、アマガミがプレイできる環境になかったのです。この時ほど下位互換のないPS3を恨めしく思ったことはありません。仕方ないのでアマガミ購入は諦める……はずもなく、渋々PS2本体(+メモリーカード)を買い直し。アマガミ以降、PS2ソフトを買うことはないでしょうし、正真正銘アマガミ専用機となりそうです。

我ながら愚かな散財をしてしまったと思いますが、これもアマガミへの愛がなせる技。成人式で1度しか着ない振袖のために、高いお金を支払う親の気持ちですよ。


でも、アマガミはそんな親の愛情に応えてくれました! 作品としてはキミキスの正統進化版と呼んでいいもので、キミキスの不満点、特にアウトオブデートだったシステム周りの改善が目覚ましい。バックログ表示に既読スキップ・未読スキップも搭載し、会話システムも前作の雰囲気を残しつつ一新。随分とプレイしやすくなりました。

テキストに関しても成長を見せています。キミキスは会話中心のゲームでありながら、意思疎通の図られないトーク、本題がぽっかり抜けたイベントと、致命的とも言える粗が目立ちましたが、その点アマガミはキチンと円滑なコミュニケーションが取れています。ウィットに富んだセリフ回しはなくとも、キャラクターの立ち絵差分が豊富で、みんなすごく表情豊かですから、何気ないフツーの会話がすごく楽しいのよね~。

勿論、それはヒロインの魅力も加味されたもの。高山箕犀(たかやまきさい)さんの描く素晴らしきヒロインの面々は、思わず溜息が漏れるほど美しい! みんな黒髪・茶髪で、赤とか青とか緑がいないのもグッド! ヒロインを攻略する意欲も自然と沸き上がりますよ。慎重に話題をチョイスしながら会話を盛り上げていって、狙った女の娘の好感度を上げつつ、ここぞでアタックを試みる楽しさ。通常エロゲではなかなか味わえない「求愛」を堪能できるので、私のように自分から好きな相手にアプローチを掛けたいって人であれば、きっと惹かれる何かがあるはず。

といっても、必ずしも主人公がアクションを起こすのではなく、受け身になって何もしないケースも目立っていたのは残念でしたが…。主人公の橘純一君は過去にクリスマスの約束をすっぽかされたトラウマもあり、かなり恋愛に対して臆病な性格。おかげでファーストキスにしても、ほとんど相手主導で行われる有様でして。

同様に告白の言葉も相手に委ねてばかりで、私の大っ嫌いなセリフ「僕も、○○のこと好きだ」を連発。本来なら、こんなパッシブ主人公に対する恨み言は1つや2つじゃ収まらないんですが、彼にはどうも憎めないところがあるというか、別の方面でアクティブなので許してしまいたくなる。そう、彼は恋愛には奥手でもエロには超積極的なんですよ! ていうか、ズバリ変態なんで!

──七咲の競泳水着姿をまじまじと眺めながら
 ……僕はこんな発展途上の身体には興味がないんだ
──七咲が今までに何度か水着を盗まれたことがあると聞いて
 じゃあさ、その水着を……今、僕が着ていると言ったらどうする?
──先生に告白するも完全に拒否られた挙げ句、足を思い切り踏みつけられて
 少し気持ちよかった気が……家に帰ったら、踏まれたところをじっくりと観察してみるか
──除き穴から女子の着替えを覗いていたのが先生にバレてしまって
 あ、ぼ……僕はただの忍者です! その……しゅ、修行中に迷い込んで……
──森島先輩の犬となった主人公が「伏せ」を命じられ
 なんてことだ……もう犬ライフ最高じゃないか……
──絢辻さんのお見舞いで彼女の部屋に立ち入ったとき
 いい匂いがするぞ。くんかくんか……今のうちに嗅ぎだめしておこう!

何気に最後のが一番笑いました。嗅ぎだめって! 匂いを嗅いでおこうならまだ理解できなくもないですが、何を溜めることがあるのかと。彼の柔軟な発想力に敗北感

「好きだ」という言葉はなかなか言い出せないくせに、髪触らせて、膝裏にキスさせて、スカートまくって見せて、スクール水着越しでヘソにキスさせてと、変態行為は躊躇なく切り出してくるハートの強さはすごいですよ。人としてどうかとは思いますけど、エロゲの主人公(あ、エロゲじゃなかった)として、これほど頼もしい人もいません。念を押しますが、普段は至って真面目で大人しい男の子なんですよ? なのに、前触れもなく突然このような奇行に走り出すから度肝を抜かれてしまう!


でも、主人公に関して私が一番驚かされたのは、森島はるかルートで見せた男らしさですね~。臆病で受け身で小心者な純一君も、憧れの存在である森島先輩に対しては猛然とアタック。怯むことなく真っ直ぐ自分の想いをぶつける彼の姿を見て、私の見る目は一変しました。本気で好きな相手には、これほどまでに積極性が増すのかと!

