ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 映画評(微ネタバレ)

ジョジョの奇妙な冒険第四部が実写映画化。ただでさえ漫画(アニメ)の実写化は評判が悪いというのに、取り分けファンが面倒……もとい、熱心だと思われるジョジョを実写映画にするなんて、無謀も無謀。実写化が発表された当初から早くもネタ扱いで、まだ誰も観ていない段階で「駄作」のレッテルを貼られるという、ある意味ものすごく可哀想な映画でした。

私は有無を言わせず先手必勝で初日に観に行きましたが、ご多分に漏れず、「どうせ駄作でしょ」という期待感0.02mmの極薄状態。それがまさか、こんなに素晴らしい映画であろうとはッ……!! 私は声を大にして叫びたい! 実写ジョジョの奇妙な冒険、文句なしの名作だったと!!! 鑑賞し終わった今、新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のような清々しさです!

わかりますよ? 「キャスティングがクソなのに、名作なわけねーだろ!」と仰りたいんでしょう? 確かに、私もそこは引っかかっていたところ。仗助役が山崎賢人さんの時点で「理解不能! 理解不能! 理解不能!」でしたし…。“漫画原作山崎賢人主演法案”が知らぬうちに国会で通っていたのかと思うほど、昨今ありとあらゆる漫画作品の主演を総なめにしている山崎賢人さんですが(次は氷菓の奉太郎までやるそうで)、よりによってジョジョの仗助までやらせるなんて、完全にレッドラインを超えていると憤慨していましたから。

でもね、2代目剛力と名高い山崎賢人さんですが、やっぱりごり押しされるだけの演技力は持っていまして。見た目(体格)のショボさは否めなくても、仗助らしい口調や仕草は完璧に表現できていて(ドラララララの叫びもお上手でした)、映画の中で仗助としての風格はしっかりと感じられるようになるんですよ。見事に仗助が憑依されていて、もう仗助役は山崎賢人さんじゃないとダメだと感じられるほどに。

同じことは、承太郎にもいえるかな。個人的に今回の配役で最もアウトだったのが、伊勢谷友介さんの空条承太郎。40代の伊勢谷友介さんが承太郎役だなんて無理ありすぎで、顔しわくちゃのオッサンがコスプレして出てきたときは、「冗談でしょ?」と言葉を失いました。伊勢谷さんは体型も細身ですし、言うほど長身じゃないですし、何から何まで承太郎要素がありません。このミスキャストは言い訳できないなと。

ところが、こちらも承太郎らしい喋り方、振る舞い、雰囲気を出せていて(オラオラオラオラの叫びもお上手でした)、あれだけ第一印象最悪だったのに、かなり早い段階で違和感が消え失せてしまったんですよねー。すぐに承太郎の格好良さが遜色なく感じられたんです。顔のアップはやっぱりキツいですけど、引きのカメラなら全然セーフ(笑)

億泰も最初登場した頃は全然億泰っぽくなかったですが、俳優さんが少しずつ億泰に寄せていった感があって、途中でコツを掴んだのか、ストーリーの後半ではちゃんと“私の知っている億泰”になっていたのが面白かったですね。

総じて言えるのは、それぞれのキャラが原作のキャラとまったく乖離していなかったこと。実写映画でありがちなのが、原作とのキャラの違い、キャラの改変で、それこそが実写化はクソだと称される最大の所以だと私は思います。監督のせいなのか脚本家のせいなのか俳優のせいなのかは知りませんが、自分の個性を出そうとする愚かな自己主張のせいで、原作のテイストを意図的に無視しようとするから腹が立つ。まともに原作を読んでいないから、キャラに対する理解がないだけかもしれませんが。

ストーリーがスカスカだったり、演出がショボショボだったりは、尺や予算の都合上、ある程度仕方ないと割り切れる部分です。でも、原作通りのキャラを維持することは、どんなに尺がなかろうが予算がなかろうが、何も問題はないはず。原作漫画に書いてある通りに演じさせればいいのですから、どんなバカにだってできる作業なんです。それなのに、実写映画はそんな簡単なこともできない。やりたがろうとしない。原作では男性キャラだったのに、実写では何故か女性キャラになっているとか、ホント喧嘩売ってんのかと思いますよ。

その点、今回のジョジョは、仗助は仗助ですし、承太郎は承太郎ですし、億泰は億泰。それぞれがキャラを逸脱していません。みんなが愛したジョジョの奇妙な冒険のキャラクターのままです。だから、見た目に多少齟齬があろうとも、自然と仗助・承太郎・億泰に見えてくるんですね。

原作の再現性はキャラのみならず、ストーリー部分でもかなり頑張ってくれていました。削ってはいけない大事なシーンの取捨選択がきっちりできていて、原作の持ち味を丁寧に過不足なく出せており、肝心なバトルシーンの迫力も申し分なし。映画で描かれていたのは、アンジェロと虹村兄弟の戦いの2つでしたが、VSアンジェロでの脅威が迫り来る逼迫感、VS虹村形兆でのバッド・カンパニーに包囲された絶望感は、十二分に感じられました。スタンドバトルの目にもとまらぬスピード感はアニメ以上。そりゃCGはちょっとショボかったですけど、邦画でこれ以上のクォリティを望むのは酷でしょう。

あと、ロケ地にスペインのシッチェスを選んだのも大正解。日本で撮影しろという批判も多かったですが、日本じゃ杜王町は絶対に表現できませんので、これは判断として何も間違っていませんでした。日本離れした異質な風景と日本的なエッセンス(日本語看板など)の融合が、杜王町独特の異質さ、奇妙さを生み出せていて、映像としての見応えにも寄与していましたよ(虹村の屋敷の雰囲気がいい!)。

不満点らしき不満点は、これといって何もなかったと言えるぐらい。ただ一つ、「俺がこの街とお袋を守りますよ。この人の代わりに。どんな事が起ころうと」という仗助の名言がカットされていて、「これを削るのは許せない失策だなぁ…」とモヤモヤしていたんですが、この名言は最後のシーンでちゃんと使われており、この瞬間、私は一切の不満点が雲散霧消。諸手を挙げて絶賛できるようになりました!

