Steins;Gate 負荷領域のデジャヴ 映画評

紅莉栖もまゆりも死なないSteins;Gate世界線。劇場版の舞台は、原作のトゥルーエンドより1年が経過した世界ということで、私はオカリンを始めとしたラボメンメンバーたちの成長や変化に期待していました。

ところがどっこい、どいつもこいつもまったく変わり映えしていやがらない。髪型も変わらなけりゃ、服すら全員1年前と同じ一張羅。トゥルーエンドの翌日と言われてもまったく違和感がないほど、何ら進歩を見せない彼らの姿を見て、私は早くも失望を抱えていました(ダルは彼女作っていたから許す)。

紅莉栖のキャラも相変わらず。まーだお前は飽きずにツンデレやってんのかよとツッコミ入れたくなるぐらい、以前のまんま。トゥルーエンドの後日談であるなら、もうオカリンと紅莉栖は付き合っているとか、それぐらいの進展はあっても良かったんじゃないですか? まゆしぃ派としては少々複雑な思いもありますけど、もうオカリン×紅莉栖は公式カップル化してますし、それで文句を言うファンはいなかったはず。

紅莉栖の歓迎会を兼ねたビル屋上でのバーベーキュー。いつものメンバーで賑やかに盛り上がっている最中、2人こっそり抜け出したオカリンと紅莉栖。誰もいない静かな階段で、紅莉栖はいきなりオカリンに抱きつき、普段まったく見せないような甘えっぷりを見せる。頬ずりしながら、オカリンの無精髭の感触を「じょりじょり~」と楽しむ紅莉栖は最高にエロ可愛かった! 強引に迫ってくる彼女にただただ狼狽するだけのオカリンも微笑ましい~。

「後日談としてこういうシーンを待っていたんだ!」というべき、2人の甘いイチャイチャっぷりを存分に見せ付けてくれたので私も大満足!! ……と言いたいところですが、これは単に紅莉栖がビールで酔っ払っていただけだったので、こんなもん無効です。

ハァ…。こういうのいい加減にしてくれませんかね? 私は素面の状態で甘えてくる紅莉栖が見たいのであって、こんな酒の勢いで大胆になられてもちっとも嬉しくないんですよ!

2人きりになった途端、急に恋人ムードを出してベタベタ甘えてくる“原義のツンデレ”を紅莉栖が見せてくれたなら、「密かに2人の仲はこんなにも進展していたのか!」という驚きと共に、私は素直に紅莉栖の行動にドキドキできたというのに、ホント残念でなりませんよ。「酔っ払っていた」という言い訳がなけりゃ、男女が睦み合うシーンもまともに描けない脚本家なんて、もう筆を折ってしまえ! まったく…。

気を取り直して、シナリオの続き。物語は、コインランドリーで紅莉栖と対話していた岡部が、彼女の目の前で忽然と姿を消してしまったことから大きく動き出します。

パニックになりながら慌ててラボに戻った紅莉栖は、ダルとまゆしぃに事情を説明しようとするものの、一体誰が消えたのかが不思議と思い出せない。“ラボの設立者のあの人”とまでは出かかっても、ラボの設立者はダルだという。なんと、この世から岡部倫太郎の存在は、記憶もろとも消失してしまったのです。

岡部の存在が虚ろとなった理由は、未来からやってきた阿万音鈴羽が全部説明してくれましたが、如何にも後付け臭い設定だったので閉口でした。他の世界線での記憶が現行の世界線(SG世界線)の存在を否定していて、R世界線に飛ばされようとしているという理屈は荒唐無稽すぎて納得しかねます

そもそも岡部が苦心惨憺辿り着いたSG世界線は、タイムマシンの根絶を願った世界。それがこんなにあっさりタイムマシンに乗って阿万音がやってくること自体トゥルーエンドの冒涜としか…。タイムマシンが存在しないから、紅莉栖もまゆりも死なない平和な世界になったんでしょ? うーん…。

総ての事情を察した岡部は、タイムマシンもタイムリープマシンも絶対に使うなと紅莉栖に厳命。それで自分がこの世界から完全に消えてしまうことになろうと構わないと。その言葉からは、ようやく手に入れた紅莉栖もまゆりも死なない世界線を守り切りたいという、岡部の悲壮な思いが伝わってきて感動的でしたね。この映画の唯一の救いは、オカリンが相変わらず格好良かったことかな。

で、ここから先の展開は超つまんなかったので、あんまり話もよく憶えていないんですけど…。

過去に戻って岡部を助けたいのに、当人から絶対タイムマシンは使うなと釘を刺されている紅莉栖。板挟みの中で苦悩する気持ちはよくわかりますけど、その苦悩があまりに堂々巡りしていて、「それ、さっきも繰り返したじゃん…」とまさしくデジャヴを感じるようなトートロジーがひどかったんですよ。痺れを切らした阿万音が「あんたイライラすんのよ!」と紅莉栖を批難していましたけど、私もまったく同感でした。