しかし、勇気を振り絞った「好きです」の告白は、先輩の心に届かず敢えなく玉砕…。ショックのあまり、自宅の押し入れに引き籠もってしまう純一君でしたが、彼はそのままクヨクヨといじけて腐ってしまう男ではありませんでした。

(森島先輩……キレイで、スタイル抜群で、明るくて人気者……)
(それに比べて僕は……。特に特徴もない……、普通の男だ……)
(そんな僕が先輩みたいな人を簡単に振り向かせられる訳ないよな……)
(……)
(もっと色々な話をして……先輩の好みを覚えて……そこからだよな)
(クリスマスを好きな人と一緒に過ごす。そう決めて頑張ってきた……)
(まだ始まったばかりだ)
(先輩に釣り合うような男になって、もう一度……もう一度だ)


このモノローグに、私は思わず目頭に熱くなるものが…! 自分が釣り合わないと自覚した上で、無理だと諦めてしまうのではなく、精一杯の努力でカバーしようとする。一度の蹉跌なんかで挫けない、真剣に好きだからこそ諦めない。醜態を晒すことになろうとも、可能性を信じて懸命にチャレンジし続ける純一君は素直にカッコイイです。こんなに根性のある人だとは思わなかった!

僕は……どんなに叶わなそうな相手でも、もしかすると馬鹿にされる事があっても、好きになる相手は自分で選ぶよ。

普段頼りなくて、変態丸出しなのに、たまにこんな男前な一面を見せるからドキッとさせられる。パッシブ主人公であっても、ただ周りの状況に流されるだけの奴とは違うなと。自分の意志をしっかり持っているパッシブ主人公です。


さて、ここまでベタ褒め状態できたアマガミですが、決して完全無欠の作品というわけでもないです。不満の数自体は大中小いろいろありまして、その数も少なくない。特に私が最も不満に感じている点、怒りを感じている点は、甘噛みしなかったということ。アマガミなのに甘噛みしないって一体どういうことよ!? ホントありえない!

この件に関して私は最高裁まで争う覚悟でいましたけど、一応最後の最後、主人公の妹である美也ルートに甘噛みシーンは確認できました。しかし、この1シーンのためだけにアマガミというタイトルを付けるのはやっぱり詐欺臭い…。当然のように全ヒロインと甘噛みしたりされたりするものだと思っていただけに、このガッカリ感は半端じゃないです。アマガミしないなら、タイトルはキミキス2でいいじゃん~。

それから、ヒロインのバランスの悪さも気になりました。薫と梨穂子のポジションが完全に被っていたり、「年上贔屓」と豪語する主人公でありながら、攻略対象となる年上が森島先輩1人だけ…。逆に後輩の1年は2人もいたりする。この辺もしっくりこなかったですよ。

他にもシナリオに深みがないとか、攻略が面倒臭いとかもありますが、これは欠点ではなく、恋愛シミュレーションゲームとしての宿命。作品の善し悪しはストーリーの善し悪しだと思っている人、選択肢AVGに慣れきって面倒なのを嫌がる人は、そもそもジャンルとして向いていないと思います。まぁでも、そういった人たちこそ、このアマガミをプレイして、良さを知ってもらいたいって気持ちもありますけどね。

好みのヒロインに自らアプローチを掛けて、文字通り攻略する。紙芝居AVGが束になっても味わえない恋愛シミュレーションならではの面白さが、アマガミには詰まっています。好みのヒロインが1人でもいるのであれば、是非皆さんもアマガミをご賞味くださいませ。

アマガミには、通常の6人だけでなく隠しヒロインが存在します。その娘はずっと一途に主人公のことを見てきたストーカー体質のヤンデレヒロインで、盲目的に愛するがあまり、主人公の恋路を度々邪魔してきたほど。邪魔といっても笑って済ませられるレベルではなく、偽写真を使って主人公に彼女がいることをでっち上げ、相手の女を諦めさせるなど、手口はかなりえげつない。一応もっともらしい理由はありますけど、彼女の行いが身勝手で常軌を逸していることに変わりはありません。

いくらなんでもこんな人格破綻者は愛せるわけがない……と思っていましたが、彼女が目の前に姿を現した瞬間、私はその罪の総てを赦しました

何故って? 可愛いからッ! メチャクチャ可愛いんだもん!! アマガミヒロインの中でも1,2を争うぐらい可愛い! これだけルックスが良ければ、人格が破綻しているなんて些細なことですよ~。多少の犯罪行為に及ぼうが、笑って済ませます!

世の中、そんなもんだよね~。

なんといっても森島・ラブリー・はるか(本名)。明るくてフランクで人当たりのいい性格で、見た目も最高。年上の先輩なのにすっごく可愛いです。大袈裟じゃなく、一挙手一投足に萌えます。膝裏にキスするとき、お尻を突き出した体勢はエロすぎです。奥手な主人公が必死になるのもわかるな~。

でも、裏表ありまくりの絢辻詞も同じぐらい好きなんですよね。世間体は優等生でありながら、その本性は真っ黒というのが堪らない。遠坂凛LOVEな私にとって、絢辻さんを好きになるのは自然な流れ。本性を表したときの邪悪な笑顔はとにかくインパクトがありました
2009年4月11日