原作の再現性が高いがゆえ、改めてジョジョという作品の素晴らしさを再確認することもできましたね。虹村の親父さんが必死に掻き集めていた破片をクレイジー・ダイヤモンドで復元すると、家族の写真だったというシーンでは、思わず目に涙を浮かべてしまったほど。初見のアニメではそこまで感動したわけではなかったのに、実写映画だとすごく感動しちゃったのが不思議。

私は所詮、アニメから入ったにわかジョジョファンなので、連載当時からずっと愛し続けている古参のファンたちより、思い入れが少ない分、実写化への抵抗感は最初から少なかったかもしれません。しかし、これだけ真正面からジョジョの実写化に取り組んでくれている真摯な作品であれば、きっとガチ勢でも好意的に認めてもらえるはず。「こんなジョジョ認めない」と頭ごなしに否定するのではなく、どうか実写映画に対する固定観念を捨てて、実際に映画をご覧になった上で正当な評価をしてあげてほしいです。

もし第一章が評価されなければ、第二章の製作も危ういと思いますので、この映画が「ネタ扱い」ではなく、正しく評価されることを願ってやみませんよ~。同じ三池崇史作品の「テラフォーマーズ」は笑えないぐらいに爆死して、続編の製作がなくなったという不幸な前例もありますから、ジョジョも第一章が最終章になる可能性ありそうで怖い。

そんな非業の運命を辿らせないためにも、食わず嫌いで敬遠してるジョジョファンの皆様、どうか劇場まで足をお運びください! 公開初日だったのに客入りがめっちゃ少なかったので不安なんです!(笑) 観てくれさえすれば、絶対「グレートだぜ!」と満足行く映画なのは間違いありません! え、「だが断る」? そ、そんなこと仰らずに是非…!

最終章までのエピソード配分予想

第一章で描かれていたのは、アニメでいう第1話~第5話の冒頭部分。この調子でストーリー全部を描こうとしたら、第八章までかかっちゃう(笑) そうなると、最終章の頃には承太郎役の伊勢谷さんが60歳近くなってジョセフになっちゃうので、続いたとしても第三章までが限界でしょうかね…。三部作と考えると、岸辺露伴と吉良吉影という人気キャラの2人をメインに据えて、第二章が岸辺露伴編、第三章が吉良吉影編となるのかな。

岸辺露伴編 (遊びに行こう、杉本鈴美、ジャンケン小僧、ハイウェイ・スター)
アニメ該当話数 14,15,17,26,28,29

岸辺露伴編はなんとか映画一本に収まりそうな気配。ハイウェイスターはすごく映画映えするエピソードだと思いますし、ここを見せ場にして岸辺露伴編を作り上げてくれると嬉しいな。最悪、ジャンケン小僧はカットされても我慢しますから(笑) 順序を入れ替えて、杉本鈴美のエピソード(17話「岸辺露伴の冒険」)をラストに持ってきて、吉良吉影の存在を示唆しながら第3章への期待感を煽る構成もありかも。

吉良吉影編(静かに暮らしたい、シアーハートアタック、猫草、バイツァ・ダスト)
アニメ該当話数 21,22,23,24,30,35,36,37,38,39

問題は吉良吉影編。この分量を一本の映画に落とし込むと、かなり描写不足になってファンに叩かれそう(笑) 猫草は描写を抑えられるかもしれませんが、バイツァ・ダストはしっかり時間を割いて説明しないと話について行けなくなるのが難しいところ。やはり吉良吉影とのバトルを映画一本に収めるのはかなり無理がありますね。

映画ノベライズ ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 (JUMP j BOOKS)

著者/訳者:荒木 飛呂彦 浜崎 達也

出版社:集英社( 2017-07-19 )

定価:

Amazon価格:¥ 702

新書 ( 224 ページ )

ISBN-10 : 4087034232

ISBN-13 : 9784087034233


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  1. 見に行くべきかやめとくべきか悩む映画です。映画.comのレビューも参考にしてますが、賛否がぷっつり真っ二つ。量でいうと否が多めですが。
    バトルが良いという意見もあればバトルが悪いという意見もあり、原作通りという意見もあれば原作をぶち壊してるという意見もあり、見る人によって思いっきり評価が矛盾してるのは何故なんだとw

    • 今の時代、一度“叩く対象”として見做されてしまうと、みんなが寄って集って叩く傾向にあります。その評価を覆すことは困難で、本当は“叩く対象”でなかったとしても、「みんなが叩いてるから」という理由で叩かれ続ける。ジョジョの実写映画は公開前に“叩く対象”として認定された作品ですから、結構そのノリで叩き続けている人も多いんじゃないかなぁ……と私は思います。

      映画.comのレビューは私も今確認してみましたが、否定派の感想ってどうも最初から批判ありきの感想のようで…。

  2. 観るつもりまったくなかったのですが、浅生さんのレビューを拝見して観に行ってみようと思います!
    私も実写化否定派なので実写=爆死の固定概念を覆してくれればよいのですが

    • ありがとうございます! 是非、劇場に足を運んで続編製作の一助となってください(笑) 実写否定派にこそ観てほしいと私は思いますし、そういった人たちの率直な評価が知りたい。本当にこのレベルの実写映画を、駄作扱いしちゃっていいのか。「漫画の実写化は叩かなければならない」という使命感にとらわれていないのか。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。