紅莉栖が岡部の苦悩を追体験するというプロットは悪くない。岡部が自分とまゆりを救うため、どれほどの困難に立ち向かってきたのか。どれほどの絶望を味わってきたのか。どれほどの孤独に苛まれてきたのか。それを身を以て体験することで、改めて岡部の偉大さを紅莉栖に実感させたことは有意義だったと思いますから。

ただ、ぶっちゃけ岡部は紅莉栖が今置かれている状況より何倍も大変な目に遭っていましたし、もっとタフな修羅場をくぐってきました。それに比べると、紅莉栖の状況はイマイチ温くて、それなのにやけに諦め早くて、ネガティブ過ぎて鬱陶しい。これで岡部の苦悩を知ったつもりになられると、逆にイラッとします。

岡部がTVアニメ24話費やしてやり遂げたことを、たかだか80分程度の映画で紅莉栖にやらせようとしたこと自体無茶だったってことですよ。最後のオチも結局ご都合的な展開に収束しましたし、観終わったあとのガッカリ感は半端なかったですね…。

私はもう期待ハズレ以外の何物でもなく、映画を観に行く前の私に「映画鑑賞中止。即大阪帰れ」とDメールを送ろうと思っているぐらいですが、一緒に鑑賞したパウンだーさんは、逆にすごく好意的な感想を述べていました!

その理由は、紅莉栖のデレがたくさん見られたからとのこと(笑) つまり、負荷領域のデジャヴは紅莉栖ファンなら楽しめる、というか紅莉栖ファンのための映画だったってことですよ。中盤以降はほとんど紅莉栖の独り芝居みたいになってきますし、彼女が好きでたまらない人なら満足感は高いでしょう。

私だって紅莉栖のことはそれなりに好きですけど、Steins;Gateで誰のファンなのかというと、それはオカリンですからね! 紅莉栖贔屓のシナリオで、相対的にオカリンの活躍が少なかったことが、この映画に対する反感なのかもしれません。

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なでしこやまとでは、総ての作品が浅生大和の主観に基づいてレビューされています。私個人の主義主張&趣味嗜好が評価に大きく関与し、客観性を無視した極めて独善的なレビューとなっております。そのことを充分踏まえた上でご覧いただけるよう、よろしくお願い致します。
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  1. 感想拝見しました。

     なんというか、盛り上がるべき所で盛り上がっていないというか、演出がへたくそだと思いました。オカリンが消えるシーンとかラボメンがオカリンを思い出すシーンとかクリスとオカリンが再会するシーンとか、山場とするべき場面はたくさんあったと思うのですが、一番盛り上がったシーンはオカリンが別世界線の記憶のせいで錯乱したシーンという・・・。やはりアニメで「跳べよ-」をやらかしてしまったスタッフということなのでしょうか。

     SG世界線を受け入れられないと世界からはじかれるという設定は私も受け入れられませんでした。というか、そんなことで別世界線に移れるのなら本編のあの苦労はいったい何だったんだという話ですよ。確か映画ではSG世界線は不安定とか言っていた気がしますが(言ってないかもしれませんが確認する気が起きません。)それならそれで、本編のSG世界線に移れたあの喜びに水を差す結果になってしまいますよね。

    「なかったことにしてはいけない」というのは本編のOPの歌詞ですが、この映画はなかったことにしてもいいんじゃないでしょうか・・・

    クリスの酔っ払ったシーンは絶対なでしこやまとの管理人さんは批判されるだろうな~と思っておりましたら、やはりされてましたね。ホント、あんな手垢がつきまくったエロゲーのような展開、いつまで使うんでしょうね。

  2.  ゲストさん
    作画は毎週のTVアニメと変わらないレベルでショボイですし、演出も映画とは思えぬほど淡泊なもの。原作でオカリンが鳳凰院凶真である自分を再び取り戻したシーンは感動的だったのに、「紅莉栖が鳳凰院凶真の真似事をしていたとき」は痛々しくて見ていられませんでした。挿入歌を流しながら、ドラマチックに、壮大っぽく仕上げてくれれば、それだけで私はなんとなく満足していたのに。

    私は本来、2時間弱の映画にそこまで脚本を重視したりしませんよ。多少矛盾があろうと、エンターテインメントとして盛り上げてくれればそれで充分。アバターだって冷静に考えたら何にも面白くない脚本でしたけど、劇場から出てきた直後の私は興奮状態だったんですから。

    映画らしさが皆無であるSteins;Gateゆえに、こうやって脚本に関してガタガタ不満が出てしまう。わざわざ映画のスクリーンで観るほどの作品じゃなかったよなぁ。

    そんなことで別世界線に移れるのなら本編のあの苦労はいったい何だったんだ
    そこなんですよね。段々オカリンは何でもありみたいな存在になってきました。ただ映画がつまらないだけでなく、本編の感動すらも無に帰すようなシナリオは遠慮願いたい。

    クリスの酔っ払ったシーンは絶対なでしこやまとの管理人さんは批判される
    あはは~。そこは一緒に観賞したパウンだーさんにも見抜かれていました。酒・媚薬・催眠・魔法、これらの手段を使って女の娘を大胆にさせるのは禁止! 男が女を大胆にさせる手段はただ1つ、「惚れさせる」だけでいい!